浦和、ミラン苦しめた/クラブW杯
- ACミランに0対1で敗れサポーターにあいさつする浦和イレブン
<クラブW杯:ACミラン(イタリア)1-0浦和>◇13日◇横浜◇準決勝
アジア王者の浦和が、世界舞台でACミラン(イタリア)に食い下がった。クラブW杯準決勝で国際サッカー連盟(FIFA)主催大会として、日本勢で初めて欧州王者と真剣勝負。相手のパスワークに苦しみながら、数多くのピンチを耐え、速攻による反撃で得点機もつくった。後半23分、MFシードルフ(31)にゴールを奪われて0-1で敗れたが、歴史的な大一番でミランを本気にさせた。浦和は16日、エトワール・サヘル(チュニジア)との3位決定戦(横浜国際)に臨む。
体を張った。ワールドクラスがずらりと並ぶACミランに、浦和がギリギリで守り続けた。6万人のサポーターの後押しを受け、敵に削られてもすぐに立ち上がった。ボール支配率は39%と押し込まれる。後半23分、カカの左サイド突破を止められず、シードルフに得点されたが、可能性を感じさせる90分間だった。
日本勢が欧州王者との真剣勝負に挑んだ。歴史的一戦で、浦和は世界レベルを体感した。前半途中からACミランの素早いパス展開に遅れた。ピルロ、アンブロジーニ、カカらのパスワークに守備に走るしかなかった。鈴木は「走らされ、疲れました。これが世界のサッカーという気がした」と苦笑い。阿部も「ボールコントロール、判断の速さ。中盤の選手をマークしている時に感じました」とため息をついた。
イタリアプロリーグの歴史は100年を超える。15年目のJリーグとの「格差」だった。しかもオフシーズンの親善試合ではない。相手はベストメンバーで世界一のタイトルを狙いに来ている。底力が違う。
そんな中、意地は見せた。守備で世界トップ級の堅さを誇るミランに食い下がった。GK都築が両サイドからのクロスに果敢に飛び出す。DF陣は相手シュートに体ごと突っ込む。温存予定だったインザーギまで途中出場させるほど、欧州王者を慌てさせた。オジェック監督も「苦しめることはできた」と最少失点に抑えた守備に満足した。
攻撃でも好機はあった。前半27分、ワシントンが相馬の左クロスに反応。あと1歩でクリアされた。同41分には相馬の左クロスに永井がヘッドで折り返し、最後は鈴木が右足シュート。相手GKジダに止められたが、敵にも浦和の実力を認めさせた。ガットゥーゾは「とても組織力があり、良い仕事をしていた」。カカにも「戦術が良く難しい相手だった。何があってもおかしくなかった。結果として勝てた」と評価された。後半途中からはベテランDFマルディーニをベンチから引っ張り出した。
本気にさせたからこそ、悔しさも募った。試合終了直後は「やれないことはない」と言っていた鈴木だが、時間の経過とともに「本当に悔しい」と唇をかんだ。世界を体感できた。自らの実力も再確認できた。鈴木は「もう1度やってみたい」と熱望した。その視線は来年に向く。「ボクらは目標が変わったことになる」と鈴木。もうアジア王者では満足できない。【藤中栄二】
[2007年12月14日9時14分 紙面から]
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