<楽天8-3西武>◇11日◇コボスタ宮城
がむしゃらルーキーの全力スイングが試合を決めた。楽天ドラフト3位の茂木栄五郎内野手(22=早大)が2回、プロ1号の逆転3ランを右翼席に突き刺した。リーグ新人1号は、チームの連敗を4でストップさせる貴重な1発となった。開幕から全35試合に出場し続ける攻守の要。打率2割2分台に落ち込んだ一時期の不振を脱し、新人王争いの先頭に再浮上した。
華麗なる経歴とは裏腹の泥臭いスイングから、茂木のプロ1号は生まれた。2回2死一、二塁。上半身が打席から飛び出しそうな懸命の前さばきで、西武佐藤のチェンジアップを打ち砕いた。弾丸ライナーが右翼席に突き刺さる。「とにかく必死でした。チェンジアップを打ったこと以外は全く覚えてないです」。連敗中のチームを救った逆転3ラン。憧れの松井稼ら、ベンチから大祝福を浴びた。
苦い記憶を振り払った。アマ時代は主に三塁を守っていたが、プロでは開幕から遊撃を守り続けた。慣れないポジションで戦う初のシーズン。6日、ヤフオクドームでは「正直、体も心もぎりぎりです」と本音がこぼれかけた。前日5日ロッテ戦の遊撃守備で失点につながるミスを2つ。連続出場の疲労から、攻守で体が思うように動かない。「プロに入るまでは対応できると思っていたのに、今は体力も投手の球の切れも、レベルの差を感じています」。持ち味の打撃も不振から一時は2割3分を切り、自信を失いかけていた。
それでも171センチ、75キロの体には強い心が備わっていた。桐蔭学園(神奈川)から進学した早大でリーグ優勝を経験し、大学日本代表でも中心選手だったドラフト3位。「今までは先を考えて疲労を残さないようにしていた。それをやめました」。なりふり構わず早出練習で振りまくった。本拠地に戻ると、打席の3メートル手前に立っての早出マシン打撃で毎日汗だくになった。「やらずに後悔はしたくないんです。後に体力が残らなくてもいい。今はとにかく振り続けます」。無心で振り続けるうちに本来の力強さが戻ってきた。
自分を見失わない。同期オコエの話題を振られても「一緒に頑張ろうとかではなく、生き残りをかけたライバルと思っています」と自らの成長だけに集中してきた。プロ初本塁打を振り返り「特別な感想はないです。形が崩れて、あまりいいスイングではなかったですね」と苦笑いした。貪欲で懸命なルーキーが、最下位脱出を果たした楽天の起爆剤となる。【松本岳志】
▼茂木が0-1で迎えた2回、プロ初本塁打となる逆転3ラン。本塁打を放った楽天の新人は15年9月27日伊東以来8人目だが、勝利打点がついたVアーチは、07年8月14日オリックス戦の嶋に次いで9年ぶり2人目。嶋の1発は同点からの勝ち越し弾で、逆転Vアーチは茂木が初めてだ。