横綱白鵬(31=宮城野)が、大関稀勢の里(29)の「足りないもの」を指摘した。史上最多37度目の優勝を果たした夏場所千秋楽から一夜明けた23日、都内のホテルで会見。初優勝と横綱昇進を目指す大関に対し、土俵外での考え方の変化を求めた。名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)では順当なら、目標の通算1000勝目を懸けた一番で再び激突する。

 両手で作った「13」の文字が、再戦へのカウントダウンだ。会見の最後。白鵬は、連勝していけば通算1000勝が稀勢の里戦になると聞くと「今日は今日、明日は明日。でも心のどこかにしまっておきます」と言った。順調なら大台到達は13日目。来場所も番付が変わらない両者の対戦も、通例なら今場所と同じ13日目。さらなる因縁の予感が、漂い始めた。

 再び綱とりに挑む稀勢の里を、白鵬は「強い大関」と認める。だからこそ“物言い”もつけた。

 「相撲だけ努力してもダメ。例えば、ひよの山の歌。みんな歌ってたでしょ? 彼は手を帯にして立ってただけ。相撲が好きかもしれないけど、いかがなものかと。例えば、白鵬杯に顔を出す。自分の地元から子どもたちが来て、相撲のアドバイスするとかさ。そういう細かいことだと思う」

 初場所前に協会公式の「ハッキヨイ! 大相撲 ひよの山かぞえ歌」を力士会で歌い、映像を動画サイトにアップ。白鵬杯では毎年、関取衆も参加して子どもと交流している。土俵外の振る舞いを例に、綱とりに必要なものを指摘した。

 両者の思惑が交錯するのは、夏本番の7月。「暑い暑い名古屋場所ですから」。激闘の火は、静かに燃え始めた。【桑原亮】