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力士急死で元時津風親方ら4人を逮捕へ

07年10月5日、緊急理事会に向かう先代時津風親方の山本順一氏
07年10月5日、緊急理事会に向かう先代時津風親方の山本順一氏

 大相撲時津風部屋の序ノ口力士、時太山(当時17、本名・斉藤俊さん)が急死した問題が、ついに立件される。捜査を進めていた愛知県警捜査1課と犬山署は28日、制裁目的の暴行などで斉藤さんを死亡させたとして、傷害致死の疑いで先代時津風親方の山本順一氏(57=元小結双津竜)と部屋の兄弟子少なくとも3人を2月中に逮捕する方針を固めた。名古屋大に依頼した死因の再鑑定が大筋でまとまり、一連の暴行が死因と結論付けた。同県警は近く名古屋地検と最終協議に入る。

 相撲界を揺るがした力士急死問題が刑事事件に発展する見通しになった。愛知県警などの調べでは、山本氏は昨年6月25日夜、犬山市の時津風部屋で斉藤さんの額などをビール瓶で殴打。兄弟子に「おまえらもやってやれ」と命じ、兄弟子3人が約30分間、金属バットなどで暴行した。山本氏と、前日の暴行に加わった2人を含む兄弟子5人は翌26日、けいこ場で通常3~5分程度のぶつかりげいこを30分以上続け、斉藤さんを死亡させた疑いが持たれている。

 問題発生直後から始まった新潟大での遺体の組織片鑑定で死因は「多発外傷性ショック死」とされたが、同県警は名古屋地検からの「さらなる証拠固めを」との指示もあり、地元の名古屋大に再鑑定を依頼していた。約3カ月かけた再鑑定では、強い打撃を受け半日以上経過すると血中に蓄積し、一定以上で心停止などを引き起こすカリウムに着目。斉藤さんは血中濃度が通常の2倍程度になっていたことから、県警は25日の暴行をきっかけにカリウムがたまり始め、26日の激しいけいこが直接の引き金になったと判断した。

 26日のけいこについて、山本氏はこれまでの任意の聴取に「通常のけいこだった」と訴えたが、兄弟子の1人は「制裁目的の暴行だった」と供述。捜査協力した日本相撲協会幹部も「入門したての弟子にとってはあり得ないこと。異常に長く、けいこに相当しない」などと回答したことから、県警は2日間の暴行が死因になった傷害致死容疑の適用が可能と結論付けた。2月中に名古屋地検と協議の上、逮捕に踏み切るとみられる。

 現役力士が死亡問題に絡んで逮捕されるのは前代未聞。日本相撲協会は、既に3人が逮捕された当日に緊急理事会を招集し、対応を協議することを確認しているが、ある協会幹部は「逮捕されても名古屋地検が起訴するとは限らない。ただ、不起訴でも1年間の出場停止、起訴されて有罪確定なら除名になる」と話している。

[2008年1月29日8時45分 紙面から]

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