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岡田准一に裕次郎新人賞/映画大賞

 人気グループV6の岡田准一(26)が石原裕次郎新人賞を獲得した。第19回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が4日、決定した。初挑戦の時代劇映画「花よりもなほ」で見せた華と存在感ある演技が、裕次郎さんをほうふつとさせた。石原裕次郎賞は「男たちの大和 YAMATO」。作品賞、主演女優賞など4部門を「フラガール」が獲得した。岡田には28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われる表彰式で裕次郎夫人のまき子さんから賞金100万円が贈られる。

 岡田は受賞を都内のジャニーズ事務所で聞いた。「映画の象徴のような方の名前が付いた賞をいただけて驚いています」。

 喜びはひとしおだった。V6メンバーとしての音楽活動に加え、テレビ番組収録にも追われる立場。「花よりもなほ」は昨年4月から2カ月間、京都で撮影を行った。「全力で集中したい」。仕事は映画撮影に絞った。メガホンを取った是枝裕和監督は04年「誰も知らない」で柳楽優弥(16)をカンヌ映画祭史上最年少の主演男優賞獲得に導いた実力派。勝負作と感じたから、スケジュール調整に迷いはなかった。

 時間さえあれば、しぐさから表情まで細部にわたって同監督と話し込んだ。「すべてがしっかり地に足ついて透き通った空気が流れていた。これだけ演技に集中できたのは初めて」。作品にかけた強い思いが受賞につながった。

 あだ討ちのため江戸に出てきた田舎侍役。人情あふれる長屋住人と触れ合い、あだ討ちをやめる決意をする。派手なアクションや涙を誘うクライマックスもない。岡田演じる主人公の心の変化が見どころという難役だったが、同監督は「役をしっかりとらえ、繊細な表現をしてくれた」。

 選考会では絶賛が相次いだ。「華がある」「映画に対する強い意欲を感じる」「ナイーブな表情が裕次郎さんのようだ」。

 俳優として成長する転機に裕次郎さんの存在があった。01年、石原プロ社長の渡哲也(64)主演のドラマ「反乱のボヤージュ」(テレビ朝日)に出演した。現場で渡から「岡田さん」と敬称を付けて呼ばれた。裕次郎さんも新人時代の渡に敬称を付けて呼んでいたからだという。キャリアに関係なく1人の人間として向き合う姿勢。渡が当時感激したように、岡田も胸が熱くなった。「人間性が見えるから、表面的ではなく、芝居の中でも心に触れることができた。初めての経験でした」。

 翌02年に初主演の連続ドラマ「木更津キャッツアイ」が放送開始。共演者たちとの心のつながりが伝わってくるような伸び伸びとした演技が人気を集めた。今年公開された劇場版の完結編「ワールドシリーズ」は興収20億円を見込む大ヒットを記録している。

 今年は日本映画好調を象徴する年となった。邦画が21年ぶりに興行収入のシェアで外国映画を逆転する。岡田は「うれしいことです。映画にはずっとかかわっていきたい。こんなのどうですか? と問い掛けるような時代を先行する映画に参加したい」。邦画全盛期を支えた裕次郎さんも「黒部の太陽」をはじめ、画期的な作品で観客を楽しませた。岡田の夢が、裕次郎さんの思いに重なった。【松田秀彦】

[2006年12月5日8時24分 紙面から]

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