第87回全国高校ラグビー大会
伏見工が数珠つなぎ4強/高校ラグビー
- 後半19分、伏見工・WTB羽柴は右隅にトライ(撮影・渦原淳)
<高校ラグビー:伏見工26-15尾道>◇準々決勝◇3日◇花園ラグビー場
伏見工(京都)が26-15で尾道(広島)を破り、準決勝に進出した。前半6分にプロップ寺村優佑(3年)が右ひざ負傷で退場、後半にもケガ人が出たが、高校日本代表FB井口剛志(3年)主将を中心とするチーム力でカバー。全4トライに絡んだ井口は、GK3本も決めて危機を救った。
ステップを切りながらグイグイ前に出た。伏見工FB井口剛が尾道の防御に穴を開ける。後半29分、頼れる主将が起点となって右へ展開。ラックから今度は素早く左へ。1人、2人、3人…。再び井口剛を経由して最後は6人目のフッカー竹田が左中間にダメ押しトライ。伏見工の強さを象徴する圧巻の“数珠つなぎ”ラグビーで4強入りを決めた。
前半12分の先制を含めてこの日2トライで大会通算6トライのWTB羽柴が胸を張る。「チーム一体のラグビーができた」。その中心が井口剛だった。寺村、辻井の両プロップが負傷交代する危機にも動じない。「士気が高まった。仲間の分まで頑張ろうと」。全4トライを演出し、左右の隅から難度の高いゴールも成功。全得点に絡んだ。「マークされながらあそこまでやれる。井口中心のチーム」。高崎監督も称賛した。
「背中を押してくれました」。井口剛が心の中で頭を下げた人物がいる。修学院中時代の監督で、4年前の10月にがんで他界した吉本康伸さん(享年40)だ。伏見工OBで、山口良治総監督の信条「信は力なり」を吉本さんは「心は力なり」と言い換え、精神面を鍛えられた。今大会は恩師からもらった練習着を持ち込み、心の支えにしている。
2年ぶり5度目の栄冠まで、あと2勝。近畿勢最後の砦(とりで)として臨む準決勝は、4月に5-24と敗れた長崎北陽台が相手だ。「トライを取られたら取り返す。日本一を狙って頑張っていきたい」。名門を引っ張る主将の言葉は、自信に満ちていた。【西尾雅治】
[2008年1月4日11時52分 紙面から]
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