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スポーツ法政コラム
スポーツ法政コラム「オレンジ特急箱根行き」

厳しい戦いの予感

<直前レース展望/区間エントリー発表>

 法大にとって今回の箱根駅伝は厳しいものになりそうだ。エース・土井洋志(社4)、準エース・黒田将由(社3)がそろって膝の故障で欠場。この2人を1区、2区に配して、序盤から勢いを作り、往路優勝を狙うという法大の戦略は水泡に帰すこととなってしまった。

▼往路
 黒田、土井を欠いた法大は1区に有原忠義(経3)、2区に長嶺貴裕(経3)を持ってきた。やはり序盤からの出遅れは、追い抜きが得意な選手が少ない法大にとって致命的な痛手となりかねないため、従来通りの「先行逃げ切り」を狙ってくるだろう。近年の箱根駅伝の1区では、選手たちが牽制しあってあまりいいタイムが出ないという場合が多いので、有原が本来の実力を発揮できればトップとの差があまりない位置でタスキを渡せる。ただ、有原は好不調の波が激しいので調整が上手くいっているかどうかが問題となってくる。2区をまかされた長嶺は、安定して実力を出せるのが強み。他校のエースと比べてやや見劣りするかもしれないが、持ち前の粘り強さを見せてくれれば十分に他校のエースとも張り合うことができるだろう。今季好調で記録を伸ばしてきた選手だけに、期待がかかる。

 3区は山口航(社1)。180センチという高い身長を活かした大きな走りが特徴。この区間では1・2区で作った勢いを絶やさないようにするのが重要視される。今年度の全日本大学駅伝では、その勢いを維持できず悪い流れになってしまったため、この区間での早々の脱落は防がなければならない。

 4区には、栗原健一(経3)が来た。最近になって調子を上げてきた選手だ。積極的に仕掛けられる選手だが、大舞台の経験が不足しているのが不安か。山登りの前にできるだけいい順位でタスキをつなぎたい。また、29日のエントリー発表で補欠に入っている岡田拓也(社1)が入るとしたら、この3区か4区のどちらかだろう。岡田は今年の1年の中では、1番の注目株。1年生でただ1人大学駅伝デビューを果たし、タイム的に上級生と比べても遜色ない。調子次第だが、今回は再来年以降も見据えてのオーダーなので、4区での起用もありうるかもしれない。

 箱根の最難関、5区には佐藤浩二(経2)を持ってきた。ここでは山登りに耐えられるだけの体力が求められる。体力的に力強い走りができるということ、精神的には5区を走りたいというモチベーションの高さを評価されての起用か。疲れきった後の粘りに注目したい。

▼復路
 6区・山下りには白田雄久(社1)を起用。本人が明言するように上り・下りが得意な選手。北海道出身なので寒さに強いという点も挙げられる。往路次第だが、先頭が出発して10分後の一斉スタートとなってもいいレース展開にもっていけるだろう。大学駅伝デビュー戦で、どれだけ実力を発揮できるかが鍵となりそうだ。

 7区には谷本幸喜(経1)。彼も今大会が大学駅伝デビュー戦。近年、7区に有力選手が配される傾向があり、安定した走りを求められる区間である。そのためペース配分が重要になってくる。谷本は最近、きつくなってから粘れるようになってきて、記録を伸ばしてきた。だが、7区には補欠である中矢章太(社2)が入る可能性が高い。箱根の経験があり、20キロ以上の長距離を走れるだけの力もある。上り調子で調整ができていれば、7区起用でいくだろう。

 8区も今大会デビューの1年生、原田誠(社1)。予選会、上尾ハーフマラソン、日体大記録会と安定した成績を残してきた。思い切って勝負できる選手。比較的易しいとされている8区での起用が妥当なところか。今大会では、6〜8区でどれだけ粘れるかがポイントになりそうだ。

 準エース区間である9区には、坂野清志(経3)がエントリーした。最後まであきらめずに走りきれる選手だ。この3年間で大学駅伝の経験は十分に積んできているが、今季の成績が芳しくないのが気になるところ。そうなると、やはり9区には中村洋輔(社3)の起用が有力だろう。中村は独走を得意とする選手。課題だったメンタルの弱さを克服し、調子も上り坂なので快走が期待できる。シード権争いを見込んだ場合、この区間でどれだけ遅れを取り戻せるかにシード権獲得がかかっている。それだけに坂野、中村のどちらが走っても、最大限の力を出すことが要求される。

 最終10区には杵淵勉(社2)がエントリー。10区は平坦なコースが続くが、最終区だけあってプレッシャーは相当なものだ。杵淵は今季大きく成長した選手の1人。プレッシャーの中でどれだけ実力を発揮できるか。経験不足が心配される。早川謙司(社4)を起用するとしたら、ここ10区になるだろう。今大会ただ1人の4年生として奮起してほしい。経験も豊富で安定した走りが期待できるため、何かない限り10区は早川でいくだろう。

▼総評
 やはり黒田、土井の離脱によって大幅に戦力がダウンしてしまったのは否定できない。そのため、再来年以降を見据えての1、2年生の起用が目立った。その中でも注目なのは1年生。成田監督が「今の3年生が1年の時よりも長距離を走れるし、実力は上」と語るなど、期待を持つことができる。経験不足を勘とセンスでカバーできれば好走してくれるだろう。序盤に有原、長嶺がうまく勢いづけてくれれば、1年生の精神的負担も小さくなる。

 目標であるシード権獲得のためには、全員が実力をいかんなく発揮することが必要不可欠。厳しい戦いが予想されるが、シード獲得は決して不可能なものではないだろう。走れなかった黒田、土井の分まで各選手の奮起に期待したい。

<バックナンバー>
「個性派チーム」率いる指導者たち<監督・部長インタビュー>

「実力で3強に絡めるし挑める」<OB徳本一善さんインタビュー>

東京〜箱根間の見所区間とコース紹介

法政大学・3年生クインテット<よき友人・よきライバル>

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箱根への一歩<1、2年生特集・上尾ハーフマラソンより>

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法大まさかのシード権落ち<全日本大学駅伝リポート>

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「土井だ!土井が来た!!」<箱根駅伝予選会リポート>


協力大学スポーツ新聞






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