東北6県の先陣を切って、秋季高校野球岩手県大会(10日開幕、岩手県営ほか)の組み合わせ抽選会が6日、盛岡市内で行われた。8月末の台風10号で甚大な被害を受けた久慈地区からは第1代表の久慈工が出場し、11日の1回戦で一関一と対戦することが決まった。学校が高台にあり被害はなかったが、グラウンドが水浸しになった同じ地区の久慈の分まで戦いきる。上位3校は秋季東北大会(10月14日開幕、山形)に出場する。
台風から約1週間。1番くじを引いた久慈工の浅水海人主将(2年)の言葉には熱がこもっていた。「道具が水に浸ったりするなど、大変な中で試合をしてくれた久慈の分まで感謝の気持ちを持って戦いたい」。3日の第1代表決定戦で対戦した久慈はグラウンドが水没する中、戦っていた。第2代表決定戦にも敗れて県大会出場を逃した久慈の分までと、浅水にも自然に力が入った。
今でも三陸沿岸北部は深刻な被害に悩まされる。久慈市と岩泉町の合計で孤立状態の住民は約700人(5日午前現在)にも上る。現在は復旧したが久慈駅は水没し、三陸鉄道も止まってしまった。浅水は「学校に行くのにも苦労している生徒がいて、代行バスなど利用している人もいる。その人たちの分まで頑張りたい」と気合を入れた。
また、久慈から約100キロ南に位置する宮古と、盛岡を結ぶ国道106号は、一部区間不通のため往来できない。ほぼ同じ区間を走るJR山田線も運転を見合わせており、沿岸北地区代表の3校(宮古、宮古商、山田)の主将は、この日の抽選会に来ることが出来なかった。釜石経由で盛岡入りした宮古商の部長が代理で3校分のくじを引くなど、台風の爪痕を感じさせる抽選会となった。
最速142キロのエース右腕・中村彪(2年)と2枚看板を形成する、久慈工の主砲・浅水は言葉に力を込めた。「東北大会出場が目標。台風で気持ちが沈んでいる人もいる。その人たちを元気づけられるように」。野球を思う存分できる環境に喜びを感じ、沿岸部を代表して戦う意気込みだ。【高橋洋平】