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巻が第1子誕生目前の猛アピールだ

鹿屋体育大との練習試合で右足を振り抜きゴールを決める巻(撮影・為田聡史)
鹿屋体育大との練習試合で右足を振り抜きゴールを決める巻(撮影・為田聡史)

 巻は泥臭く生き残る。鹿児島合宿中の日本代表候補は19日、練習試合で鹿屋体大と対戦(45分3本)。FW巻誠一郎(27=千葉)は、見事なミドルシュートなど2得点に加え、つぶれ役など持ち味を発揮した。今合宿後には2月のW杯予選タイ戦に向け、FWは7人から4、5人に絞り込まれる見込み。サバイバルレースの中で、第1子誕生を目前にした巻が猛アピールだ。FW陣は大久保、矢野、播戸もそれぞれ2得点を挙げるなど、熱い戦いが始まった。

 泥にまみれる巻の右足が、輝きを放った。練習試合2本目の16分。ペナルティーエリア外でパスを受け、すぐさま豪快に右足を振りぬいた。「普段から練習している形ができた」。シュートはイメージ通りの弾道を描き、ゴールネットに突き刺さった。ヘディングが代名詞の男が、ミドル弾で08年初得点を決めた。

 3分後にはゴール前の混戦からシュートを押し込み2点目。得点に加え、持ち味の泥臭い働きぶりも全開だ。同43分にニアサイドに飛び込み、DFもろともピッチに倒れた。「後方の播戸さんのゴールにつながったのは、自分で得点できたことより良かった」。芝まみれの拳で、プレーへの手応えを確認した。

 第1子の誕生を、自ら祝った。巻に近しい関係者によれば、智子夫人が今日20日にも男の子を出産する見込みだという。新米パパは身重の夫人を気遣い、年末年始も千葉県内の自宅近くで自主トレをした。代表合宿で出産に立ち会えないが、2得点の大活躍で初出産の夫人を励ました。

 今年は元日から走り込みを開始。熊本の個人トレーナーからメールでメニューを受け取り、毎日3時間かけて30種類近い筋トレをこなしてきた。「ひざのケガで走り込めなかった去年とは大違い。本当にいい調整ができたので、今年はいけます」と、自信を持って臨んだ今回の合宿だった。

 練習ではニアサイドに飛び込み、高速クロスを顔面で押し込むゴールを決めてきた。泥臭いプレーの連発は、巻にとって好調の何よりの証しだ。高い技術で抜群の存在感を示す高原を横目に「僕は僕のプレーを続ける」。2月のW杯予選タイ戦に向け、今合宿後にFWは7人から4~5人に絞られる見込み。巻は激戦の代表争いも、泥臭く勝ち抜くつもりだ。【塩畑大輔】

[2008年1月20日9時13分 紙面から]

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