サッカー

ドラマ演出はカズ、大舞台で光った／Ｊ１

拡声器を手にサポーターと喜びを分かち合う横浜ＦＣカズ。右は先制点の根占

Ｊ１：横浜ＦＣ１－０浦和＞◇最終節◇１日◇日産ス

　浦和サポーターの悲鳴の中、横浜ＦＣのＦＷカズは走った。マークにきたＤＦ阿部を「タイミングと緩急で」抜き去り、左サイドライン際を突破。中央に走りこんだＭＦ根占に左足で絶妙なクロスを送った。Ｊ２落ちの決まった最下位チームが、優勝を狙うアジア王者から奪った先制点。４０歳は、２２歳と抱き合った。

　「１８位が１位に勝つこともある。それがサッカー」と話したのは、前日の練習後だった。チームは５月２６日の大分戦以来、２０試合連続勝ちなし。最近は調子が上向いているとはいえ、勝利からは半年以上も見放されていた。それでも「勝てる」と言った。それを、ピッチで実現させた。

　「後ろにはヤマ（山口）とオム（小村）もいた。ベテランが引っ張った」と、カズは２人の３８歳に感謝した。ともに日本代表としてＷ杯を目指し、昨季Ｊ１昇格に力を合わせた２人は、来季戦力外となった。しかし、舞台が大きくなればベテランの力が光る。「浦和は選手が文句を言い合っていた。バラバラだった」と小村。山口は「精神的にも肉体的にも浦和は大変だよね」と言って笑った。

　前半３５分、カズは右クロスに右足で合わせたシュートを左足に当てるというミスもした。「あり得ないね」と苦笑いしたが、言葉には悔しさがにじみ出ていた。降格が決まった後には「オレがもっと決めていれば」と唇をかみしめたこともあった。「今日の勝利はチームの自信になる。歴史にもなる」。大きな１勝を胸にカズは来季、横浜ＦＣで再びＪ１昇格に挑む。

［2007年12月2日9時58分　紙面から］

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