<F1:日本グランプリ>◇決勝◇5日◇三重・鈴鹿サーキット

 F1日本GP決勝で事故があり、マルシアに所属するフランス人ドライバー、ジュール・ビアンキ(25)が意識不明の重体となった。コース脇で停止していた車の撤去作業をしていたクレーン車に激突した。この事故を受け、53周する予定だったレースは44周終了時点で打ち切り。表彰式は行われず、今季8勝目、通算30勝目を挙げたメルセデスのルイス・ハミルトン(29=英国)、19位だったケータハムの小林可夢偉(28)らは沈痛な面持ちでサーキットを後にした。

 事故はレース終盤の午後4時50分ごろに起きた。豪雨の中、42周目にザウバーのスーティルが、コーナーでスリップして側壁に激突した。この車を撤去するためクレーン車がコース脇で作業を開始。レースは一時中断され、各車が周回する中、ビアンキの車が同じコーナーでスリップし、クレーン車に突っ込んだ。

 国際自動車連盟(FIA)によると、ビアンキに意識はなく、救急車で三重県内の病院へ搬送された。重度の頭部損傷が見られ、緊急手術が行われたという。

 この事故でレースは44周終了時点で終了。優勝したハミルトンは悲壮な声で「仲間が大変な事故に遭った。とても心配しているし、彼が大丈夫であることを祈っている」と話した。小林もツイッターに「良くなりますように、ジュール!

 頑張れジュール」などと英語でつぶやいた。

 ビアンキは昨年、F1にデビューした新鋭で最高成績は今年5月のモナコGPでの9位だった。祖父のマウロさん、マウロさんの兄ルシアンさんも元レースドライバー。68年のルマン24時間レースで優勝したルシアンさんは、翌年の同レースのテスト走行で電柱に激突して死亡している。