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松雪泰子「フラガール」で4冠/映画大賞
- 主演女優賞を受賞した松雪泰子(撮影・為田聡史)
昭和40年、福島県の寂れた炭鉱町をフラダンスで活性化させた女性の実話を描いた「フラガール」(李相日監督)が4冠を獲得した。ダンスの先生役の松雪泰子(34)が主演女優賞、炭鉱で働く一家の娘からフラガールになった蒼井優(21)が新人賞、蒼井の母を演じた富司純子(61)が助演女優賞を受賞。作品賞にも輝いた。物語のモデルとなったカレイナニ早川さん(74)と、松雪のツーショットも実現した。
受賞後のあいさつは途切れがちだった。前年の主演女優賞、小泉今日子(40)から記念盾を渡された松雪は「このような式は初めて。緊張してます。身が引き締まる思いです」。デビュー16年目の初戴冠。劇中で演じたダンス講師まどかのモデルとなったカレイナニさんも授賞式に駆け付け祝福を受けた。花束を贈られると「早川先生の指導のおかげです」と、うれしそうに頭を下げた。
炭鉱町の再建を期待されたまどかが、旧体質の住民と相いれず、不満を晴らすために1人で踊ったタヒチアンダンス。約3カ月間、1日6時間の反復練習を重ねて演じた圧巻のシーンは、カレイナニさんと二人三脚で完成させた。現在、常磐音楽舞踊学院の最高顧問として後進の指導に当たる恩師は、授賞式で舌を巻いた。「さすが松雪さん。完ぺきにまどか先生を演じてました。教え子が晴れ舞台に立てて感激しました」と目を潤ませ、松雪を褒めたたえた。
「この作品で多くの感動と『生みの苦しみ』を味わうことができました」と松雪は言った。ダンスレッスンと平行して行った撮影も過酷を極めた。蒼井と怒鳴り合うシーンは約60回の撮り直しを要求され「撮影が朝までかかって憔悴(しょうすい)し、ほとばしる感情を何とか絞り出した」。松雪の関係者は「『フラガール』の撮了後、抜け殻状態になってしまった」と振り返る。それほど思い入れが強い作品。「発展途上ですが、やっと女優として地に足がついた。この作品に出合って、もっと映画にかかわりたくなりました」。地道に根を張り続けた松雪が、大輪の花を咲かせた。【木下淳】
[2006年12月29日8時58分 紙面から]
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