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3発快勝も岡田監督笑顔なし/親善試合
- 試合終了後、笑顔は封印してスタッフと握手を交わす岡田監督(中央)
<国際親善試合・キリンチャレンジ杯:日本3-0ボスニア・ヘルツェゴビナ>◇30日◇国立
3発快勝も岡ちゃんに笑顔はなかった。日本代表の岡田武史監督(51)が30日、代表監督復帰2戦目のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で初勝利をあげた。前日本代表監督のイビチャ・オシム氏(66)が観戦に訪れていた中で後半23分、DF中沢佑二(29)のゴールで先制し、途中出場MF山瀬功治(26)の2得点で調整遅れの相手を突き放した。それでも試合後は鬼気迫る表情を崩さず、2月6日のW杯アジア3次予選初戦のタイ戦(埼玉)へ、本番モード突入を感じさせた。
ニコリともせず、岡田監督は努めて厳しい表情を保ち続けた。タイ戦に向けて必勝を課されていた試合で3発快勝。それでも笑顔は1つもなかった。「ワンタッチでやらなくていいところでやってミスをしていた。きれいごとじゃなく、泥臭くてもゴールをとる。どうしても入れてやる、強い気迫がないと」。まるで敗戦後のようだった。
試合前のミーティングで「動け、それが自分たちの武器だ。それをやらなければ世界に行けない」と叫んだ。相手の調整不足と守備的な戦法を承知した上で、結果と内容の両方を選手に求めた。その気持ちは、ハーフタイムでさらに強さを増した。
パスを回して完ぺきに崩して点を取ろうとする選手の姿勢に言い放った。「きれいな形をつくろうとしていたので、ハーフタイムに、そういうことでは点は取れないと言った」。どんな条件下でも、予選は勝ち抜かなければならない。妥協を許さない自らの姿勢を、チームにも植え付けようと試みた。
ハンドボールに観客を取られて寂しいスタンド。そして前監督の来場にマスコミが騒ぎ、試合に集中しづらい条件だった。試合後、オシム氏のことを聞かれ、ややうんざりしたように答えた。「来られるのは聞いてはいたが…。お会いもしてないし、そういうところに注意を払うゆとりはなかった。コメントのしようがないかなと思う」。本番直前でのオシム氏来場は重圧かと聞かれると、本音を押し隠すように「まったくないですね。そういうの全然気にしてないですね。今はこだわりはないですね」と、真っ向から否定した。
勝っただけに、思わず気持ちがゆるみそうな時だけに、あえて監督は手綱を締めた。満足、納得の気配を消し去り、さらに貪欲(どんよく)さを求めた。「タイはある程度組織をつくって守備からのカウンターを狙ってくる。こじあけるのはそう簡単ではない」。W杯への扉をこじあけ、切り開くため。岡田監督は鬼に徹した。【井上真】
[2008年1月31日9時31分 紙面から]
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