<Dynamite!!:DREAMルール>◇31日◇さいたまスーパーアリーナ

 因縁対決は田村潔司(39=U-FILE

 CAMP.com)が、3-0の判定で桜庭和志(39=LAUGHTER7)に勝利を収めた。UWFインターのリングで戦った同学年のライバルが、12年ぶりに総合格闘技で初対決。田村がマウントポジション(馬乗り)で桜庭の顔面にパンチを打ち続けるなど終始試合を優位に進めた。桜庭は昨年6月開催の「DREAM.4」のマヌーフ戦(KO負け)で左腕尺骨を骨折して以来、約半年ぶりの復帰戦を飾ることができなかった。

 「赤、田村!」。レフェリーに右手を挙げられた瞬間、田村の顔に安どの表情が広がった。96年のUWFインターでたもとを分かってから12年。PRIDEでも何度も浮上しては消えた因縁のカードにようやく決着をつけた。「またもう1回。またお願いします」と頭を下げる桜庭に「OK、OK」と答え、握手して抱き合った。

 序盤から試合をコントロールしたのは田村だった。ミドルキックやパンチで桜庭に襲いかかると、タックルに来た桜庭の上に馬乗りになった。執拗(しつよう)に腕を決めにかかる桜庭に対し、田村は打撃で応戦。右拳を振り下ろし、容赦なく桜庭の顔面を殴り続けた。2回に入っても同じような展開が続き、試合の主導権を握った。

 因縁のカードだった。ともに69年生まれの39歳だが、高校卒業後にUWFへ入団した田村は、大学を中退して来た桜庭に「田村さん」と呼ばれる。若手のころには「同じ釜の飯」も食った仲。96年には3戦して田村が全勝していたが、当時、田村は団体トップ高田延彦に反旗をひるがえしたことで前座的な扱いで冷遇されていた。同5月の最後の桜庭戦後に田村は客席にブーツを投げ入れて退団を決意。以来、2人の関係に徐々に溝が深まっていった。

 桜庭はその後に参戦したPRIDEで、「世界最強」と豪語していたグレイシー一族に連勝。人気が爆発した。桜庭は「試合をしてください」と何度も田村に対戦要求した。田村はファイターとしての考え方が違うことなどから黙秘し続けていたが、40歳を前にしてついに受諾した。

 田村は試合後「過去?

 それはいいんじゃないですか」と多くを語らなかった。だが「試合まではいろんな感情があった。多少、気持ちのブレもあった」と素直な気持ちを吐露した。一方、桜庭は「もう少しやりたかった。どうせ負けるならKOの方が気持ちよかった」。アラフォーが流行語となった今年、最後は39歳の男2人が熱く締めくくった。【山田大介】