神戸は8日、成績不振のため西野朗監督(57)を解任し、後任に安達亮ヘッドコーチ(43)が昇格すると発表した。西野監督は今年5月、和田前監督の後を受けて就任したが、リーグ戦5勝6分け8敗と振るわず、ここ9試合は勝ちなしで、チームは15位に転落。J2降格危機に立っている。G大阪で黄金時代を築き上げた名将は、昨年のG大阪退任に続き、2年連続で所属チームを去ることとなった。

 J1残留のために神戸が下した最後の決断だった。西野監督がクラブから解任を伝えられたのは、J2降格圏の16位G大阪との勝ち点差が2に縮まった7日の横浜戦後。この日、クラブハウスにあいさつに訪れた西野監督は「(シーズン)途中からという難しさもあったが、それも承知しての就任だった。3試合を残してというのは残念だが、残留するための決断で飲まざるを得ない。でも、まさか1年で2回退団するとは思わなかった」と、苦渋の表情で振り返った。

 ここ数試合は、負ければクビとクラブから事前に言い渡されていた。「(複数年契約で)時間をいただき、その中で(チームを)作れればと思っていたが、現実は思っていたほど猶予はなかった。夏場にいい時期もあったが、やろうとしているサッカーがあまり評価されず、勝つサッカーを要求されていた」と、苦しい胸の内を明かした。

 就任時には三木谷会長からも「全面的にバックアップし、将来につなげたい」と、三顧の礼で迎えられた。G大阪とは違い、神戸はトップの意見が直接反映されるクラブで「ダイレクトに常に意見を言われるということも今までないことだったが、それも含めて(G大阪とは)違った形で常勝クラブにできればと思っていた」というが、西野イズムを浸透し切れないまま、わずか半年で神戸を去ることになった。

 叶屋社長は「残留のために考え得る、最大で最後のカードを切らざるを得なかった」と残り3試合での決断の理由を説明。安達新監督については、今季J1に残留できるか否かにかかわらず、来季も指揮を任せる予定だという。

 明日10日の練習から指揮をとる安達新監督は、和田前監督解任を受けて暫定的に指揮した前回に続き、今季2度目の緊急登板で「神戸はJ1にいなければいけないクラブ。全員の力で残り3試合頑張ります」とコメントした。

 ◆西野朗(にしの・あきら)1955年(昭30)4月7日、埼玉県生まれ。浦和西、早大を経て日立(現柏)でプレー。元日本代表。96年アトランタ五輪日本代表監督を務め、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」を実現。98年に柏監督就任。02年から11年まで10年間G大阪監督を務め、05年Jリーグ、07年ナビスコ杯、08年ACL、08、09年度天皇杯でそれぞれ優勝。今年5月に神戸監督に就任した。