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桑田「燃え尽きるまでやる」
現役集大成のシーズンで完全燃焼する。今季もマイナー契約でキャンプ(フロリダ州ブラデントン)に参加するパイレーツ桑田真澄投手(39)が11日、成田空港からハワイ経由にて渡米した。プロ23年目の今年を「燃え尽きる」と位置付け、引退覚悟で臨む決意を明かした。同じくリハビリから復活を期すオリックス清原、今春から高校に入学する長男真樹(まさき)さんにエールを送りながら日本人初の不惑メジャーへ意気込んだ。
穏やかな表情に強い決意がにじんだ。渡米前に会見を行った桑田は「燃え尽きる」という言葉を5回も口にした。キャンプは「燃え尽きることしか考えていない」と答え、シーズンが終われば「燃え尽きて帰ってきたい」と望み、そして「何度も言いますが、燃え尽きるまでやってきたい」と繰り返した。
野球人生のフィナーレが近いことは覚悟している。昨年9月にメスを入れた右足首は「状態は90%。いきなり若い人に合わせるのは難しい」と、15日のキャンプ初日にブルペン入りできるかは未知数。ライバルは多く、「おそらく、イスは1つしか空いていない。そこを若い選手と競う」と倍率は20倍を超すとみる。不運なケガで開幕メジャーを逃した昨年以上に、昇格のハードルは高く険しい。
それでも桑田に悲壮感はない。「ワインと同じ。若いワインもおいしいけど、古いワインは若いワインに出せない良さを持っている」。そしてPL学園時代の同級生、リハビリと闘うオリックス清原に自分を重ねながら「彼もベストを尽くすし、僕もベストを尽くす」と勇気をもらった。
空港では今年も家族が父を見送った。今春から西東京の強豪・桜美林に入学し、親子2代の甲子園に挑む真樹さんは「自分のペースで、自分らしく、自分の色を出して」と父からエールをもらい、握手で別れた。それを見守った真紀夫人の目から涙があふれた。3月25日から高校での練習がスタートするため、真紀さんは「その前に1度見させてあげたい」とキャンプ地を再び訪れる計画を持つ。昨年、靱帯(じんたい)断裂の大けがも、戦力外通告のときも家族が渡米中の出来事だった。「とにかくフロリダで、運良くいけばシーズンを通して燃え尽きたい」と桑田。燃えかすも残さないほど、完全燃焼しか見えなかった。【中島正好】
[2008年2月12日9時42分 紙面から]
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