政界地獄耳

【政界地獄耳】街頭演説の紳士協定は通用しないのだろうか

★衆院東京15区の補欠選挙。選挙中には候補者のヤジが激しく、都知事・小池百合子は先月19日、定例会見で都民ファースト副代表・乙武洋匡の街道演説に演説をかぶせてくる手法に対して「スタッフも命の危険を感じる場面があった。これまでに経験したことがない選挙妨害が発生している」と発言。政治団体「つばさの党」から出馬した根本良輔の街頭演説や同党関係者が選挙区ではない知事の自宅前でも大音量で街宣活動を行い、「選挙活動の一環ならその範囲を逸脱している」「選挙のあり方についても見直していただけないだろうか」と不快感を爆発させた。警視庁は「つばさの党」代表・黒川敦彦や根本に対して自由を妨害した「自由妨害」として警告を出した。

★これに対して黒川は「国民に与えられた権利である表現の自由の範囲内で正々堂々と批判している。それを派手にやっているだけだ」とし、警視庁の警告は権力の乱用として訴える考えを示している。「表現の自由を派手にやっている」という意味がなかなか分かりにくいが、昨今、街頭演説の紳士協定は通用しないのだろうか。だが思い出していただきたい。19年7月15日の参院選のさなか、北海道札幌市で首相・安倍晋三(当時)が街頭演説中に「安倍辞めろ」とヤジを飛ばした2人が北海道警の警察官に現場から排除されたことがあった。これは裁判になったが同選挙中、全国で同様のヤジ排除事案が確認された。

★問題はその当時、小池を始め、この問題の重要性を政治が無視したことに起因する。ヤジの排除は当然だと考えていたのではないか。与野党関係なく政治に関わる人たちが、自分のこととしてこの問題について立ち止まらなかったことにある。今回の15区のヤジは警告で終わるかもしれないが、小池の言うように法的に取り締まることを都は条例として考えるかもしれない。国民のヤジという表現は当初から排除の対象だが、紳士協定を無視した行為は処罰せよ、は本末転倒だ。国民や政治の場での議論を始めよ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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