ホームバックナンバー2002年12月号

スポーツ法政 ’02 12月号

直接見たい記事へリンクできます
(このページ内の記事を順にリンクしたものです)
陸上:オレンジ旋風再び!土井 徳本一善「箱根」を語る 2002プレイバック 自由の原点 成田マジック 法大の誇る3年生 プリンのために走る アメフト:夢叶わず突然の終焉 バスケ:執念見せた5位 バレー:上を目指して夢をつないで アイスホッケー:法大Vへ 早明ぶっ潰せ 東京六大学野球:プロで輝け!法大の星 重量挙げ部:天野が個人優勝 ラグビー:宿敵にリベンジだ 法大ラグビー 関東学大に惜敗 ’92選手権懐古 コラム  

陸上部 オレンジ旋風を再び!!土井

第79回箱根駅伝

 今年も箱根の季節がやってくる―。第79回東京箱根間往復大学駅伝競走が1月2日、3日に開催される。前回の雪辱を誓う法大の注目は、やはり土井洋志(社4)だ。今季は日本インカレ優勝、予選会個人トップと絶好調。名実ともにエースとして成長を遂げ、チームの核となっている。今大会では各校のエースの集まる2区での出場となるだろう。法大復活の野望を秘め、土井が最後の箱根路に挑む。

活躍の陰で


 法大のエース、そして学生屈指のランナーに成長した土井洋志。その大の4年間は、決して華やかなものではなかった。坪田智夫(現・コニカ)、徳本一善(現・日清食品)という2大エースの陰に隠れ、注目すらされないときもあった。それでも土井は走り続けた。自分を信じ、ただ黙々と練習をこなし続ける強さを土井は持っていた。焦りはなかった。「なんとかなる、と入学当時から思っていました。思いっきり努力をしたとか、何か特別なことをした、というのはないんですけど。ただ大学に入ってからは、練習の意味を考えるようになり、競技に対する意識もだいぶ変わってきました」と土井は当時を振り返る。
 その土井が頭角を現したのは、2001年の箱根駅伝だった。9区をまかされ、区間2位の会心の走りを見せる。だが3年次に思わぬアクシデントが土井を襲った。長期にわたる不調、そしてケガ。土井にとって去年1年間はまさに最悪の年となってしまった。そして、そこからの復活をかけて臨んだ前回の箱根駅伝。土井は区間賞に迫る勢いで走り続け、1位と6秒差の3位相当の成績を残す。しかし、世間の関心は徳本の衝撃的な途中棄権に集中し、土井が注目を浴びることはなかった。

マイペース


 そして今年。主将となり、今季の主要な大会すべてで好成績を残した土井に、にわかに注目が集まり始めた。「(注目されて)うれしいけれど、自分の中では関係ないし。意識するとだめになってしまう。逆に注目されないほうが楽でいいかも」と、土井。常に自然体を貫く。穏やかで、決して自分のペースを崩さない。そんな土井は今までの法大にはいなかったタイプの主将だ。
 土井をを中心として今年の法大はよくまとまっている。各選手の成長もあり、戦力的には昨年をしのいでいるだろう。「昨年は昨年、今年とは別のチーム。今年は僕たちの走りを見てもらいたい」。その思いが箱根駅伝予選会で爆発し、法大は3位通過。土井自身もトップでの通過を果たし、その勢いで本選に臨む。「法大にしかできないなにかをやらかします」。土井の声に力がこもる。予選会直後のこのコメントには、普段のひょうひょうとした土井からは想像できない強い響きがあった。まるで土井の箱根に対する重いがにじみ出るかのように。今年の法大はやってくれる。そう予感させるのに十分なほど、力強い主将の一言だった。そしてその予感が確信に変わる日は、1月2日にやってくる。
 
(外山 功)





徳本一善 「箱根」を語る

 去年よりも皆が力をつけていることと、土井が学年の中でも1番をとって、勝負ができることが今年の良い点だね。土井については今までの首相と違って穏やか。ひょうひょうとして、マイペースで他の選手も付き合いやすいだろうし、新しいカラーだよね。でも、走りでは歴代主将にひけをとらずに強い存在を見せられると思う。自分の注目選手をあげると長嶺(経3)と中村(社3)かな。日体大の記録会(11月30日)で自己記録を更新したし、年々成長している。順調にきてるから箱根でも期待は大きい。
 箱根の展望としては、山梨学院大・駒大・日大の3校の優勝争いかな。あと中央学院大も要注意だね。でも混戦になるだろうし、1つのミスが命取りになる大会。波を作れる選手が皆を引っ張ってほしい。そうすれば法大はやってくれる。それはダークホースとかではなくて、実力で3校にからめるし、挑めると思っている。
 予選会が終わって、箱根に出られることになり、今は心から頑張ってほしいと思っています。
(取材・下田晶子)





プレイバック 2002箱根駅伝

  前回の箱根駅伝は1区から混戦模様でスタート。その中で1区をまかされた黒田は、6位で2区・徳本にタスキを渡す。しかしその徳本が7.3キロ地点でまさかのリタイア。法大は箱根史上最短、28キロでの途中棄権となった。タスキは途切れてしまったが、続く3区・有原、4区・中村、5区・長嶺は参考記録ながらも区間9〜11位の堅実な走りを見せてくれた。復路では6区・中矢が不振だったが、7区・坂野、8区・高橋が懸命につなぎ、9区・土井へ。土井は区間賞とわずか6秒差の3位相当のすばらしい走りを見せ、10区・久村がラストを飾った。法大にとっては、辛い結果となった前大会だった。



自由の原点 成田マジック

 冬の箱根路にオレンジ旋風が吹き荒れたのは2年前の77回大会。予選会からの出場となった法大が、本戦で4位という大躍進をやってのけた。ここ数年、駅伝では低迷が続き、前年度の76回大会でもシード権獲得に29秒及ばない10位。それだけに、チームを見続けてきた指導者・成田道彦監督はこの予想外の展開に驚きを隠せなかった。このときはまだ、1年間のコーチ生活を経て監督に就任した最初の年。わずかな期間で、シード権獲得が目標だった法大を優勝争いに絡むほどまでに成長させたのだ。周囲の人々も急成長ぶりに歓喜し、いつしか「成田マジック」と呼ぶようになった。
 4年前、「駅伝チームを強化したい」という誘いを受け、母校の法大にコーチとして訪れる。「陸上を楽しめていない。どこか暗くて重い雰囲気だった」。成田監督が、コーチとして法大を訪れたときの第一印象である。しかし当時法大のエースだった坪田(現コニカ)、その後入ってき徳本(現日清食品)の2人が常に高いレベルを目指して練習に取り組んでいたことがチーム活性化の原動力となり、今の「明るく自由な雰囲気」が形成されていった。
箱根駅伝は、毎年日本中が注目する正月の大イベント。メディアの取り上げ方も大きく、『箱根駅伝至上主義』が一般的な意識であるとも言える。実際、法大に限らず箱根駅伝に出ることを最終目標にしている選手は少なからずいるだろう。そのため、指導者が選手全員に同じ課題を与え、それをクリアした者の中から駅伝出場メンバーを選出するチームも出てくる。徹底した管理教育をして縛り付けるのは難しいことではないが、成田監督はそのやり方を良く思っていない。「選手たちには、箱根で終わらず、卒業後もさらに上のレベルで続けていきたいという意識を持ってほしい」のだと言う。成田監督が育てたいのは自分の特徴を把握し、その時の調子やレース展開を判断でき、もっと強くなりたいという向上心を持った選手。そういう育て方ができるのも、「自由」の中にも決まりごとがある環境だからこそ。「法大の選手は自己管理がしっかりできる」と言われる人材を、成田監督はこれからも送り出していくことだろう。
  
(望月 春香)
 


 

法大の誇る3年生 主役は俺たちだ!

法大にとってなくてはならない存在。それが法大クインテットだ。「今年は全体的に底上げされたチームなった」と成田監督言うのは、彼らの成長が大きな要因となっているからであろう。
 5人がここまで実力をつけてきたのは、法大の校風にある。"自主性"。成田監督は選手1人1人の体調に合わせてアドバイスをし、選手は自分で考えて練習をする。彼らも互いに刺激しあいながら、自分なりの課題を見つけて取り組んできた。5人それぞれが違ったペースで成長を遂げ、箱根ではそれが1つの大きな力となる。
 黒田は前回、前前回と1区で快走。「2位以下では意味がない。絶対に1位になってみせる」と言うように気合十分。今年こそは区間賞を狙う。
 長嶺は今年、けがもなく順調にタイムを伸ばしてきた。「任された区間を責任を持って走るだけ」。どの区間を走っても持ち前の粘り強さを見せてほしい。
 「もうあとがない…。ギリギリの状態だった」。中村は今年快走がなく、全日本大学駅伝のメンバーからも外された。しかし11月30日に行われた日体大記録会では、1万mの自己ベストを20秒近く縮める好記録をマーク。ようやく調子が上がってきた。
 昨年は7区で実力を出しきれなかった坂野。「上級生になったからには負けられない」。今年こそは悔いの残らない走りを見せてほしい。
 「自分の走りをして、チームの役に立ちたい」と語る有原。前回のように、経験としてではなく、チームの主力として箱根に臨む。
 シード権獲得のためには、5人の活躍が鍵になってくることは間違いない。「箱根には魔物がいる」という言葉の通り、何が起こるかわからないのだ。調子の悪い選手を全員でカバーする。彼らには互いに補い合うだけの力がついてきているはずである。頑張れ、3年生クインテット。そして昨年の雪辱を果たしてほしい。
  
(中山 明子)



  

プリンのために走る

 激闘を演じ、本選への出場権を手にした箱根駅伝予選会。みなさんはご存知だろうか。その舞台で、選手たちが喪章をつけて走っていたことを。また、その相手が犬だったことを…。予選会直前、法大陸上部の寮で飼われていた愛犬プリンが亡くなった。小柄でくりっとした目が印象的なプリンは、選手たちにとって練習で疲れた心を癒してくれる存在だった。そんなプリンの突然の死。選手たちは悲しみに明け暮れた。なにか自分たちにできることはないかと考え、予選会で喪章をつけて走ることにした。そして、見事本選の出場権を獲得した。箱根駅伝本選、選手たちはさまざまな思いを乗せて箱根路を走る。自分のため、そしてプリンのために。  

アメフト 夢叶わず突然の終焉
“明日からも練習するつもりだった”

王者の敗戦

 「鷲井!」「ディフェンス!」。サイドラインに控える選手たちはひたすらに叫び続けた。このプレーで決するのはわかっていた。8年間勝ち続けた法大が窮地に立つ。
 24−23、法大のリードは1点。副将・DT西川(文4)のキックブロックで阻止した貴重な1点だった。残り2秒、早大は最後の逆転を賭け48yのFGを狙う。早大キッカー・神の力を考えると簡単なキックではない。むしろ失敗して当然だった。しかし、天はオレンジの選手たちを欺いた。早大・神が懇親の力をこめて蹴った楕円球は追い風に乗りポストの間に弧を描いた。戦士たちはフィールドの上に崩れ落ちた。
 試合は先制こそ早大に許したが攻守とも法大が優勢に進めた。しかし、キックオフリターンTD、土壇場でのミスでモメンタムを早大にもって行かれた。決して力負けしていた訳ではなかった。
 「ここで負けるなんて思っていなかった。今年のチームは期待度が高かった。結果として力が出しきれなかったということだろう」大森監督はいつもと変わらない口ぶりで今年のチームを振り返った。

最高の組織

 試合後、1時間半にも及ぶチームミーティングを終えた多くの選手たちの目には涙が浮かんだ。今年のチームの終焉を確認し彼らの感情は一気にこみ上げた。
 「決して油断していた訳ではない。プレー中も焦りは無かった。危機感が足りなかったのでしょう」主将・鷲井の話す表情にいつもの笑顔は無かった。
 「明日からも練習するつもりだった」QB桑野は敗戦を噛み締めた。4年間の全てを捧げ、当然のようにあったトマホークス。それが突然終わりを告げた。
 チーム全員が真摯に話し合える環境、信頼がこのチームにはある。幹部たちは連日深夜までミーティングを重ね、環境作りに決して妥協しなかった。問題を突き詰め実行する力、それが真の8連覇の礎である。
 途切れた連覇の先に輝かしい歴史を刻む。それはトマホークスにしかできない、トマホークスだからこそ刻める歴史であるはずだ。
(武田 教秀)




バスケ 執念見せた5位

法大の熱き想い

昨年5位という成績を収め、今年は更に上を目指して挑んだ全日本学生バスケットボール選手権。特に4年生にとっては、学生最後の大会となるため、一層決意は固い。
 2回戦の東農大に圧勝、3回戦の拓大に快勝と順調に勝ち進み、遂にベスト4をかけて、昨年の覇者・日体大と対決。
 序盤、法大は厳しいディフェンスをして流れを掴もうとするも、わずかなところでファウルを取られてしまう。ファウルが多くなり、ディフェンスが甘くなったのを、相手は見逃さず、確実にシュートを決めてくる。終盤に反撃するも、王者の壁は厚く、勝利を手にすることはできなかった。
 ベスト4を逃した法大は、モチベーションの維持が難しいとされる5〜8位決定戦に進むことになる。しかし、「日体大戦でできた悪いイメージのまま終われない。後輩のためにも全力でプレーする」と橋本(法4)。東北学院大戦では、その橋本がチームを鼓舞するプレーを連発し、勝利へと導く。次の大東大戦では、8点のリードを許して4Qを迎えるも、タクシ(営3)の3Pシュートが次々とリングに吸い込まれ、逆転勝ちで、優秀の美を飾った。
 1年間主将として部員をまとめてきた森(法4)、リバウンドに強い野尻(営4)、精神的柱の橋本。彼らがチームに貢献した度合いを計り知れない。来季は彼ら抜きで戦うわけだが、森は後輩たちに「上位が期待できるチーム。ベスト4を達成してほしい」と夢を託す。その熱き想いは、後輩たちが必ず実現させてくれるはずだ。
(朝山 雄次)




バレー 上を目指して夢をつないで

 12月3日、全日本インカレが開幕した。7位と不本意な成績であった秋リーグの雪辱を果たすべく臨んだこの大会。法大はスーパーエースの畑田(営4)を中心に勝ち星を積み上げていく。しかしベスト8を賭けた早大戦ではリーグ戦と同じく苦戦を強いられ、ストレート負け。ベスト16で今大会を終えた。
 「波が激しくまとまりがなかった」と納得のいかない表情を浮かべる真鍋(営4)。もっと上を狙える力を持っていただけに、心残りの多い結果となった。
 しかしそのチームの中でも大奮闘したのが松本(法4)だ。「乗っていた。トスもどんどん来いという気持ち」(松本)。秋のリーグ戦では調子が上がらず悔しい思いをした彼が、最後の最後に本来の姿を見せてくれた。
 そして今大会で引退となる4年生。「3年時から主力として活躍しとても頼もしい先輩でした」とはマネージャーの小島(法2)。この1年間主将として、そしてエースとしてチームを引っ張ってきた真鍋は「練習の中で得たチームのいいところを引き継いでいって欲しい」と後輩へメッセージを残す。
 試合後、次期主将の安江(文2)が小島に力強い一言。「がんばろうな!!」先輩たちの思いを継ぎ、法大バレー部が復活に向け新たなスタートを切った瞬間であった。
(嶋田 多江子)




アイスホッケー 関東大学リーグ最終章
法大Vへ 早明ぶっ潰せ

意地の激突


 10月6日に開幕した関東大学リーグは佳境に入った。今大会は同じチームと何度も対戦が組まれ、力が均衡しているため、一度勝っても次また勝てる保証はない。試合はよりおもしろく、複雑になっていった。
 3次リーグを2位で折り返した法大は、トーナメント初戦、これまで2敗を喫している明大と激突した。ここで勝てば一気に決勝進出が約束される。「今からが大事」。試合前に石井監督が語った言葉は選手たちに十分伝わった。そしてリンクに降り立つ選手たちは、これまでのどの試合よりも強いオーラを放っていた。
 試合開始早々、法大はDF松田(法3)のシュートで鮮やかに先制。だが小さなミスから失点すると、明大に逆転を許す。その後3点差まで離された法大はパワープレーを有効に使い、全員で明大ゴールを脅かす。そして執念で1点差まで詰め寄った。しかし一歩及ばず惜敗。この法・明の意地と意地のぶつかり合いを斉藤コーチは「五分五分、紙一重の戦いだった」と振り返る。
 「まだ次がある」(波多野・営4)。負けはしたものの、優勝の灯火が消えたわけではない。13日、早大に勝てば再び明大と決勝で対戦できる。

『心』で戦う


 開幕当初、波に乗れなかった法大は「早大に勝って息を吹き返した」(石井監督)。3次リーグではその早大にまさかの8失点を喫したが、石井監督は「(大敗の)後遺症はない」と断言。力は互角である。「あとは精神面が大事」と石井監督は幾度も語ってきた。今の法大に求められているのは『心』で戦うことである。
 「もう負けられないからこそ、チームの結束は固くなる」。後がない状況の中で茅森主将(文4)ははっきり言い切った。明大に負けたままでは終われない。まず法大は早大と激突する。ここで早大に勝てば、決勝進出。そして3試合分の借りを返し、優勝するために、明大に挑む!!
(小田切 由紀)

4年生ラストホッケー


 1月6〜9日に苫小牧で行われる全日本インカレで、4年生の大学ホッケーは、幕を閉じる。「最後なので優勝したい」と波多野副主将。もう一人の副主将・末松は「上向きになっている」とチーム状況の良さを語った。また、チームを統率してきた茅森主将は「仲間と寝食を共にし、考えを汲み取ることの大切さを感じた」と4年間を振り返る。ラストホッケー。4年生は最後の晴れ舞台でのVを誓う。



東京六大学野球 プロで輝け!法大の星!!

3選手プロへ

 今秋、法大野球部から3人のプロ野球選手が誕生した。土居龍太郎投手(営4)、後藤武敏内野手(文4)は自由獲得枠でそれぞれ横浜ベイスターズと西武ライオンズへ。また河野友軌外野手(営4)は11月20日のドラフト会議にて横浜ベイスターズから8巡目指名を受け、入団が決定した。
 今年は世間でも「松坂世代」と注目されているが、中でも後藤と松坂は横浜高校時代のチームメイトだ。大学進学の時、松坂に「4年間頑張ってプロに来い」と言われ、「行く」と交わした約束が実現した。また同じチームということで「松坂が4年間築き上げたものに追いつきたい」と語った。「松坂の球を打ってみたい」と河野。「松坂世代」という言葉を意識しているようだ。
 土居の目標は横浜の三浦投手。「これから自分の中での存在が大きくなる人。野球に対する姿勢や態度を学びたい」。同じく横浜入団の河野は、「優勝した時のマシンガン打線が印象に残っている。その繋がりのある打線を自分のところで切らさないようにしたい」と語った。またパ・リーグへ行く後藤は「リーグ優勝したチームなので、がんがんアピールしていきたい。ロッテの黒木投手と対戦したい」と期待を膨らませている。
 ドラフト会議の後、グラウンドで後輩達に囲まれ、胴上げされた時の満面の笑顔が印象に残った。「開幕1軍、2ケタ勝利、子供に憧れられるような選手になりたい」(土居)。「プロとして私生活面でも自覚を持ちたい」(河野)。「先輩が築いてきた物を大切に、新しい歴史を創る」(後藤)。
 それぞれの抱負を胸に3人の新たな野球人生が始まった。
(嶋田 愛)





重量挙部 天野が個人優勝

 11月29、30日に行われ全日本インカレ。105`超級の個人優勝を決めた瞬間、天野満(営4)はガッツポーズを見せた。スナッチで152.5`、続くジャークでは自己記録タイの200.0`、トータルはそれまでの自己記録を20.0キロも上回る352.5キロをマーク。主将を務めたこの1年間は怪我に苦しんできたが、有終の美を飾るにふさわしい演技だった。
 だが、天野は素直に喜べないでいた。法大がインカレ4連覇を成し遂げてから2年。今年は怪我人が多く、本来の力を発揮できないまま総合4位。「インカレは団体成績がもっとも大事。個人優勝は嬉しいが、4位に終わってしまった悔しさの方が大きい」と言う天野。しかし、6回の試技をすべて成功させて優勝を決めた姿は、実に見事だった。「主将の試技を見た後輩たちが、来年につなげてくれると確信している」。大会後、平良監督は自信を持ってそう答えた。天野が残したものを受け継いだ後輩たちが、来年は再び優勝争いのできる法大を見せてくれることだろう。 
(望月 春香)




ラグビー 悲願の大学日本一に向けて…
宿敵にリベンジだ 法大ラグビー!!

全国大学ラグビー選手権

 12月15日、各大学リーグを勝ち抜いたチームが大学日本一目指す、第39回全国大学ラグビー選手権が開幕。今年の法大は瑞穂で開幕を迎える。10年ぶりの大学日本一を目指し、全国の強豪を激突する。関東学院大戦で本来の姿を見せ始めた法大。猛タックルとランニングラグビーで最後の戦いを挑む。

法大再発進


 リーグ戦を6勝1敗の2位で終えた法大。リーグ戦の全勝優勝は惜しくも果たせなかった。しかし本当の戦いはこれから始まる。最大の目標である大学日本一に向けて法大ラグビー部は険しいトーナメントに挑む。
 1回戦の対戦は龍谷大。関西5位ではあるが関西王者の同大から40点を奪った。普通に力を出せば、勝てる相手だろうが油断はできない。

打倒対抗戦


 「どこが相手でも厳しい」(山本監督)2回戦は明大と対戦することが濃厚。明大といえば大学選手権最多優勝の名門だがここ3年はベスト4にも勝ち進めていない。そのためにこの2回戦は並々ならぬ気迫で法大に向かってくるだろう。早明戦には破れたものの堅いディフェンスには目を見張るものがあった。このディフェンスをいかに崩すかがカギとなる。
 明大とは春にオープン戦で対戦。前半をリードしながらも後半逆転され敗れた。しかしこのときはベストメンバーが組めなかった。戦力が整った今、本当の決着がつく。好調なラインアウトなどの空中戦で圧倒し、有利に試合を進めたい。
 大学選手権で明大と最後に対戦したのが5年前。10−14と悔しい敗戦であった。ようやく借りを返すチャンスがやってきた。2回戦で明大を倒し、3年連続の国立進出を目指す。
 そして準決勝。下馬評どおりいけば相手は早大になる。今季の早大は王者・関東学院大に練習試合で2連勝しており、優勝候補の筆頭に挙げられている。法大は9月の交流戦で早大と対戦した。前半はリードするが、後半に入りフィットネスの違いを見せつけられ逆転負け。しかし、法大はリーグ戦で試合を重ねるごとにフィットネスを上げてきた。それは関東学院大戦の後半の戦いからも分かる。あとは激しいタックルが出てくれば勝機は十分にあるだろう。
 早大との大学選手権での対戦は4年前にさかのぼる。この年は法大が大学王者に最も近いといわれていたが2回戦で思わぬ敗退を喫した。今年は法大有利の下馬評だが、今年の法大ならきっと覆してくれる。

最後の挑戦


 別ブロックをみると決勝まで勝ち上がってくるのは関東学院大の可能性が高い。やはり大学王者になるためには関東学院大の壁を乗り越えなくてはならないようだ。現在、5連敗中の相手ではあるが、リーグ戦の一戦を見る限り、大きな差は無い。この大舞台で今度こそリベンジを果たすはずだ。
 山本監督は「リーグ戦は残念な結果になったが、立て直して大学日本一を勝ち取りたい」と力強く語った。明大、早大、関東学院大と辛酸をなめさせられてきた相手を全て倒し、法大は必ず頂点に立つ。




無念!!関東学院大に惜敗

11・24関東学院大戦


11月24日、関東リーグ戦の優勝をかけた法大対関東学院大の全勝対決が、秩父宮で行われた。
前半4分、先制したのは法大だった。スクラムからNO8磯岡正(経2)、SH麻田(社4)とつなぎ、最後はWTB和田(経2)がトライを決める。
しかしその後7分、16分、19分と立て続けに3トライを奪われてしまう。法大も29分、WTB小吹(経3)がトライを決めるが、その後関東学院大に2PGを奪われる。
 「(去年は前半リードしていて後半逆転されたので)、前半はリードを奪う展開にしたい。」という山本監督の思惑とは裏腹に、前半を12−23でリードされて折り返す。
 後半も関東学院大の勢いは止まらず、後半開始早々1分にトライを奪われる。何とか点差を縮めておきたい法大は、CTB金沢(経3)がPGを2本決め、10点差とする。しかし16分にも、関東学院大にラインアウトでキャッチしたボールをそのままトライされ、17点差と突き放される。
 しかしここから法大の怒涛の反撃が始まる。19分、SO坂本和(社4)がパスダミーで相手をかわし、トライ決める。さらに27分、相手のラインアウトをLO磯岡和(経4)がキャッチし、ラックの連続から最後はFL大隈(社2)がトライし、3点差まで追い上げる。
 しかし残り10分、関東学院大の堅い守りの前に、法大はあと1トライをとることができず、32−35でノーサイドの瞬間を迎えた。
 試合後、麻田主将は目に悔し涙を浮かべながら、「いいタックルもあったがとれるところでとれなかった」と語った。
 また山本監督は「前に出る厳しいタックルがまだまだ甘いが少しできた」と試合内容を評価しつつも、「チームとしてのディフェンスに仕上がりきれてなかった」と語り、その修正を、大学選手権の目標として掲げた。
(後藤 芳恵)




1992年度選手権回顧録

 法大の最後の大学日本一は、ひと昔前までさかのぼる。この年の法大は12年ぶりに国立の舞台に立つ。
 準決勝の相手は大学3連覇を狙う明大。戦前はFWの圧倒的不利が予想されたがラインアウトを制し、モールでも玉に押し込みHO坂田がトライ。すべての面で法大が明大を上回り、42−8で完勝した。
 決勝は早大と対戦。準決勝の勢いを持ち込んだ法大は両WTBの星野、秋山がトライを奪い、前半を20−9とリードして折り返す。しかし後半になって勝ちを意識したのか早大に得点を重ねられる。法大もPGで応戦するが、ついに法大に逆転を許す。そして後半38分、早大ゴール前で法大のラインアウト。LO藤原がボールをキャッチすると、そのまま長い腕を伸ばしてトライ。SO中瀬のゴールも決まり、決着をつけた。
 あれから10年。明大、早大との対戦が予想される、今季法大もあの時と同じように旋風を起こすはずだ。

ラグビーコラム 栄冠目指して
国立競技場という存在

 今年の夏「東京オリンピック」というドキュメンタリー映画を見た。競技の勝負にこだわらず、競技に熱中している人間を美しくとらえた傑作だった。そして選手の表情と同じくらい印象に残ったものがあった。現在と変わりのない国立競技場の姿である。
 58年に現在の国立競技場が完成してから45年。さまざまなスポーツのドラマが生まれた。サッカーの日韓戦、Jリーグの開幕、W杯予選と二本サッカーは国立競技場とは切っても切り離せない。いくら設備の整った新しい競技場ができても「聖地は国立だ」と言い張るサッカーファンが多いのもそのためだろう。サッカーだけに限らない。陸上ではマラソンのアベベから短距離のカール・ルイスと名だたるスパースターがこの地を駆け抜けていった。
 ラグビーでもさまざまな伝説が生まれた。観客席で大漁旗がはためいた新日鉄釜石の日本選手権V7時代。85年大学選手権の慶大の幻のトライ。雪の早明戦。挙げればきりがないし、人によって思いは違う。法大ラグビーの選手もファンも10年前の選手権制覇、一昨年の慶大戦に胸を熱くしたはずだし、敗戦には気落ちした。
 この45年で姿は変えずに勝者の歓喜、敗者の悲哀または観客の熱狂を少しずつ溜め込んできたのが今の国立競技場なのである。陳腐な言い方だと思うがこれは伝統なのだと思う。あの独特な雰囲気があるから観客は集まるし、ラガーマンは国立を目指すのだろう。
(庄司 岳史)




HOME