<ヤンキース2-1アスレチックス>◇21日(日本時間22日)◇ヤンキースタジアム

 安打を量産し続けるヤンキースのイチロー外野手(38)が、まるでマジックのような不思議なヒットを記録した。21日のアスレチックス戦に「8番左翼」で出場。3回1死無走者で打席に入り初球をたたくと、打球がワンバウンドして先発右腕パーカーを強襲。投ゴロと思われたが、ボールが突然消えた。何が起こったか分からないまま一塁に走ると、パーカーが必死にユニホームの中に腕を突っ込んで手探り。何とユニホームの中に打球が入り込んでいた。

 「一生に1回ないでしょ、あんなこと」と笑うイチローの珍妙な一打は、内野安打と記録された。「どうやって打球が入ったのか分からない」と話すパーカーは、この安打の直後に開けていた胸の第1ボタンをすかさずはめた。出塁したイチローは真剣な表情を崩さず今季26個目の盗塁も決めたが、頭に浮かんだのはジーターの顔。「何でそんなに簡単に打てるんだって、毎回ジョークで言ってくるから」と笑い、この安打の後にも突っ込まれたと明かした。

 5回にも安打を放ち、4試合連続マルチ安打。チームは延長10回にサヨナラ勝ちを収め、地区優勝までM12となった。試合前にはポストシーズン用の撮影を済ませたイチローは「(優勝争いは)見たことがないもの、そこに身を置くというのは、やっぱりいいもんですよね」と充実した表情だった。(ニューヨーク=水次祥子)