ダブル世界戦で防衛に成功した王者が、一夜明けて年間3試合目の次戦を見据えた。WBC世界バンタム級王者山中慎介(30=帝拳)は、13日に都内のジムで会見。初回に左1発で3連続KO防衛に、この朝も休みなく走った。「バンタムでは負ける気がしない」と自信は深まった。

 山中は電撃KOから一夜明けてもうずうずしていた。「アップのミット打ちが一番きつかった。エネルギーがたまっていて、どう発散していいのか」。160秒での3連続KOにも、まだ物足りなさが残った。そこでいつも通りに走って、汗をかいた。

 この朝も苦手な猛暑続きに、自宅近くあるトレーニングジムへ行った。トレーニング機器に乗って約30分走った。ところが、それもままならなかった。「おじさんがどんどん声を掛けてきて…」。苦笑いも、次々に祝福されて「幸せでした」。約100件のお祝いメールには「早すぎてすいません」と返した。

 「練習は夏場でハードだった。体を少し休ませたい」。沙也乃夫人の故郷でもある沖縄で、初の夏を満喫するつもりだ。それでも普段は2週間休むロードワークだけは「毎日続けたい」。11月にも関西でV5戦に臨む予定。年間3試合目は日本王者になった10年以来となるが、気の緩みはない。

 WBO王者亀田和が観戦し、IBF王者マクドネル(英国)からのオファーもある。本人はWBAスーパー王者モレノ(パナマ)との対戦を熱望する。浜田代表は「西岡は世界へと出ていった。山中もその道へ1歩進んだ」と話す。

 「落ち着いて試合に臨め、成長を感じた。バンタムでは負ける気がしない。強い相手がいい」。左の強打者・山中は自信満々で言い切り、次なる標的が決まるのを楽しみにしている。【河合香】

 ◆アンセルモ・モレノ

 1985年6月28日、パナマ出身。08年5月にWBAバンタム級王座を獲得し、10年8月に7度目の防衛を果たした後にスーパー王者へと昇格した。今月10日、11度目の防衛に成功している。なお、同階級の正規王者は亀田興毅。身長169センチで技巧派のサウスポー。34勝(12KO)2敗1分け。