創設元年のJ3リーグは26節を消化、終盤戦に突入した。東北勢3チームの中でも、盛岡はFW土井良太(27)が全26戦出場、得点ランク3位につける11ゴールの活躍などで最高の5位と奮闘を続けている。5日の第27節ではホームで藤枝と対戦する。残り7戦、みちのく3チームが1つでも順位をあげるべくラストスパートをかける。

 12チーム中、唯一地域リーグからの「飛び級」参戦となった盛岡が上位で踏ん張っている。鳴尾直軌監督(39)は「6位以内という当初の目標を上回る。いかに今の調子を維持して、いい終わり方ができるか」とこれまでの戦いぶりを評価。J2昇格対象となる2位以内は勝ち点15差と遠いが「4位以上を狙いたい」とさらなる高みを目指す。

 チームの柱として君臨するのが、190センチの大型FW土井良だ。開幕時から「得点王を狙う」と宣言。ここまで全試合に出場し、11得点と結果を残してきた。長身を生かしてセットプレーやゴール前の混戦を着実に得点に結び付け、チームに勝ち点をもたらしてきた。得点ランクは現在3位につける。

 決して順風満帆のサッカー人生ではない。神戸弘陵高では陸上部にも所属し、100メートル11秒9の俊足を武器に3トップのウイングもこなしたが、3年時に右膝靱帯(じんたい)を断裂。その後計3度、膝にメスを入れた。卒業後に神戸入りも、定位置はつかめず2年で退団。「(当時は)ただ大きいだけの選手だった」と振り返る。

 だが諦めなかった。4クラブを渡り歩いた末、13年に盛岡入りし、東北社会人リーグ制覇、全国地域リーグ決勝大会優勝に貢献した。海外の長身選手のプレーを参考にするなど研究も怠らず「ペナルティーエリア内の動きでは誰にも負けない」までに自信もつけた。鳴尾監督も「土井にボールを集める形で戦ってきた」と信頼している。

 全国を舞台に試合をしながら、老人ホーム、旅館でのアルバイトも続けている。昨オフ期間には「体重が増えないように」とほぼ毎日仕事を入れ「月14万円近く、稼ぎました」と笑う。

 前節福島戦では初めてサイドハーフにも挑戦した。土井良は「試合に出られることが幸せ」と謙虚に話す一方、「全試合でゴールを決めて4位に上がる。得点王も取る」と力強く宣言。残り7戦、まだまだネットを揺らし続ける。【成田光季】

 ◆土井良太(どい・りょうた)1987年(昭62)8月27日、兵庫県洲本市生まれ。小1から五色FCでサッカーを始める。神戸弘陵高では1、3年時に選手権県予選レギュラー、2、3年時に全国総体出場。卒業後の06年に当時J2の神戸入団。その後シンガポールリーグのアルビレックス新潟・S、JAPANサッカーカレッジ、JFLアルテ高崎、J2草津(現群馬)を経て13年にグルージャ盛岡入り。190センチ、82キロ。利き足左。血液型A。