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中田、大阪桐蔭卒業式で巣立ちの大泣き
- 大阪桐蔭高の卒業式の終了間際、感極まって涙を流す日本ハム中田(撮影・長島一浩)
怪物の目にも涙。日本ハム高校生ドラフト1巡目の中田翔内野手(18=大阪桐蔭)が26日、大阪府大東市で行われた母校大阪桐蔭の卒業式に出席し、号泣した。野球以外では初めて人前で涙を見せた。奔放な発言で注目の怪物ルーキーだが、そこは18歳。仲間から3度胴上げされ「『あいつ、プロでもやりよったな』って言われる活躍をして、認めてもらいたい」と、いよいよキャンプへ向けて心を切り替えた。
名曲「川の流れのように」が流れると中田の目からこらえていたものが、川のようにあふれ出た。「(同期生の)3年生が退場していくのを見て悲しいと思いました。こいつらの顔をもう見なくなるんだな、ここには戻ってこないんだなと思って…」。高卒ルーキービッグ3の1人、「泣き虫王子」ヤクルト佐藤由も顔負けに号泣した。
野球以外で人生初めて人前で見せる涙は、中身の詰まった高校3年間であることの証しだった。「初めのころはジコチュー(自己中心的)で、1人で野球をやっていた」と、大阪桐蔭に入学した3年前を振り返る。しかし、先輩や仲間と過ごすうちにチームの大切さを学んだ。西谷浩一監督(38)は「周りを思いやれるようになった。自分が打てないときでもチームを支えてくれた」と目を細める。
最後の夏の大会は、股(こ)関節を痛めて、大阪府大会での敗退。「自分の力不足で甲子園に行かせることができなかったのが一番悔しい」。高校生活唯一の心残りだ。
だが、チームメートにはその思いがしっかりと伝わっている。卒業式会場を出ると、すぐに野球部員が中心となって中田を取り囲んだ。巨体が3度宙を舞った。「突然だったけど、余計にうれしかった」。仲間からの胴上げというサプライズ。恩返しのために、野球部へはピッチングマシンの寄贈を計画している。「まだ(具体的に)考えてないけど、使えるものがいい。マシンですかね。少し古くなってきているので」とも話した。
今まで、優しく、厳しく育ててくれた母香織さん(44)からも巣立ちのとき。千葉・鎌ケ谷で休日に日焼けサロンに行ったことについて「外で走れば黒くなるでしょ」としかられたが「感謝しきれないくらい迷惑をかけた。どんどん親を喜ばせたい」と誓った。
2月1日のキャンプインはもう目の前。「プロにふさわしい人間になりたい。『あいつ、プロでもやりよったな』って言われる活躍をして、認めてもらいたい」。母校から怪物が厳しい新天地へ目を向けた。【本間翼】
[2008年1月27日9時4分 紙面から]
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