ホームバックナンバー2002年11月号

スポーツ法政 ’02 11月号

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ラグビー:打倒関東学院 法大王手 法・関今昔物語 コラム 東京六大学野球:新4番 佐々木 法大無念! 衝撃の結末 山中監督勇退 河野 本塁打王に 澤村 ベストナイン 門間 今季8盗塁 渡辺 サヨナラ弾放つ 新主将決定 コラム  陸上:予選会で笑顔の勝利 土井 箱根路へ 全日本 無念の9位 水泳:アジア大会 名倉 銀 全日本インカレ 新主将 若林瑞 スケート:アイスホッケー 5連勝  フィギュア 本田GP初優勝 バスケ:タクシ・板倉 残留の原動力 インカレへ向けて 女子バスケ 今年も大舞台へ 馬術部人馬一体の芸術 馬と共に生きる 相撲部:頂点への夢新たに 平良 ベスト32 バレー:屈辱の7位入れ替え戦へ 主務・上園 サッカー:2部リーグ戦 決めて守って勝った コラム 重量挙げ部:新人戦 全員入賞 アメフト:闘将鷲井 頂点へ向けて 気合十分RB QB桑野 100%の力で挑む 関西展望 リーグ戦プレイバック プレーオフ展望 コラム  

ラグビー部 リーグ戦頂上決戦
打倒関東学院 法大王手

関東大学リーグ戦

関東大学リーグ戦の優勝を決める法大対関東学院大の一戦が秩父宮で行われる。 法大はリーグ戦全勝優勝を目指し、最強のライバルに挑む。

苦しむ法大


 いよいよこの日がやってきた。昨年に引き続き、今年も関東学院大との全勝対決でリーグ戦の優勝が決まる。
リーグ戦緒戦の東海大戦後、山本監督はこう語った。「一試合一試合を大切に戦っていく。その結果として最後に関東学院大との試合を全勝で迎えられたらいい」。 その言葉どおり全勝で関東学院大戦を迎えた。しかしここまでくる道のりは決して平坦なものではなかった。二戦目の専大戦では64−14と圧勝したもののハンドリングエラーを連発。 タックルに関しても「法大らしい激しさがなかった」(山本監督)。SH麻田主将(社4)は「よいところはひとつもなかった」と試合を振り返った。
 そして次の大東大戦で法大は最大の試練に直面する。相手は強力なトンガ人留学生を擁し、法大にとって相性のよいと言える相手ではない。 この試合でもFWの近場を執拗に攻められ、DFラインを下げされた。BK陣も主力であるFB遠藤(経4)、CTB金澤(経3)をケガで欠く苦しい布陣。 そのため連携にずれが生じ、思うような動きができなかった。試合は30−15と一旦はリードを広げたが、じわじわと追い上げられる苦しい展開になる。 結局、最後は1点差でかろうじて逃げ切った。「関東学院大とやる前までとにかく負けたくない」(麻田主将)という気持ちが何とか勝利をもたらした。
 続く流通大戦でも勝つには勝ったが消化不良の試合内容。「今年の法大は大丈夫なのか」という不安の声も聞こえてくる。 しかし山本監督は「11月には生まれ変わった姿を見せる」と力強く語った。
 

約束の11月


 そして強豪との対決を控えた11月に入る。11月の法大の初戦は昨季3位の中大。前半の最初こそ攻めあぐねる場面があったが、14分にトライを奪ったあとは完全に法大ペースで試合が進む。 後半に入ってからは自慢のBK陣がこれまでになかった攻撃を見せ、トライを量産。守っても激しいタックルが復活し、中大を相手に完封勝利を果たす。 山本監督の言葉が現実のものとなった。次の日大戦でも快勝し、運命の決戦を迎える。
 大学選手権3連覇を目指す関東学院大も順調なシーズン開幕を迎えたわけではない。練習試合では早大に2連敗、明大にもよもやの敗戦と苦しんできた。だがシーズンが深まるにつれて、チームが完成してきた。 強力FWはもちろん、決定力のあるBKと隙を見付けづらい。
 しかし今年の法大の戦力も勝るとも劣らない。今年、前半に不調だったもBK陣を支えたFW陣。関東学院大FWにもひけを取らない。 BK陣も後半に入り息のあった華麗な攻撃を見せ始める。BK陣を生かすSH麻田主将の冴えをみせる。山本監督は「我々はチャレンジャー。何としても勝つ」と日大戦後に語った。 春から「打倒関東学院大」を目標に掲げてきた法大が大一番に挑む。  
(庄司 岳史)

 喜びも悲しみも 法・関今昔物語

89年リーグ戦

前年に初めて敗戦をした法大。この試合も前半、リードされて折り返す。しかし、後半にFWが奮起し、流れを変える。 NO8三浦、SH富樫のトライ等で何とか同点に持ち込んだ。ちなみにこの年の主将は山本監督。

96年リーグ戦

前半、法大はFWの勢いで勝りCTB濱渦のトライ等でリードする。だが後半に仙波を中心とした関東学院大BKが法大を圧倒。 5トライを奪われ完敗した。翌年、関東学院大は初の大学日本一に輝き、一時代を築いていく。

98年リーグ戦

闘将・大西率いる法大が関東学院大に挑んだ。前半はWTB浦部が2トライを奪うもリードを許す。後半も一進一退の攻防が続く。 そして31−32とリードされたロスタイム、SO内田がPGを決め劇的な勝利を手にする。


ラグビーコラム  栄冠目指して
 法大の快進撃支えるFW陣


 昨年からのメンバーが数多く残る今季の法大FW陣。武村前監督が「FWでやられた」と語った昨年の関東学院大戦から一年。彼らの成長ぶりをそのまま示すように、今季の法大はFW陣の活躍が目立つ。
 FW第1列は、PR中村(工2)、福田(社3)、菊澤(社4)、HO谷口(社3)、水山(法3)といった顔ぶれ。
 昨季新人ながらレギュラーに定着した中村は、今季全試合フル出場し1番の座を不動のものとしている。また福田もU21日本代表の実力者だ。「力量的には同じ。戦略によって使い分けている」と山本監督が語る谷口、水山。どちらがスタメン出場するかは山本監督の采配次第だろう。
 LOはともにU21日本代表の磯岡和(経4)と、佐藤平(経3)のツインタワーだ。
 昨年の関東学院大戦では、ラインアウトでのミスが敗戦の大きな要因になった。
 しかし今季の法大は、ラインアウトの成功から得点につながるシーンが数多く見られる。一点差という激しい戦いになった大東大戦では、5トライのうち3トライがラインアウトからモールをドライブし、トライするという形。今季の法大にとってラインアウトの成功が、得点の重要な鍵となっているのだ。
 確実なキャッチングをする磯岡和は、今季副将としてもチームを支える頼もしい存在だ。佐藤平はボールを持ってひたすら前に突き進む姿がつねに観客を沸かせる。関東学院大戦でもこの二人の活躍に期待したい。
 BKあがりのFL佐藤崇(社3)は持ち前のスピードを生かし、現在までリーグ戦通算8トライ。チーム内で最多トライ数を誇る。また昨季ルーキーながらレギュラーを張った大隈(社2)は、今季は全試合フル出場。激しく粘り強いタックルで相手をなぎ倒す。
 NO8磯岡正(経2)は、中大戦でのカバーディフェンスが高く評価される、器用さとスピードを持った選手だ。
 また第3列は、ハードタックルがうりの武藤(経3)、法大魂のタックルを受け継ぐ神山(法4)、「ここまでのプレーヤーだと思わなかった」と山本監督の語る岡崎(経2)と選手層が厚い。
 現在関東学院大に4連敗中の法大。しかし法大伝統のスピードを受け継ぐBK陣に、躍進を続けるFWのパワーが一体となった今季の法大は昨季とは一味違う。
 リーグ戦優勝、そして大学日本一を目指す法大は、15人全員が一丸となり、学生王者、関東学院大に挑む。   
(後藤 芳恵)
  

東京六大学野球  新4番佐々木
打撃開眼! 積極打法で高打率

「本塁打を打てる打者になりたい」

 今季、奮わなかった法大打線の中で一人気を吐いていたのが佐々木勇喜(法3)。打率・326、本塁打3、打点6というチーム一の成績を残した。
 開幕の明大戦は佐々木にとって怪我からの復帰戦となった。不安はあっただろうが、明大のエース・一場から安打を打つと波に乗る。東大1回戦では公式戦初となる本塁打を左翼へ放った。 「これをきっかけに狙わなくても本塁打を打てる打者になりたい」と喜んだ一打だった。続く2回戦では不振の後藤に代わって初めて4番に抜擢される。そしてここでも適時打を含む2安打と結果を残した。
 ここからが今季の佐々木の成長だ。試合を重ねるごとに練習の成果が現れ『気持ちの変化』が起こっていた。それは中心選手としての自覚の現れである。その象徴的な試合が慶大1回戦だ。同点で迎えた6回戦2死二塁、慶大のエース・長田から決勝の適時打を放ち法大は接戦を制した。 「自分が決めようと積極的にいった。一つ上の学年にいい打者がいるが、その人たちに負けないように自分がチームを引っぱっていくんだという気持ちで臨んでいる」と語るように気持ちが前面に出た安打だった。
 法大の攻撃の時、ベンチから一番大きな声を出してチームを盛り上げる。打席に入れば早いカウントからストライクは積極的に振る。チャンスメークも試合を決める打撃もできる。まさにチームの中心選手に、そして見ている者には「佐々木ならやってくれる」と思わせる選手に成長した。
 ここにくるまでの道程は長かった。入学当初から打撃力が期待されていたが、選手層が厚い法大で、これまで出場機会は少なかった。試合に出たいという思いから外野へのコンバートを志願。そして今春のリーグ戦で左翼手として始めて全試合出場を果たした。 打率・171、本塁打0、打点3と全く納得のいく成績ではなかった。だが夏に奮起し、秋季に見事にチャンスをものにした。
 来期の目標は「優勝。首位打者になる」と力強く宣言。後藤、澤村、河野ら多くの主力選手が抜けるため、佐々木の担う役割は大きい。しかし佐々木なら、さらなる飛躍を果たし法大を優勝に導いてくれるだろう。
(前森 恵理子)

◇佐々木勇喜(ささき・ゆうき)
1982年2月25日生まれ。大阪府出身。174a、77`。O型。右投げ右打ち。99年智弁和歌山高の主将、4番を務め夏の甲子園でベスト4。全日本高校選抜メンバーに選ばれ、5番打者として活躍した。


法大無念!! 衝撃の結末

狂った歯車

 法大にとって今季最終週となる立大2連戦。有終の美を飾るためにも、優勝への望みをつなぐためにも負けられなかった。しかしまさかの連敗。勝ち点を落とし、夢は潰えた。
 立大は春季に勝ち点を落とすまで、16季連続で法大が勝ち点を奪ってきた経緯がある。相性の良い相手であり、組みやすいはずだった。だが立大1回戦では、エース・土居(営4)が立大打線につかまり、7失点。打線も援護できず、2点返すのが精一杯で2−9と大敗した。正念場となった2回戦では9回に試合をひっくり返され、2−4と逆転負けを喫した。

法大の軌跡

 開幕当初、法大は打撃・投手陣共に不安を抱えていた。投手陣では奈須(法4)・松本祥(法3)はケガからの復帰がおもわしくなく、万全の状態とは言えなかった。打撃陣も極度の打撃不振から抜け出せず、「各選手に好不調の波があった」(山中監督)という様に、安定した力を出せなかった。「総合力はNo.1」といわれた法大の実態はお寒い限りだった。
 だが、法大の選手たちは苦しいチーム事情にもめげず、その持てる力全てを出しきって戦っていった。初戦の明大戦こそ1分け2敗で勝ち点を落としたものの、続く早大1回戦では渡辺(文3)のサヨナラ本塁打により勝利をあげる。さらに3回戦では9回裏に澤村(営4)・河野(営4)の本塁打で劇的な逆転勝利をあげ、今季初の勝ち点をあげた。この勝利には2試合を最小失点で投げきった土居の力投も不可欠だった。そして東大1回戦では打線が爆発。11−1と大勝した。翌日の2回戦においても投打がかみ合い5−0と完勝。この勢いに乗って慶大1回戦では佐々木(法3)の適時打で追いすがる慶大を振りきり、4−3で勝利。続いて2回戦では河野の本塁打などで計6点を奪うと、救援で登板した奈須が後続を抑え、6−2。勝利を手にした。この時点で勝ち点は3。自力優勝の可能性は消えたが、最後の相手となる立大から勝ち点をあげて、早慶戦で早大が勝ち点を落とせば優勝の可能性はあった。結局立大戦で連敗したものの、法大はチーム一丸となり最後まで全力でプレーした。シーズンを終えた時、優勝を逃しはしたが、選手達の顔は晴れやかだった。

夢を継ぐ者

 今年は春・秋通じて惜しくも優勝には手が届かなかった。しかし、今季東大2回戦では初めて4番を打った佐々木、スタメンとして定着した藤田(人2)、救援投手として4試合に登板した山下哲(文3)など、新しい力の台頭も目立ち、来季への期待がふくらむ。今季限りで4年生はチームを離れ、山中監督も退任を表明した。彼等の果たせなかった日本一への夢は、下級生と新監督に必ず受け継がれるだろう。
(山本 啓介)

監督9年間 リーグ戦優勝7度 日本一1度
山中監督 勇退

 法大野球部、山中正竹監督(55=工学部教授)が今季限りで退任することになった。
 同監督は現在全日本アマチュア野球連盟・強化本部長わ兼務しており、今後は教授職を続けながら、アマ球界の活性化に専念していくことになる。
 後任は未定である。

48勝

 今季法大は4位に終わったが、9年間の監督在任期間は法大野球部の最長タイである。この間の成績は、18季でリーグ戦優勝7度。95年には、全日本大学選手権で優勝している。
 山中監督は現役時代、1年時から左腕エースとして活躍。在学4年間で東京六大学最多記録の48勝をマーク。「小さな大投手」と言われ、田淵、山本(浩)、富田らと共に法大黄金時代を築く。 法大卒業後は住友金属監督、92年バルセロナ五輪の全日本代表監督を務め、銅メダルを獲得。
 その後、94年より母校法大野球部監督に就任。稲葉(現ヤクルト)、廣瀬(現広島)、平馬(現東芝)をはじめ、数多くの選手の能力を引き出し、プロ野球・アマチュア界の大舞台に送り出している。 また、自身の国際大会経験から、海外遠征を行い、留学生を招くなど、国際性豊かな野球部を目指してきた。
 今年2月には川崎市の企業が集まり、地元住民との交流などを目的とした「朋心界」が発足した。

河野 4ホーマー 本塁打王に輝く

 今季4本の本塁打を放ち、見事本塁打王に輝いた河野。決勝、サヨナラ、先頭打者…それぞれ非常に大事な場面で放った価値ある一発であった。しかし河野はそのことよりも「優勝できなかった悔しさのほうが大きい」と言う。それでも「強烈な仲間と出会えたこと、また捕手と外野手の両方を経験できたことは今後の財産になる」 と語り、貴重な4年間を締めくくった。

澤村 有終の美 ベストナイン

 華麗な守備、正確な犠打、器用な打撃ー。随所で安定した活躍を見せた澤村が、初のベストナインに選ばれた。 今季は安打13、本塁打2、打率・310と、フル出場で3番の役割を全う。特に早大3回戦では、9回裏に同点本塁打を放ち、 その勝負強さを知らしめた。「いい仲間と出会え、野球を楽しくやれた」。澤村は、最後に大きな賞を手にし、有終の美を飾った。

門間 快足披露!! 今季8盗塁

 「出塁したら足でかき回したい」。この言葉通り持ち前の機動力を発揮した門間勇介(法4)。今秋通して8盗塁を記録。中でも立大1回戦では本盗を含む4盗塁を決めた。これは、4年間全力で野球に取り組ん成果といえるだろう。最終戦後に見せた笑顔が、全く悔いのないことを物語っていた。

渡辺 値千金!! サヨナラ弾放つ

 「早大1回戦でのサヨナラ本塁打が全て」渡辺は最終戦終了後に今季をこう振り返った。この言葉には結果を残せた満足感と後半戦を負傷で欠場した悔しさが入り交じっていた。 来年は最高学年、渡辺のここ一番での勝負強さに掛かる期待はさらに高くなる。 「4年生の悔しさを晴らしたい」と語る渡辺。来年目指すものはただ一つ、優勝のみである。

新主将決定

 法大野球部は、来季からの新主将に新里賢捕手(法3=浪速)を、副主将に佐々木勇喜外野手(法3=智弁和歌山)を選んだと発表した。新里今季全試合にマスクをかぶり、投手陣を盛り立てた。来季はチーム全体を引っ張るという重要な役割を担うことになった。

野球コラム ザ・スコアボード〜その1〜
法大の功労者

 私は一瞬目疑った。とある日の朝、新聞で「山中監督辞任」の見出しを目にしたときのことである。突然のニュースに驚きを隠しきれなかった。
10月28日、法大は立大に黒星を喫した。この結果、優勝を逃すとともに、今季の最終戦となった。試合後、いつものように取材をした後のことだった。山中監督は我々に対して「これまであなた方が野球部のことを伝えてくれたことによって、選手はそれを刺激にして成長していった。非常に感謝している」という言葉を残していた。今思えば、これが我々に対する別れのメッセージだったのかもしれない。
 私も山中監督に対する感謝の気持ちは計り知れない。常によい環境で取材をさせてもらえたことに一番お礼を言いたい。試合後、球場のベンチ裏の通路は多くの人でごった返す。そんな中、山中監督は我々のところに向かってきて取材に応じてくれる。また1つ1つの質問にも丁寧に答えてくれた。「人間形成に役立っていきたいという思いで選手と接してきた」。そう語る山中監督のもとでプレーした選手も、異口同音に感謝の辞を述べていた。彼らが今後、それぞれの道で活躍する姿、そして山中監督の野球界での貢献を見守りたい。
(斉藤 修一)




陸上部 魅せた!笑顔の勝利!!
「俺がエースだ」 土井

 10月19日、立川国営昭和記念公園にて、第79回東京箱根間往復大学駅伝競走の予選会が行われた。我が法政大学は見事3位で予選を突破し、本戦出場権を手に入れた。なかでも主将土井洋志(社4)が、個人総合1位の快走。エースの意地を見せつけた。日本人がトップでゴールしたのは8年ぶりのことだった。

59分47秒!−読みあげられたタイムと同時に、トップでゴールテープを切ったのは土井であった。その時土井は、前回の箱根駅伝からずっと引きずっていたものがやっとふっ切れたような表情を見せた。
 「あいつはやるよ。ここ数年あいつをみてきたけど」。陸上・長距離部前主将の徳本一善(現日清食品)からも太鼓判を押されている土井。しかし、実は2週間前に体調を崩していた。練習できない日々が続き、不安を感じていたという。その中で迎えた予選会当日、土井の表情から"不安"の2文字は消えていた。「いつも通りの走りでいいから緊張するなよ」「スタート、おもい切って出ろ。埋もれるな」。スタート前、後輩達一人一人に、それぞれに見合ったアドバイスを与える土井の姿があった。1,2年生にとっては初めての予選会。主将の一言は大いに彼らの力となったであろう。
 レースでは序盤から積極的な走りを見せ、途中でおいていかれそうになりながらも、常に先頭集団の中で走り続けた。予想通り混戦模様のレース展開となったが、ラスト2キロ、徐々に後続を引き離しにかかった土井がそのままトップでゴール。「レースを引っ張る気はなく、マイペースでいこうと思っていた」と言うように余裕すらうかがえる。この1年で力をつけ成長した部員たちも次々にゴールし、1位の土井から3分程度で12人全員がゴールを果たした。その結果、チームは予選を3位で突破し、見事本戦出場を決めた。
 レース終了後、土井は語った。「何かちょっとでかい事ができるチームだと思っているので、楽しみにしていて下さい」。きっと、彼の言葉は口先だけではない。今年の法大には何かをやってくれそうな雰囲気が例年以上にあるからだ。本戦では2区で勝負したいという土井。過去2年間、9区を好成績で走っているだけに、周囲の期待も大きい。法大のユニフォームを着て走るのは箱根駅伝が最後。このままの勢いで有終の美を飾ってくれるに違いない。

(関 百合子)


3位で予選通過 箱根路へ!!

笑顔で決めた

 「3位法政大学」。このアナウンスが聞こえた瞬間、大きな歓声と共に土井が胴上げされた。選手たちは心からの笑顔で喜びを分かち合っていた。
 今年1月、エース特もとの涙の途中棄権はまだ記憶に新しい。その徳元自身、まだ箱根を乗り越えられずにいた。卒業後も夏合宿や練習で共に走り、後輩たちを見守ってきた。
 「僕らできますよという結果を残してくれれば、自分も箱根を卒業できる。今のチームなら必ずやってくれるはずだ」と語ってい た。自分がタスキを途切れさせてしまった−。そのことが徳本の中でずっとひっかかっていたのではないだろうか。
 一方、今年1区で徳本にタスキを渡した黒田(社3)も、「来年の箱根でタスキを最後までつなげる。それは徳本さんのため、そしてチームのため。やらなければならないことだ」と語った。今年途切れてしまったタスキを来年、最初から最後までつながなければならない−。選手たちの気持ちは一つになっていたに違いない。タスキの重みというのは、駅伝を一度経験した者でなければ分からないであろう。

チームの勝利

 そして迎えた予選会。34校396人のランナーの中から法大の選手を見つけ出すことは容易だった。なんと、選手全員の髪の毛が法大カラーのオレンジ色に染まっていたのだ。皆で示し合わせて染めたという髪には、法大にしかできないことをやってやる、チーム一丸となって戦うという気持ちが込められていた。
 個人総合1位の土井をはじめ、黒田(社3)、長嶺(経3)、有原(経3)がチームを引っ張る。そして、「2年がだいぶ形になってきたことや、1年生も使えることが分かったのは大きい」と成田監督が語るように1,2年生の活躍も3位通過に大きく貢献した。ずば抜けた選手がいなくなった分、全体的なレベルが上がり、例年以上に戦えるチームに仕上がっていることは間違いない。

戦いは目前

 予選会を良いかたちで乗り越え、法大はチームとしてひとまわり大きくなった。そして選手1人1人が刺激しあい、さらにたくましくなったように感じられる。
 しかし本当の戦いはこれからだ。本戦まで残り1ヵ月半。全員でタスキをつなぎ、シード権はもちろん、やるからには上位を狙っていく。どんな走りを見せてくれるのか今から楽しみだ。   
(藤井 聡子)

全日本大学駅伝  法大無念の9位

第34回全日本大学駅伝が11月3日、愛知・熱田神宮から三重・伊勢神宮までの8区 間106・8キロで行われた。
 昨年5位という好成績をおさめた法大は、今年もシード権確保を目指して、全国から集 まった強豪25校がひしめき合うこの戦いに挑んだ。
 レースは1区黒田将由(社3)、2区長嶺貴裕(経3)が快走を見せ、4位で3区岡田拓 也(経1)にタスキをつなぐ。しかし大学駅伝初出場となった岡田は、8位まで順位を落 としてしまう。その後も4つ順位を下げた12位で最長区間8区を任されたエース土井洋 志(社4)にタスキを渡した。
 レース前「いっぱいいっぱい。かなりきつい」と述べていた土井。成田監督も「全く練習 ができていないようだ」と心配していた。しかし、目標としていた区間賞には一歩及ばない ものの、区間2位。エースとしての意地を、ゴール前につめかけた多くの観衆に見せつけ た。総合順位も、土井の力走で9位にあがった。調子が悪いながらも結果を残したこのレ ースは、土井にとって次につながる確かな手ごたえとなっただろう。
 このレースが今季最初の最初の駅伝であった法大。成田監督は「最悪の結果だった。中 盤がだめすぎた。とにかく悪いレースだった」とふり返った。緊張や疲労などによって、 残念ながら本来の実力を出しきることが出来なかった選手もいただろう。しかし箱根駅伝 までには、あと1ヵ月以上ある。今、調子の悪い選手も必ず復調してくるに違いない。本 番の箱根では、さらにたくましくなった法大を見せてほしい。  
(長野 恭子)




アジア大会400mフリーリレー 名倉 銀
日本人初の40秒台へ―

 法大生にアジア大会の銀メダリストがいる!9月29日〜10月14日に韓国・釜山で行われたアジア大会に、男子・競泳の日本代表として出場した名倉直希(社3)は、4×100bフリーリレー(以下リレー)で見事銀メダルを獲得した。また、名倉は6月に行われた日本選手権の100b自由形で日本新記録も樹立した男でもある。今夏は横浜で行われたパンパシフィック水泳にも出場。世界で活躍する名倉の活躍から目が離せない。

「納得してない」アジア大会


 アジア大会に日本代表として出場し、リレーで見事銀メダルを獲得した名倉。喜びの声を期待したが、開口一番「個人種目で成績残せなかったし、リレーもタイムが全然伸びなかった」という反省の弁が返ってきた。
 個人種目で50b自由形に出場した名倉は、予選を1位で通過し決勝に進んだものの、結局5位。リレーでは「本当は中国に勝って金(メダル)が取れたはずだった」。満足しきれない思いが名倉の中に強く残った。
 試合前からリレーでは「日本新(記録)が狙えると言われていた」。だが結果は4人のうち3人の記録が伸び悩み、中国にも破れる形となってしまった。「(銀メダルは)すごいのかもしれないが、納得していない」。アジア大会は名倉にとって、苦い経験となった。
 しかし現状に甘んじない厳しさが、名倉をまだまだ成長させるだろう。

"パッ"と出た日本新記録


 そんな名倉には"元日本記録保持者"という肩書きもある。名倉は6月に行われた日本選手権の100b自由形・予選でいきなり50秒41の日本新記録をマークした。「調子いい感覚もなかった。ただ、予選だし、力まず自分の泳ぎをしただけ」。当時の日本での名倉のランキングは7位。まさに伏兵の出した記録だった。
 残念ながら記録は同大会中に破られてしまったものの、名倉の勢いは止まらない。見事自由形で50b、100b共に3位に入り、これ により夏のパンパシフィック水泳、そしてアジア大会への出場権を獲得したのだった。

もっともっと速くなりたい


 このように日本でもトップレベルで戦う名倉だが、「勝敗にはこだわらない」と言う。勝ち負けよりも「速くなりたい。もっとタイムを伸ばして少しでもランキング上がりたい」。
 速くなりたい―。人に勝つことよりも自分に勝つことを目指し、名倉は泳ぎ続けているのだ。そして、自分に勝つことが自然とライバルたちに差をつけることにもなる。
 「日本で一番良いものを持っているし、センスが良い。でもまだ発展段階だ」。八塚監督は名倉をこう評した。名倉の向上心は人一倍である。「練習はこなすんじゃなく、タイムを計ったり、気持ちを入れてやることが大事。科学的データももちろん大事だが、やっぱり最後は心だよ」。熱く語った名倉の心に、果てしない可能性を感じずにはいられない。
 日本人初の100b自由形40秒台へ―。日本水泳界の頂点を担うこの男は、次にどんな記録を作って驚かせてくれるのだろうか。  
(小田桐 由紀)

★名倉直希(なぐら・なおき)1981年12月21日生まれ。名古屋学院高出身。182a・70`。
【ベストタイム】50b自由形23秒11、100b自由形50秒41

全日本インカレ 結果報告

男子団体5位


 9月6〜8日に名古屋市で行われた全日本インカレで、男子は団体5位となった。
 50b自由形では、名倉、星田(経2)がワン・ツーフィニッシュ。「地元の名古屋での開催だし、インカレには力を入れていた」と言う名倉は、自己ベスト(23秒11)を出しての優勝だった。
 その他にも、200bバタフライの臼田(社1)が2位、100b背泳ぎの若林(経3)が3位、400bメドレーリレーでも3位に入るなど、それぞれの活躍により、昨年の7位から2つ順位を上げ、5位で見事シード権を獲得した。

女子団体4位


 昨年団体8位だった女子部は、全員が出せる力を出し切った結果、団体4位となった。
 新主将の小塚(社3)は「チームワークが良かった」と振り返る。「1点でも多く点数が取れるよう、誰かが泳ぐ時には必ず励まして、一緒に頑張った」。4位という大躍進には喜びと驚きを隠せなかった。
 そしてまた来年の全日本インカレへ向け、始動―。「インカレまで順位を落とさないでいきたい。来年は3位を目指す」。決して容易なことではないが、彼女たちのチームワークがあれば、不可能なことでもないはずだ。

世界へ、アテネへ飛び込め 背泳ぎの雄
 新主将 若林瑞


『水泳は人間形成の道なり』。全日本インカレが終わり、新主将となった若林瑞(経3)は、合宿所の玄関に飾られたこの言葉を胸に、日々の練習に励んでいる。「水泳を通して人間形成していきたい。そしてひとりひとりの良いところを見つけて、それを引き出していきたい」。若林は主将として、法大水泳部を形成しようとしている。
 そんな若林自身の目標は「世界大会で泳ぐこと」。今年はギリギリのところで選考に漏れ、世界大会への切符を手にすることができなかった。しかし、若林は昨年の日本選手権・50b背泳ぎで当時の日本新記録(26秒16)を出した逸材である。八塚監督は若林を「素材は日本でもトップクラス」だと語る。
 「最終的にはアテネ(五輪)を目指したい」。若林は2年先を見据えている。才能が開花すれば大器になる。若林の夢は2年後、現実となるかもしれない。

水泳部創部80周年


 今年、創部80周年を迎えた水泳部は、11月1日に市ヶ谷校舎・ボアソナードタワーで祝賀会を開催した。
 80年という長い歴史を築きあげてきた水泳部。八塚監督は「何年経っても、卒業生が法政のプールを懐かしんで帰って来れるよう、ずっとプールにいたい」と水泳部への思いを語った。OB・OGの喜びや悔し涙、さまざまな思いと歴史を受け継ぎ、水泳部はまた少しずつ新たな歴史を作り上げていくだろう。



復調の証し 
勝利のみで歩むことのできる道 5連勝!!

見せた底力

   一次リーグ最終戦、法大は首位独走中の早大と対戦し、4対2で見事、快勝!!一次リーグを5勝2敗の4位で通過した。
 法大はまさかの開幕2連敗で開幕したが、徐々に調子を上げ勝利を収めた。これを振り返り、石井監督は「連敗の存在が逆に危機感を持たせ、立ち向かう姿勢を作らせた」と精神面の重要さを幾度となく語った。
 連敗の後、4連勝と波に乗って迎えた早大戦。1ピリ、法大は課題の反則が目立ち、2点を許してしまう。しかし「勝たなきゃいけないという緊張がとれ、逆にリラックスできた」とGK片山(法3)「(反則時の失点なので)特に心配しなかった」と茅森が語るように、焦りはなかったようだ。その言葉通り2ピリでは、反則をゼロに押さえ、果敢な攻めで逆に早大の反則を誘い2点を取り返す。
 そして2ピリ終了間際、波多野(営4)が嬉しい逆転シュートを決め、3ピリでも松田(法3)がダメ押しのシュートを決めた。「皆が点を取ってくれたので絶対守りきろうと思った」と語る守護神・片山は、3ピリ序盤から早大に攻められるが、「皆にも助けられた」と厚い守りで早大を封じ込めた。反則数を修正し、勢いある攻守で60分間戦い抜いた。
 この日、早大の全勝を阻んだ法大は本来の強さを取り戻し、意義のある一勝を掴んだ。そして法大は頂上を見据え、まずは2次リーグの上位進出を狙い、全力で氷上を駆け抜ける。
(下田 晶子)


本田グランプリ初優勝 4回転2種類成功!

 11月1〜3日にカナダのケベックで行われたグランプリシリーズ(GP)第2戦・スケートカナダで、本田武史(法4)が4回転ジャンプを2種類成功させ、GP初優勝を果たした。前日のショートプログラムで4回転に失敗、2位と出遅れた本田は、逆転優勝のために4回転をトーループとサルコーの2種類にしぼり、自由演技に臨んだ。焦点をしぼったことが功を奏し、自身初の2種類の4回転着氷に成功。ほぼ完ぺきな演技で初の栄冠を手にした。また、14〜17日にフランスのパリで行われたGP第4戦・ラリックトロフィーでは3位となった。



男子バスケ部 得点・3P王タクシ 得点2位板倉
残留の原動力

 関東大学一部リーグが閉幕――。優勝を目指した法大は6位と不本意な結果に終わった。得点源としてチームを引っ張ってきたタクシ(営3)が2年連続で得点・3P王に輝き、板倉(法3)が得点2位と好成績を残した。

降格の危機

 「出だしで連敗して流れが悪くなった」(森・法4)。開幕5連敗といきなり崖っぷちに立たされた法大。ケガで調整不足のタクシが不調の中、板倉の活躍が光った。「役割は点を取ること」(板倉)と強気なプレーでチームを引っ張る。タクシも次第に調子を上げ、青学大戦では33点と大爆発。2人が平均して20点取れるようになり、法大の調子は良くなっていった。
しかし好不調の波が激しく、降格争いから抜け出せないまま首位・筑波大戦を迎える。「勝って残留という気持ちがあった」と野尻(営4)が語るように、1Qから激しいディフェンスを見せる。2Q、連続3Pで逆転。その後も集中力を切らさず、素早いチェックで相手を苦しめる。インサイドでは森、野尻が活躍。リバウンドへの信頼からシュートの確率が良くなり、さらに点差を広げる。中と外が噛み合い、91−70と今季ベストゲームで快勝した。
 「6位、1部残留は最低限の結果。ふがいない」(森)。昨年旋風を巻き起こした法大にとって、今季は過酷なリーグ戦となった。  

2大エース

 巧みなドリブルからの鋭いカットインと3Pで得点を量産するタクシ。ジャンプ力を生かし、高い打点からシュートを決めるオールラウンダー板倉。彼らはチームが苦しい時、1対1で局面を打開してくれる頼もしい存在である。アリウープなど息のあったプレーも見せ、「タクシから絶対にパスがくる」(板倉)と信頼は厚い。
 リーグ戦では得点1、2位を独占し、タクシは3P王も獲得した。「自己中心的なプレーが多く、他よりシュートを撃っているだけ」(タクシ)。「凄そうに見えるがチームは6位。2人に片寄ってしまっているから、もっと周りを活かしたい。個人よりチームの順位を優先」と満足していない。攻撃の起点が2人からで得点パターンが少ないということを表しているからだ。インカレへ向けてこの課題を克服しなければならない。  しかし、法大のエースはタクシ、板倉である。彼らのプレーが自己中心的というレベルを越え、ゲームを支配した時、法大は勝利へと導かれる。
(高坂 知永)

インカレへ向けて

 決勝リーグ進出を目標に挑むインカレ。そのためには昨年の覇者・日体大を倒さなければならない。リーグ戦同様、厳しい戦いとなるだろう。
 法大は潜在能力が高く、勢いに乗った時の爆発力は計り知れない。しかし「良い時と悪い時の波が激しい。出だしからトップの力を出すことが必要」(森)と課題が残る。インカレは一発勝負。常に100%の力を出さなければならない。
 勝利への鍵はディフェンスとリバウンド。厳しくあたって相手の流れを止め、リバウンドを取りセカンドチャンスをものにする。そうすれば、リズムが良くなり、主導権を握ることができるからだ。そして、タクシ、板倉の活躍である。当然、2人はキツいマークにあうことが予想され、周りの選手がいかにサポートできるかがポイントとなる。
   「ベスト4、そして優勝を目指す」(森)。不完全燃焼に終わったリーグ戦からの巻き返しを期待したい。

女子バスケ 今年も大舞台へ

 昨年のメンバーに新戦力が加わり、よりレベルアップした女子バスケ部。秋季は2部リーグ3位という好成績を収め、2年連続のインカレ出場を果たした。しかし、惜しいところでリーグ優勝、1部入れ替え戦出場権を逃したのは「経験不足が原因」と関コーチは振り返る。チームの柱は2年間主将を務める佐藤(文4)。「4年間の集大成として、インカレ1回戦の桜花学園大戦は絶対に勝つ」と気合十分。もう一人の4年生間中(営4)も、最後の大会なので元気に明るく頑張りたい」と語った。
 「目指すバスケは、相手を圧倒する迫力ある攻めるディフェンス。ただ守っていては勝てない」(コーチ)。体力がないと言われてきたが、今年は40分間戦えるチームになった。3年前は部員6人で練習もままならなかったチームが、いま大きく成長している。
(しま田 愛)





馬術部 人馬一体の芸術を見よ

 多摩キャンパスから歩いて10分程のところにある城山校地。その一角に馬術部の厩舎があることをご存知だろうか。創部は大正11年、知る人ぞ知る歴史の深い部である。
 馬術と聞くと、まず障害を華麗に跳ぶ馬を思い浮かべるかもしれない。『障害飛越』と呼ばれる競技がそれに当たる。しかし、障害を跳ぶばかりが馬術ではない。障害のない四角い馬場の中で、特殊歩様などの定められた運動の態度や芸術性を競う『馬場馬術』。さらに、この2競技に野外騎乗(クロスカントリー)を加え、連続した3日間で競う『総合馬術』。競技大会では、主にこの3種目が行われている。
 競馬の騎手とは違い、厳しい体重制限はなく、誰でも乗ることができるのが馬術競技の良さである。意外にも、以前からの乗馬経験者は数人だけで、部員のほとんどが大学で馬術初体験だということだが、「夢は五輪選手を育てること」と部長の五明公男先生は語る。「地元の人をはじめ、より多くの皆さんに馬術部を知ってもらいたい。馬術は決して金持ちだけがやるスポーツではない」。野球やラグビーなど、学生スポーツの華と呼ばれる競技のような派手さはないが、馬術部の人馬一体の熱い思いは他のどの部にも負けていない。
 
(大山 裕樹)

馬と共に生きる 馬術部の一日

 馬術部の一日は毎朝8時から行われる、馬の様子確認と厩舎掃除から始まる。約一時間掛けた後、夕方5時頃まで練習が行われる。脚に負担を掛けすぎないよう、実際に馬に跨っての練習はひとり一時間程度、障害を使わないフラットワークが中心だ。全員が同じ時間に同じ練習をするわけではなく、馬に跨って練習する傍らで、馬を洗い馬具を磨いているという具合に、それぞれが思い思いの時間の使い方をしている。練習には自由な雰囲気が漂っていた。
 しかし、「馬は喋ることができないから、とにかく気を遣う」(金子・経3)と言うように、"パートナー"の世話には常に細心の注意を払う。夜間も必ず1人は厩舎に泊まり込み、24時間体制でわずかな体調変化にも対応する。また、人馬で演目を行う馬術競技では跨る人間の技術はもちろん、乗せる馬の技術も重要な要素だ。そのため、「乗馬経験の少ない下級生部員が練習に乗った馬には、後から必ず上級生が乗って馬が持っている競技技術の維持を心がけている」(池上主将・経4)とのこと。体育会で唯一動物を扱う馬術部ならではの苦労がうかがえる。




相撲部 頂点への夢新たに

 11月2,3日に、全国学生相撲選手権大会が行われた。法大は2日の個人戦では、チーム出場選手の中での最高位は、平良(営 2)の決勝トーナメントベスト32、3日のAクラス団体戦では、予選の3試合に1勝2敗と思うように勝てず、予選敗退という結果に終わった。
 4年生にとっては最後の集大成となるこの大会に賭ける思いは強かったはず。
しかし、個人戦ではエース加賀谷(営4)が予選トーナメント2回戦で日大・成田に敗れ、予選決勝まで勝ち残った津々見(営4)もあと一歩のところで土俵を割る。その中で気を吐いたのは平良だった。決勝トーナメントでは惜しくも優勝した東洋大・横山に敗れたが、これを来年へのさらなる飛躍につなげたい。
この大会を最後に、学生相撲を引退していく4年生にはさらなる舞台での活躍を祈りつつ、法大相撲部には心技体を兼ね備えた不撓不屈の精神で、大いなる躍進を期待したい。
(深澤 康平)

平良ベスト32

 「団体戦レギュラーを取って、確実に一本取れる選手になりたい」。今大会、唯一ベスト32に残った平良は力強く目標を語った。
 初戦の相手は一年生。下級生には「負けられない」という気合が平良に火をつけ、続く立教大・宇川戦も自分の相撲を取り切った。
 団体戦では一本も取れない「満足できない」結果に課題も残った。4年生の抜ける来季、平良が確実に一本取れる選手に成長すれ ば、法大の白星はさらに積み重ねられる。


バレー部 法大バレー発揮しきれず
屈辱の7位入れ替え戦へ

  秋季関東大学バレーボールリーグ戦     秋季リーグが終了した。法大は4勝6敗の7位に終わり、2部との入れ替え戦を行うことが決定した。主力の真鍋(営4)、松本(法4)、畑田(営4)にとっては最後の秋季リーグ。筑波大戦では、本来の法大バレーができたがリーグ戦を通して力を出し切れず、悔しい結果になった。

筑波大に勝利

 第1,2戦で連敗スタート。「ミスで崩れた」(畑田)と言うように、自分たちの攻撃的バレーができずに、またミスをしてしまう試合が続いた。
 そんなミスの悪循環が今後も続いてしまうかと思われたが、第3戦、強豪、筑波大に勝利する。「思い切り行けた」(真鍋)結果、1,2セットを連取。フルセットに持ち込まれるも、真鍋、畑田の勝負所をおさえたスパイクが決まり勝利を収めた。この試合では、鈴木(法2)、福島(営2)の両センター陣も高さを生かしたブロックなど効果的に機能。ミスが少なく、確実にスパイクを決めていった筑波大戦のような試合こそが本来の法大バレー部の形である。
 その後、筑波大の勝利でチームは調子を上げていくかに見えた。
   

波が激しい

 しかし、筑波大戦で見せたような形はその後続けられなかった。吉田監督は「好不調の波が激しい」と、その原因をあげた。セッターの中西(営2)も「波が激しく自爆してしまった」と振り返る。ミスの多い試合が続き、1次リーグを終え、2勝5敗で下位リーグに折り返す。順位は7位。2部との入れ替え戦がちらつく危ない状態だった。
 「悔しい」。真鍋は1次リーグの結果についてそう語った。そしてミーティングを開いてそれからの試合に向けた話し合いをしたという。選手たちもこのままでは終われなかった。
 しかし、下位リーグでは、チームを立て直すも2勝1敗にとどまり、最終成績は4勝6敗の7位に。その結果、春には免れた入れ替え戦を行うことが決定してしまった。
 

後悔残った

   今季、チームに足りなかったことはやはり「安定感」(監督)だろう。また「筑波大戦でできたことが、他ではできてない。空回りしてしまった」と真鍋。自分たちのプレーを継続できなかった点も響いた。
 今季を振り返り、松本は「思うような成績にならなかった」と語った。悔しさと後悔だけが残ったリーグ戦になってしまったが、入れ替え戦は「大丈夫でしょう」と勝利を誓ってくれた。
 12月には4年生にとって最後の大会となるインカレがある。そこでは後悔の残らない、自分たちの満足できる最高のバレーをしてくれるだろう。
                   
(稲葉 聡)

主務・上園

 彼の存在なくして選手たちの活躍はない。まさに法大バレー部の縁の下の力持ち。それが彼、主務の上園将己(法4)である。
 データ分析の他に、監督に代わり選手たちへの練習の支持などもこなす。「監督の言いたいことがわかるようになり、自分でも選手を動かせるようになった」と上園。 またチーム全体の状態を把握し、適切な判断を下せるよう、選手への気配りも忘れない。3年次に正式に今の役職についてからは「楽しくて時が経つのが早かった」と、その充実した日々を振り返る。
そんな彼について聞いてみると「すごくやさしくて面白い人。上園さんみたいなオーラが欲しい」(小島・法2)、「精神的支えです」(真鍋)という答えが。 上園がベンチにおいて最も選手たちのことを理解し、そして彼らに信頼されてきた存在であることがよく分かる。
 「目標は優勝。一度も経験したことがないので」と、引退となるインカレを前に真剣な表情を見せる上園。 コートに立ちプレーすることはなかったが、選手たちと変わらぬ熱い思いで追い続けてきた「優勝」の二文字。 この最後の大会に4年間の努力や苦労、そして喜び、全ての思い出と夢を懸ける。
(嶋田 多江子)




サッカー部 3戦10発 堅守安定
決めて守って勝った

関東大学サッカー2部リーグ

リーグ戦残り2節。下位争いを余儀なくされていた法大にとって、絶対に負けられない2試合。イレブンは、勝ちにこだわった迫あふれるプレーを見せた。
 13節、東農大戦。前節の快勝で降格という棺から片足抜け出すことに成功、この勢いで完全脱出を狙う法大は、積極的に攻撃を仕掛ける。前節結果を残した蔭地(経1)、荒木(社3)の新2トップが先制点を叩き込み、流れを引き寄せると、その後も2点を追加し3−0。2試合連続の完封勝利で攻守ともに安定した力を見せつけた。この勝利により、降格争いから脱出。上位入りも見えてきた。「絶対に勝つ」最終節に向け、選手たちの気持ちはひとつになった。
 14節、早大戦。勝てば3位が確定する法大。選手たちの前には「勝利」の二文字しかない。法大は強かった。この日も、前半で2点を先制しチームは絶好調。後半、早大に1点を返されるも、櫻井(経4)のゴールで3−1とつき放す。「ラスト いこう!」ピッチ上に響き渡るキャプテン、山本(経4)の声が、選手たちの背中を最後まで押し続けた。
 そしてホイッスル。闘い続けた法大の1年が終わった。今季の成績は第3位。目標の1部昇格は果たせなかったが、「本気を出せばこれだけできるということが来季への光」と語る監督の言葉通り、次につながる確かな手応えを得た。
 なかなか勝てない時期もあった。都リーグ降格の危機にも直面した。選手たちは計り知れないプレッシャーも背負ったことだろう。しかし、彼らは諦めなかった。逆境を力に変え、チーム一丸となって闘った。ラスト3連勝、法大の真の強さを見た気がした。  このリーグ戦終了と同時に4年生は引退、新しい法大サッカー部が動き始める。しかし、彼らの目標はいつも変わらない。「1部へ行く!」法大は闘う。熱き闘い果てには、次の闘いがある。
(山里 典子)


サッカーコラム HOSEI HEROES Vol.1

 99年11月7日、都リーグ降格のかかった入替戦のスタメンには1年生4人が名を連ねていた。中村、左近、佐々木、加藤。試合は明海大に先制される苦しい展開。しかし後半、中村のゴールで引き分けに持ち込み、法大は2部残留を決めた。
 2年時は選手権、総理大臣杯で準優勝。3年時には入替戦で惜しくも1部昇格を逃したが、東京都代表として出場した天皇杯でJ2・川崎F相手に互角以上の試合をした。
 そして今年、彼らは最上級生になった。1年時から主力として実績を残してきたが、意外にも中村は「最近の試合のことが印象に残っている」と言う。4年生として、チームを引っ張らなければというプレッシャーは想像を絶した。「精神的に疲れたけどいろいろな経験ができた」(中村)。華々しい実績よりも、苦しんだ最後の年が彼らを成長させたに違いない。
 闘将・山本、共にDFで体を張った加藤。スケールの大きいセーブを見せた小野。左近のドリブル、佐々木の左足のパス、そして中村のスター性。本当に個性的な選手たちのプレーには、目を奪われた。
 試合に出られず苦しんだ櫻井、井手も最後にピッチに立ち、勝利の味を噛みしめた。寮長として裏方を支えた末吉も見守っていた。
 これが熱いキズナとチームを想う気持ちで4年間を走り抜けた彼らのゴールだ。
 法政を愛した男たち、"ありがとう"。
 
(鈴木 優介)




重量挙部 インカレに向けて 新人戦全員入賞

 11月9・10日に全日本学生新人選手権が日大湘南校舎体育館で行われた。  

大城見事優勝

 105kg超級で大城秀人(法1)が、スナッチ127.5kg、ジャーク150.0k gのトータル277.5kgをマークし、見事優勝した。
 「背中を怪我していてまともに練習できてなかった」と語った大城。残念ながらベスト の記録には及ばず「満足いかない」。しかし優勝できたことには「よかった」と喜びを見せ た。平良監督から「優勝するように」と声をかけられて競技に挑んだ。最初のスナッチで ライバルを大きく引き離したうえでの優勝だった。
 「他の選手が伸びてきている。それに負けず伸びていきたい」と今後の目標を語る大城 から目が離せない。
 

奥山・赤嶺2位

 優勝候補とされていた56kg級の奥山正和(営1)。スナッチで大会新記録の92.5 kgに挑戦したが、2連続失敗。トップと5kg差のトータル197.5kgの2位で競技 を終えた。
 また94kg級の赤嶺一真(営1)は2種目とも昨年までの大会記録を出し、トータル で275.0kgをマークしたが惜しくも2位にとどまった。
(長野 恭子)

復活に燃える

   全日本インカレが11月28〜30日に行われる。昨年5連覇の夢が敗れ2位タイに終 わった法大はその雪辱に挑む。
 主将・天野満(営4)は法大の調子について「絶好調ではない」と語る。確かに怪我人 もいる。だが心配はいらない。個人としても完全優勝を目指す天野が掲げた「団体優勝」 に向けて現在法大は合宿中だ。この合宿で調子を上げ、さらに強くなって戻ってくるだろ う。
 「今年からまた連覇の1回目を作りたい」と意気込みを語った天野。王座奪還に燃える 法大に期待したい。                 


アメフト部 闘将鷲井 頂点へ向けて

 リーグ戦を全勝で終え、今年、関東大学新記録となる9連覇、そして「日本一」に挑むべくプレーオフ進出を果たした法大トマホークス。 初戦の相手は4年前連勝記録を止められた早大、そして決勝では春敗れた専大へのリベンジを誓う。 昨年の雪辱を晴らすべく、再び甲子園の地を踏むため、熱き主将・鷲井に導かれたオレンジの戦士たちが、プレーオフの舞台で大暴れする。  

腹をくくれ

 「目の前の試合を一戦一戦繰り返してきただけ、もっとプレーの精度を研ぎ澄まさせていかなくては」4年連続となる全勝で終えたリーグ戦を法大トマホークス主将・LB鷲井秀剛(法4)はこう振り返った。
 「わがままに自分が好きなようにやっているだけ」と鷲井は謙遜するが、今季の法大は鷲井の強烈なキャプテンシーに引っ張られてきた。 試合前のセレモニーが終わると鷲井は法大ベンチに向かい、「腹をくくって、これからやる」そんな思いを込め、大きな声をあげ自分自身を、そしてチームメイトを盛り上げてから試合に臨む。
 試合中も鷲井はフィールド上で、主将として、また守備の要であるLBとして、チームを鼓舞し続け、ピンチの場面では、相手ボールキャリアーに気持ちのこもったタックルを見舞い、悪い流れを断ち切り、一気にモメンタムを引き寄せる。 法大守備は1試合平均7.0という他校に比べ、圧倒的な成績を残したが、「まだまだ。自分たちのためにやってきたことを出せてない。やってきたことを試合に出し、びしっとしたプレーをしたい」と、鷲井の要求は尽きない。

リベンジへ

 プレーオフ準決勝の相手は、接戦を勝ち抜き悲願のプレーオフ初出場を果たした早大。早大に対し、鷲井は「リーグ戦で揉まれてきているし、いいチームだと思う。QB波木のプレーが鍵になる」と語った。
 そして、決勝で対戦することになりそうなのが、オープン戦で関東の大学相手に4年ぶりとなる敗戦を許した専大。「リズム、勢いを作るのがうまいし、各ポジションに鍵になる選手がいる。やりたいと思っていたし、勝たなければ今年が終わらない」と鷲井は専大に対する並々ならぬ決意を語った。
 関東の連覇新記録の9連覇がかかる法大だが、鷲井は「一戦一戦戦っているだけ、特に意識はしていない」と、気負いはない。負けたら終わり、一発勝負のプレーオフ。 リーグ戦とは異なる緊張感が出てくるが、「苦しい経験を知っている3,4年生が引っ張っていきたい」と鷲井。熱き主将に率いられたトマホークスが甲子園へ繋がるプレーオフで「No limit」な戦いを見せつける。
(高村 篤史)


気合十分!RB一発TD宣言

「もっと自分達にボールを持たせてほしい」そう語る長村(法4)からは自分達のプレーに対しての絶対的な自信が感じられる。長村、伊藤喜(法2)(以下伊藤)の2人は今季TBローテーションの中心として法大の看板であるラン攻撃を支える。
今季の法大はオープンへのラン攻撃や法大得意のオプション攻撃などでTB陣にかかる比重が大きい。しかし、「自分達への比重が大きいのはむしろうれしい」(長村)と頼もしさを感じさせる。
2人の武器は「ラインを抜けるときのスピード」(長村)と「DFの動きを察知する感覚」(伊藤)。また1年次から活躍する伊藤は「この感覚の有無が自分と他選手との違い」と語り自信を見せる。
プレーオフでは準決勝で早大と対戦し、これに勝利すれば決勝の地さいたまスーパーアリーナで専大との対戦が濃厚である。< br>「専大には勝って終わりたい」(長村)と語るように春のリベンジの相手でもある専大への闘志をみなぎらせ、「プレーオフは単なる通過点。どこが相手でも勝つのはウチ」(伊藤)とすでに一歩先を見据える余裕すらある。
プレーオフではリーグ戦よりも他チームの法大ラン攻撃への警戒が厳しくなると予想される。しかし、TB陣が彼らの言葉通り自分たちの力を発揮すれば必ず法大を勝利に導くことになるだろう。 
(早坂 茂)


QB桑野100%の力で挑む

 法大攻撃陣の司令塔は昨年に引き続き桑野智行(営4)。走力は学生界随一。今季はランに加え、桑野の課題であったパスが唸りを上げる。温存された試合があり規定試合数には至らないが、効果的なパスを表す指数パスレイティング≠ナは1位に相当する成績を収めた。
 「DFを見られるようになった。去年よりは落ち着いてできる」と語る桑野。「パスは周りが成長したおかげ」と謙遜するが、TE日田(法4)は「今年の桑野は井川さん(00年ミルズ杯)に引けをとらない」と桑野の成長を語る。
 かつて甲子園制覇を遂げた法大QB・岡本、井川は共に好パサーであった。
 「負けたら終わり。100%の力で、練習を結果に繋げる」と意気込む桑野。「強い法政」には欠かせない好パサー。桑野の右腕が「強い法政」をプレーオフで証明する。

立命がリード

 各校が目指す先は甲子園。対戦相手となるのは関西代表校である。関西の代表争いは関西学院大、立命館大の2校にしぼられた。
 関東準決勝の翌日、11月24日(日)の「関立戦」で立命大が勝てば4年振りの甲子園出場。関学大が勝てば12月1日(日)のプレーオフに持ち込まれる。
 昨年日本一の座についた関学大だが、ケガ人が続出。加えて天才QB尾崎のパスが不調で昨年の爆発力に欠ける。三強対決を前に近代にまさかの黒星を喫した。
 立命大は、QB高田率いるショットガンが好調。バックスが充実し、ラン・パス共、学生離れした破壊力を持つ。ライン陣も例年通りの強さを持ち、甲子園へ突き進む。
 関東のチームとしてはプレーオフまで持ち越し、甲子園までの準備期間が少なくなることを願いたい。

プレイバック 圧倒のリーグ戦

 初戦の山学大。主将・鷲井ら主力を温存しながらも圧倒。続く春のオープン戦で苦労した日大との試合では守備陣が日大を完封した。
 第3戦は今季リーグ戦勢いに乗る明大戦。リーグ前半戦の山場と見られていたが、試合は終始法大のペースで進み、攻撃陣ではRB伊藤喜が91ヤードの独走TDなどの大活躍。 守備陣も明大攻撃を2試合連続の完封に収めた。
 リーグ後半戦の初戦はQB川添ら好選手を擁し、前評判の高かった関東学院大戦。だが、QB桑野の活躍で着実に得点を重ねた。しかし、守備陣はQB川添のパスに苦2TDを奪われるなど、思わぬ苦戦。課題の残る試合となった。
 その後の中大戦では成長したレシーバー陣らが活躍。最終戦の東大戦では新人QB市川(営1)をスタート起用するなどの余裕を見せながらも圧勝した。

法大優位も厳しい戦いの覚悟も必要

プレーオフ展望

 史上初の9連覇を目指す法大を専大、早大、明大が阻止できるかが焦点となる。しかし、法大の圧倒的優勢は揺るぎそうにない。 伝統のRB陣は今季も健在。パスアタックも精度を増す。守備陣も平均失点7と安定感は抜群。パスディフェンスにやや不安があるが、抜け目はない。
 打倒法大の筆頭は専大。秋季オープン戦では法大に関東4年ぶりの土をつけた。看板は一体となった守備。大型DLを並べ、廣田を始めとする高速LBを揃える。 攻撃は爆発的な得点力は無いが、工藤、小島のRB陣は法大に引けをとらない。選手層の薄さに難がある法大にとって最も手ごわい相手と言えそうだ。
 法大の初戦の相手となる早大はQB波木の爆発力が脅威。波木のオプションキープ、スクランブルはわずかな守備のミスが命取りになる。RB神のダイブがゲインを奪えれば早大ペース。 攻守共好不調の波が激しいが守備陣の奮起次第では法大も苦戦を強いられる。
 激しい戦いを勝ち上がってきた明大は粘りが持ち味。守備陣はランに強く、ラン攻撃が軸の3校に対して相性が良いと言えよう。タイムコントロールしロースコアゲームに持ち込めば上位進出もある。
 近年、4校で決勝15分Qを経験しているのは法大のみ。選手層、経験を考慮しても法大の有利は否めない。

アメフトコラム 遥かなるエンドゾーン
「少数精鋭」 カギ握るタイトエンド陣

 オフェンスラインの端に位置し、ランプレーでは相手ディフェンスフロントに真正面から立ち向かい、パスプレーではレシーバーとして素早くディフェンスの裏に切り込む。パワーとスピード、一見対照に思える要素を兼ね備えるポジション。それがTE(タイトエンド)である。
 法大TEは日田(法4)、井芹(経2)、植田(営2)の3選手。他ポジションと比較すると明確に少ない。3人も「少ない」と口を揃えるが、「自然に練習量も増えるし、自分をアピールしやすい」(植田)と、少なさにはメリットも大きい。  日田は2年次からスターターとして出場し、甲子園制覇にも大きく貢献した。関東屈指のTEとして法大TEチームを率いる。しかし、昨年からケガが重なり欠場が余儀なくされた。そこで頭角をあらわしたのが井芹、植田の両選手である。リーグ戦ではほぼ全戦井芹が出場し活躍を見せた。日田は「2人とも本当に成長した。井芹はオレ以上の活躍をした。植田のブロック力は相当強い」と両選手を語る。正に「少数精鋭」、それが法大TEチームなのだ。
 プレーオフ出場4校中、パス獲得ヤードがトップなのはなんと法大。ランが看板の法大がパスで記録を残したのはTE陣の活躍が大きい。他校の法大オフェンス対策は中央のランを出させないことが第一。それだけにTEを使ったパス、オープンへのランで攻撃の的を絞らせ無いことが重要となる。キーとなるTBのオープンランとQB桑野から放たれるショート、ミドルのパス。両プレーにおいてもTEが成否を大きく左右する。さらに今季は、両サイドに1人ずつTEを配置する2TEにも挑む。『日本一』を目指す上でカギとなる攻撃スタイル増強のキーマンである。
 「目指している所が違う」(植田)、「自分は春専修に負けた時でてた。決勝まで行ってケチョンケチョンにする」(井芹)、「どこが来ても生きては返さない」(日田)、凄まじい気迫で臨む「日本一請負人」TEチーム。TEに注目することで法政のフットボールはもっともっと面白くなる。

(武田 教秀)


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