<J1:柏2-1大分>◇第8節◇29日◇柏

 またもロスタイムの悲劇だ…。大分が前節に続き、2試合連続の「ロスタイム失点」で柏に1-2と逆転負けを喫し、最下位脱出に失敗した。今季初めて4バックを採用。幸先よく前半に先制し、あとは持ち前の堅守で守りきるだけだったが終盤の失点で「カメナチオ」を崩された。これでJ1昇格後のワースト5連敗となった。

 負の連鎖が止まらない。前節の東京戦に続き、一昨年から3連勝と相性の良かった柏にも「ロスタイム弾」を決められて逆転負け。必勝体制で臨んだが、最下位脱出もならなかった。

 試合終了の瞬間、イレブンは放心状態。DF上本は精根尽き果てたようにピッチに座り込み、FW東は頭を芝に押しつけて悔しがった。シャムスカ監督は「チーム全体がいい形を作れていない。けが人や退場者が多くベストメンバーが組めていないのが大きな問題」と肩を落とした。

 前半は、柏の攻撃力を想定して、今季初めて採用した4バックが機能し、昨季までリーグ最小失点を誇った堅守が復活。リズムをつかんだ前半38分、MF鈴木の直接FKにDF森重が頭で合わせて先制したまでは良かった。後半は猛攻を浴び続けた。「残り15分耐えることができなかった」と鈴木。一気に選手3人を入れ替えた柏の猛攻に耐えきる力はなかった。

 J1昇格の03年以降ではワーストの5連敗だ。J2の99年に1度あるが、J1では2ステージ制だった04年の第1ステージ第12節~、第2ステージ第6節~で記録した4連敗がワーストだった。強化担当の原取締役は「考え方を変えないと厳しい」と話した。

 厳しい戦いが続く中で、チーム内にもきしみが生じ始めている。シャムスカ監督は補強を希望しているが、フロントは現有戦力の能力を十分に生かし切り結果を出すよう主張。意見は食い違っている。

 ただ、このまま最下位に甘んじるわけにはいかない。はい上がっていく「カンフル剤」を現場もフロントも必死に求める。けが人や退場者が相次ぐチームにとって、1勝が何より大きな上昇へのきっかけとなるはずだ。【菊川光一】