ラグビーW杯イングランド大会を戦う世界ランク11位の日本代表は今日23日、同12位のスコットランドとの第2戦に臨む。

 正確なキックで南アフリカ戦勝利に貢献した五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)が「陰の立役者」と感謝するスタッフがいる。スポーツ心理学の立場から代表を支える兵庫県立大准教授の荒木香織メンタルコーチ(42)だ。「私が存在することが、少し安心材料になるのかな」と控えめに話す。

 拝むように手を合わせ、前かがみになってから蹴る五郎丸の特徴的なプレースキック前の動作は、どんな状況でも蹴ることに集中できるように2人で考えた。五郎丸は「ルーティン(決め事)を一から(一緒に)作り上げた」と振り返る。

 臨時コーチとしてチームに携わってきた。生後11カ月の乳児を抱える母親でもあり、英国まで同行する予定はなかったが、選手の要望を受けたジョーンズHCから「英国に来てくれ」と頼まれ、息子連れでの渡英を決めた。現地でナーバスになっていく選手に、W杯や五輪のような非日常では「緊張して当たり前」と説いた。ニュージーランド代表などの研究事例を挙げ、意識して呼吸するなど具体的な対処法を授けたという。

 スコットランド戦は現地で観戦せず、帰国する。「10年後に振り返ったときに、あんなに緊張したよね、ってネタにできる」と屈託なく笑う。21日、ブライトンの宿舎から次戦の舞台グロスターへと出発するチームバスを、息子と手を振って見送った。