敬老ウィークに思った ハリウッド・アクション俳優の高齢化と現役感

「敬老の日」にちなんで毎年発表される総務省の統計トピックスで、65歳以上の就業者数が18年連続で増加していることがわかった。65~69歳の就業率は50・3%というから、2人に1人は仕事をしていることになる。

取材現場は比較的若い人が多いので、この層に身を置く立場としては何となくホッとする思いだ。

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映画やドラマの主演俳優の年齢もじりじりと上がっている実感がある。中心が20~40代であることに違いはないが、例えば、今年のカンヌ映画祭で主演男優賞となった67歳の役所広司にはまだまだ現役感がある。

ハリウッドに目を転じれば、「アクション俳優」のイメージもずいぶん高齢にシフトしているように思う。

この秋以降公開の作品でもそれは顕著だ。10月6日公開の「イコライザー THE FINAL」(アントン・フークア監督)の主演は68歳のデンゼル・ワシントン。演じるのは元CIAのすご腕工作員で、こわもてのマフィア5人に囲まれても、全員を数十秒で瞬殺してしまうという能力の持ち主だ。

特殊効果をかませた演出のおかげで、アクションが際だっているのはもちろんだが、ワシントンが醸し出す現役感があるから説得力も生まれるのだと思う。

「イコライザー」は3部作で、今回がその完結編となるわけだが、第1作が公開された14年、ワシントンは「ぜひやりたい」と、6代目007ダニエル・クレイグの後任に意欲をみせたこともあった。9年前とはいえ、60歳目前。この人の衰えない意欲が分かる。

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1980年入社。東京都出身。文化社会部では主に映画を担当。
黒澤明、大島渚、今村昌平らの撮影現場からカンヌ映画祭、ハリウッドやロンドンのスタジオなどを幅広く取材した。大島監督が出演していた頃の「こんにちは2時」や水前寺清子司会時代の「ワイド!スクランブル」(いずれもテレビ朝日系)では曜日コメンテーターを務めた。
この10年間はインタビュー・ページ「サタデージャニーズ」のサブ担当をしているので、ジャニーズタレント大半の取材経験がある。Webコラムはサイトの開設時から20年近く書いているが、いまだにSNS未経験。
著書に「寅さんは生きている」「健さんを探して」「誰よりも映画を愛す」などがある。