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たった10万?ハンド日本に「中東のワナ」
- 記者会見するアジア・ハンドボール連盟のアハマド会長(共同)
「中東の笛」の次は「中東のわな」だ。ハンドボールのアジア連盟(AHF)は5日、クウェートで常任理事会を開催し、北京五輪アジア再予選を開催した日本と参加した韓国に対し、1000ドル(約10万5000円)の罰金と警告処分を科した。罰金を支払うことで、来年の世界選手権のアジア予選となるアジア選手権(17日~、イラン)への参加を認めるとしている。しかし、罰金を支払えば非を認めることにもなるため、日本協会の渡辺佳英会長は「払う必要はないと思う」との見解を示した。
警告処分と罰金1000ドル。日本円にして10万円強なら、払えない金額ではない。AHFは再予選前に日韓に対し、実施した場合は「除名や資格停止などの厳罰も辞さない」としていた。ただし、一見拍子抜けした軽い処分こそが、「中東の笛」ならぬ「中東のわな」だった。
AHFは、日韓が罰金を支払わない場合は、アジア選手権への出場権を失うとした。参加費にも思える手ごろな額を設定した方が支払いもしやすい。しかし、たとえ罰金が1ドルでも、支払えば日本や韓国が北京五輪アジア再予選について非を認めたことになる。
日本協会の渡辺佳英会長は「個人的には処分を受け入れる必要はないと思う。何も悪いことはしてないのだから」と明言。市原則之副会長も「500ドルでも1万ドルでも基本的に払う必要はない」と徹底抗戦の構えを見せた。一方、日本男子総監督でもある蒲生晴明強化本部長は「AHFのじらし作戦なのか。次の追加処分で輪をかけてくるにおいを感じる」と警戒した。
現にアハマド会長は「(AHFの)理事会と総会で、さらに処分を検討するように求める」と追加処分の可能性もほのめかしている。国際連盟(IHF)は、AHFの暴走を認めないことを表明しているが、AHFもIHFと日韓に対して徹底抗戦の構えを崩していない。
不透明になったアジア選手権について、蒲生強化本部長は「強化の立場では、常に戦える準備はしておく」と明言した。何が起きてもいいように、準備だけは進めておくしかない。再予選が終了しても、まだまだ「中東の笛」は吹き荒れる気配だ。
[2008年2月6日8時41分 紙面から]
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