浦和の堀孝史新監督(44)が、J1残留へ就任2日目にして攻撃的“堀システム”を鮮明にした。就任初戦の今日22日の横浜戦(日産ス)へ向け、さいたま市内で練習を行った。20日に解任されたペトロビッチ前監督が採用していた4-4-2システムから、ボランチだったMF柏木陽介(23)と、ユース監督時代の愛弟子MF山田直輝(21)の攻撃力のある2人をダブル司令塔に据えた4-1-4-1に変更。前線に人数をかけた攻撃サッカーで、リーグ戦6試合ぶりの得点と、J2降格圏(16位以下)からの脱出を目指す。

 堀監督が“脱ペトロ”で勝負に出る。就任2日目でユース監督時でも採用してきた2列目に4人を並べる4-1-4-1の攻撃的なシステムに方向転換した。ペトロビッチ体制では4-4-2や4-3-3の布陣で、ボランチにMF鈴木、柏木を起用し、守備に重点を置いた戦い方をしてきたが、リーグ戦8戦未勝利で5戦連続無得点で降格圏に突入。その泥沼状態を打破するために決断を下した。

 これまでは低い位置からパスを供給してきた攻撃力のある柏木と、ユース時代から堀監督のサッカーに精通している控え組の山田直をダブル司令塔に据えた。両サイドには速さや技術を兼ね備えるMF原口、梅崎を配備。さらに1トップは長身FWデスポトビッチではなく、強さのあるFWエスクデロを抜てきし、日本人だけの「和製レッズ」にもなった。

 山田直は「攻撃のバリエーションが増えるのが今までと違うところ。90分通してやれるか。全員の運動量がカギ」。柏木は「より自由を与えられたので(前線5人が)近い距離で流動的にプレーし、相手を崩していければいい」。エスクデロも「役割がはっきりしてやりやすい。フィニッシュに集中したい」。それぞれがよりゴールに直結する意識改革が芽生えている。

 DF浜田が「相手にボールをとられた時のバランスが悪くなる」と、守備の枚数を減らした代償も確かにある。堀監督はホワイトボード上でボールや人の動きを綿密に確認し、パスの強弱、サイドの選手の使い方やオーバーラップのタイミングまで細かく説明。選手起用については「ギリギリまで悩みたい」と明言を避け、「全員が一丸となって全力を尽くすことが一番」と精神面を強調した。

 01年のJ1復帰以降、シーズン残り5戦は20勝8分け22敗と分が悪いが、ガラリと変化して臨む横浜戦で結果が出れば、最大の特効薬となるかもしれない。【鎌田直秀】