- スポーツメニュー
-
- 後藤新弥のDAYS'メニュー
-
後藤新弥の「スポーツ&アドベンチャー」
2007年09月11日更新スワンボートを懸命に足こぎ
ちまたにあふれる競い合い、F1、K-1、M-1、R-1…おおっ「ス-1」誕生だ~
いかん、どうも右にそれる。この白鳥は思うように進まない。おやじこそ悲しからずや、だ。5日、栃木県の日光で「第1回中禅寺湖スワンボートレース」が開かれた。明治から昭和にかけて、外国人がここでヨットやボートを楽しんだ。その歴史にちなんで今年の「水神祭」の行事に湖上レースが復活したのだ。それに出た。距離わずか200メートルだが、この手の遊びは真剣になってこそ面白い。小雨をはねのけ、突進した。
ペダル遠い
![]() | |
| 張り切りすぎて1人浮いたかな? 中禅寺湖200メートルレースに必勝を期した | |
40羽を超える白鳥が一斉に羽を広げて湖上を滑り出した。岸から見たらさぞ壮観だろう、美しかろう。こっちはそれどころではない。どこの行楽地でも見掛ける足こぎのスワンボートでレースをするのだ。技術も何も、ただ突っ走るだけだ。懸命に足を回した。
自転車と同じだが、ペダルが少し遠い。短足にはこたえる。それに力任せにぐわーっと回しても、スピードはあまり変わらない。
何しろ、スワンボートは初めてだ。こういうのがポピュラーになった時分にはとうに青春を通り越していた。アベックで楽しむ機会を逸した世代だ。
意外に操船が難しい。ベンチシートの前にペダルが2人分、中央にハンドルがある。ところがハンドルを切っても思った通りには向きを変えない。特にバックでは右にしか旋回しない。
屋根が付いているから小雨でも気にならないが、その分、スタートの合図がよく聞こえなかった。気がついたときには皆走りだしてた。焦った。
距離は200メートル
![]() |
|
| 出走42艇、白鳥が一斉に羽根を広げた。のぼりを立てた和船(右端)がゴールだ | |
何か面白い冒険はないかとネットをで検索していたら、このレースの案内を見つけた。参加料1000円で当日受け付け。午前11時にスタート。それだけだ。面倒くさい申込書や誓約書はない。イベントは、こうであるべし。いい年をして「はい、並んで」などと体育座りをさせられるのはかなわない。我慢は仕事と家庭で十分してきた。還暦過ぎたら勝手が一番だ。
距離が短いのも性に合っている。タイソン・ゲイ(25=米国)の19秒76に挑戦するのだ。優勝しよう!
思い込みがやや強すぎた。奉納行事だ。楽しそうなアベックや家族連れがほとんどなのに、おやじは鉢巻きまで締めている。気がはやって参加賞をもらうのさえ忘れてしまった。速そうなのを選んで湖上に飛び出した。周囲の雰囲気から完全に「浮いて」いた。性格がまじめすぎるのだ。
スタートは出遅れ気味だった。世界陸上女子1500メートルをまねて前に割り込み、ぶつけて押しのける。ゴールに和船が待っていて、神主さんが賞品の目録を渡してくれる。5番目に到着し、手を伸ばして4番用の目録を奪った。
やったやった。
舟でポロも
![]() |
|
| 日光二荒山神社の斉藤芳史部長(左)と地元の自治会小島喜美男会長 | |
賞品は地酒の「樹香明想」と「湖水豊饒」の2本だった。日光二荒(ふたら)山神社の斉藤芳史中宮祠部長は「漁船の安全などを祈って大正10年(1921)に水神碑を祭り、その時全国に先駆けてここでボートレースをやった記録があります。地元と協力して今回復活できました」と、感慨深げだった。
自治会長の小島喜美男さん(58)「中禅寺湖畔には明治時代から外国人の別荘が数多く建てられ、1890年代にはヨットレースが始まった。木造の舟でウオーターポロが行われた記録もある。創立された男体山ヨットクラブには地元で建造された艇に限るという一項があり、ために船大工の仕事が産業にまで発展した時期も。水上スポーツゆかりの地を今1度見直そうと関心が高まっている」。
ちなみに1877年(明10)、日本に最初に寄港したといわれるヨットの名前が「日光号」(サンビーム)だったのも、きっと何かの縁だろう。
![]() |
|
| 3人乗りが一番いいと教わったのは、祭りが終わった後だった | |
ゴールからハーバー(サンセットピア)に戻る時になってやっと気が付いた。舟が右に傾いている。右側に乗っているから当然だが、この傾きが操船を難しくしていたに違いない。「右に乗ると、右には回るが左にはなかなか回らない。だからこいつは3人で乗るのが一番だ」。船着き場のおじさんが教えてくれた。
それならそうと早く言ってよ。来年はかかあと3人態勢で出てみるか。孫が船長、大喜びに違いない。
海外では芝刈り機や手押しベッドのレースが大まじめで行われている。対して最近型にはまり始めた日本のスポーツに、スワンボートレースが新風を吹き込めば面白い。はばたけ、白鳥。
![]() |
|
| 明治時代からヨットレースが行われていた。写真は1929年に撮影されたもの(日光市立図書館所蔵) | |
◆中禅寺湖 標高1269メートル、面積は11.6平方キロ。標高1000メートル以上では日本最大の湖。東西約6キロ、南北約2キロ。周囲約24キロ。男体山(二荒山)の溶岩が大谷(だいや)川をせき止めてできた。湖水は華厳の滝となって流れ出る。
- Thanks
- ご愛読に感謝申し上げます。すべてにご返信ができないため、整理の都合上、nikkansports.comの本欄、マスター及び筆者個人アドレスでは、コラム内容に関するご感想などのEメールは、現在すべて受付を中止しております。お詫び申し上げます。下記にご郵送ください。
また、他ページ、フォーラムなどへの転載は、引用を含めて、お断りします。ご協力に感謝いたします。
【郵送宛先】 郵便番号104・8055 日刊スポーツ新聞社 編集局 後藤新弥
- プロフィル
- 後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、60歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
【 詳細プロフィルへ >> 】




