J1鹿島のMF小笠原満男(29)が、地元岩手のサッカー少年のために一肌脱ぐ。自分の愛称を冠したクラブチーム「レノヴェンス・オガサFC」が、4月から盛岡市で活動を始めることになり、その総合アドバイザーに就任する。オフシーズンの指導や、鹿島との交流という形で人材育成に貢献し、自分の背中を追って岩手県からJリーグ、W杯を目指す後輩たちの夢を後押しする。

 小笠原は新年の始動を、故郷の後輩たちと迎えた。今月2日、盛岡市内で行われたオガサFCの蹴り初めに参加。左ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷のリハビリ中でプレーできなかったが、同じボランチの選手にアドバイスするなど約140人と交流した。同クラブの中村司代表(43)は「岩手県で生まれ育ってW杯やセリエAまで上り詰めた選手。子供を教える言葉に現実味がある」と、小笠原の「初仕事」に感謝した。

 4月から正式に活動を開始するオガサFCの総合アドバイザーとして、小笠原が育成に一役買った。クラブの前身は「レイソルSS盛岡」。02年4月からJ1柏と提携し県内の小中学生を育成してきたが、昨年9月末に契約を解除。地域密着クラブを目指し再スタートを切った。その際、中村代表が小笠原の大船渡高時代の斎藤重信監督(61=現盛岡商監督)に相談。アドバイザー要請を勧められ小笠原も「自分も地元に恩返しする年齢になった」と快諾したという。

 現役選手のため小笠原のサポートは限られるが、間接的な支援プランはある。オガサFCは今夏、茨城・鹿嶋市に隣接する神栖市でキャンプを張る。そこで鹿島の下部組織と練習したり、鹿島の試合を観戦して勉強させるという。また、岩手県内のジュニア(小学3~6年)対象の大会「オガサ杯」を主催する計画も進んでいる。

 小笠原は岩手県出身の選手で唯一のW杯経験者。斎藤監督は「第2の満男を岩手から輩出したい。そのためには、最も身近な一流選手の満男に協力してもらうのが1番。満男も地元に還元したいはず」と、小笠原の気持ちを代弁するように話した。【木下淳】