<フィギュアスケート:スケートカナダ>◇26日◇カナダ・ウィンザー

 10年バンクーバー五輪代表の織田信成(25=関大大学院)が復活への第1歩を示した。左膝故障から復帰後初のGPで、4回転-3回転の高難度ジャンプに成功。82・14点で3位につける上々発進を決めた。無良崇人(21)は62・10点で9位、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)が85・87点で首位に立った。女子は村上佳菜子(17)が56・21点で4位、鈴木明子(27)は55・12点の5位と出遅れた。

 織田が会場のどよめきを誘った。冒頭の2連続ジャンプの高さ、回転速度。その美しさで観客を引き込んだ4回転-3回転トーループは、本人にとっては確かな復活への手応えになった。「集中していたのでうれしい」。その高揚感に、次の3回転半の着氷ではふらついたほど。何より、故障に苦しんだ左足で、氷を強く蹴って跳べたことが大きかった。

 昨年5月、競技人生初の大けがを負った。ジャンプ練習の負担から、左膝の腱(けん)が部分断裂。そのままシーズンに突入した12月、ついに痛みに耐えられなくなり、長期休養を決断した。酸素カプセル、赤外線治療などを試し、月に数度も上京して専門医に通う日々。2月に氷に戻ったときは「雲の上にいる感じ」。細心の注意を払い地道な努力を重ねてきた。

 技術点ではSP2位の世界王者チャンを上回った。最高難度レベル4をそろえた伸びやかなステップとスピンは健在。「まだ75点ぐらい」のプログラムの完成度で、跳ぶ前の助走などに工夫を凝らせば、さらに得点を伸ばせる自信もある。

 フリーでは上位2人に比べ、ジャンプの難度は低い。2位だった昨季のGP中国杯以来の表彰台へ、成功が求められる。「ミスが許されない」と余韻を断ち切った。