<体操:全日本選手権>◇最終日◇24日◇東京・代々木第1体育館

 女子は09年世界選手権個人総合銅メダルの鶴見虹子(18=朝日生命)が計110・700点で優勝し、史上最多6連覇を達成した。全種目でミスのない演技を披露。絶不調だった昨年から完全復活を果たした。男子は世界王者の内村航平(22=コナミ)が史上6人目の4連覇を達成。10月の東京世界選手権代表(女子は候補)は6月のNHK杯兼最終選考会(東京)で決まる。

 鶴見が、思わずはにかんだ。求められた握手。その相手は2位の田中だった。長い時間たたえられ、祝福された。「田中さんから『(右肩痛で欠場した昨年12月の全日本団体から)戻ってきてくれて良かった』と言われて、うれしかった」。復活を告げる女子史上最多6連覇。「失敗しないで2日間できたので良かった。ホッとした」と喜んだ。

 昨年10月の世界選手権前だった。右肩のケガが悪化。骨が神経と接触し、インタビューも「つらい」と感じるほどの激痛を覚えた。周囲に隠して臨んだが、09年に43年ぶりに銅メダルを獲得した個人総合は、結局21位。11月のアジア大会も決勝に進めず、個人3位の田中に差をつけられた。葛藤といらだち。コーチと何度も衝突した。

 年が明けた1月。初めて「合宿に行きたい」と申し出た。延べ2カ月。ほぼ単身で中国・上海を訪れ、基礎体力から鍛え直した。右肩も補強運動を行い、痛みに慣れようとした。3月中旬。再会した朝日生命の塚原千恵子監督は変化を感じた。「よくコーチの反応を聞くようになったし、なんか大人になった。顔も『やるぞ』という感じになった」。大会前、同監督に「腐ってもタイ」と言わしめた鶴見は「結果を気にせず、楽しくできた」と笑った。

 高校を卒業し、大学に進まず、本人いわく「プータロー」になった。それは競技に専念してロンドン五輪を目指すという決意の表れ。「細かいところまで減点をなくしたい。美しい体操をしたいです」。6連覇も通過点ととらえる、無敵の女王が帰ってきた。【今村健人】