「ハマのメッシ」が、クラブの威信をかけてW杯に出る。日本代表FW斎藤学(24=横浜)が8日、千葉県内での国内組候補合宿でアピールした。98年のW杯フランス大会から4大会すべてに代表を輩出しているJクラブは横浜、鹿島、磐田、名古屋の4チームだけ。斎藤はMF中村俊輔(35)らクラブの大先輩からのプレッシャーを受けつつ、最終メンバー入りを目指すことを誓った。

 もはや代表常連組の一員となった斎藤は、遠慮はしてられなかった。フォーメーションの確認で左MFに入り、左サイドバックのDF槙野と何度も言葉を交わし連係を確認。実戦練習になると、1トップに入った初招集のFW川又とのコンビネーションを何度も披露。川又の返したボールを右足でシュートするなど、浸透力の高さを見せた。「もっと細かいところでもコミュニケーション取って、崩せる部分を増やしたい。明日は楽しめたらいい」と今日9日の流通経大との練習試合を見据えた。

 得意のドリブル技術とシュートの精度を買われ、昨夏の東アジア杯から代表に定着している。W杯まで約2カ月となった最近は、かつてW杯で戦った横浜の先輩からプレッシャーを受けている。「和風メッシ」と呼ぶ中村からは「学なら入れる。試合の途中から出てきても、学みたいなタイプは海外の選手は怖い」。DF中沢からは「メンバーに入ってほしいね。クラブの伝統は学にかかってるから」と言われた。フランス大会から前回南ア大会まで、横浜からは毎回の計7人(中沢が2度)が選出。名門の伝統が続くかどうかは、斎藤にかかっている。

 そんな期待にも、斎藤は冷静だ。「最近は海外クラブ所属の選手も多くなってきたし、関係ないよ。あまり頭でっかちにならずに、自分がいいアピールできるようにやるだけ」と言った。先月末に痛めた左ふくらはぎも回復した。代表合宿でもJリーグでも、今まで通り全力を尽くすだけだ。【由本裕貴】

 ◆W杯メンバー招集クラブ

 98年フランス大会から10年南ア大会まで、4大会連続で所属選手が招集されたクラブは鹿島、横浜、磐田、名古屋の4クラブだけ。5月12日に発表されるブラジル大会メンバーに、5大会連続で輩出する可能性は、鹿島はMF柴崎と今合宿で初招集の昌子、横浜はFW斎藤にかかっているといえる。磐田も今回は見送られたDF伊野波や、DF駒野、FW前田の選出次第。名古屋からの選出は、現段階での可能性は極めて低いとみられる。