阪神怒りのコリジョン意見書 ルール改正要求も示唆

11日の巨人戦、大和からの返球を受けた原口(左)は、本塁突入の小林誠にタッチ

 阪神が12日、“怒りの意見書”を日本野球機構(NPB)に提出した。11日巨人7回戦(甲子園)の3回守備で、本塁タッチプレーを巡るアウト判定がコリジョン適用でセーフに覆った審判団の判断を問題視。谷本修常務取締役(51)があらためて正当性を訴えた。NPBや審判団は近日中に金本監督らに説明する意向だが、阪神側は納得できない場合、ルール改正まで求める可能性を示唆した。

 コリジョン適用で金本監督が猛抗議した一夜明け、阪神サイドの怒りは収まっていなかった。11日の試合後、球団首脳が審判員室を訪れて判断の根拠について聞き取り。その後は深夜まで、指揮官も交えて多方面の角度からVTRでプレーを検証したという。谷本常務は球団として正当性を再確認したとし、この日NPBに提出した“怒りの意見書”について説明した。

 (1)またいだがふさいではいない 「審判団は捕手が本塁を最初からふさいでいたとおっしゃいましたが、最初からでもないし、ふさいでもいない。またいだのとふさいだのは違います」

 問題の場面、嶋田球審は1度アウトをコールした。リプレー検証の結果、捕手原口が本来開けておくべき走路に立っていたとしてセーフに覆り、巨人の得点が認められた。

 谷本常務は、原口は最初ベース前にいたが、ショートバウンドの捕球でやむを得ず下がって走路をまたいだと説明。この時、走路もふさがず開けていたとした。さらに1月19日の実行委員会での説明を持ち出し「捕球のために入ったと審判が判断した場合は、コリジョンを適用しないと、明確にQ&Aに入っている。今回のプレーは明らかに該当する」と主張した。

 (2)完全アウトのタイミングとは 「審判団が判断する完全アウトのタイミングとは何なのか。走者の小林選手もタイミング的にはアウトとコメントを残されている。これは明らかなアウト。どんな基準で判断されておられるのか」

 実は開幕前、審判団から完全アウトのタイミングでは、コリジョンを適用しないと説明されたという。2月宜野座キャンプの紅白戦で、左翼ペレスが本塁に好返球し、走者荒木を刺したプレー。完全アウトのタイミングだったが、捕手小宮山が走路をふさいでいたとして判定が覆った。

 「3月に京セラドームを訪れた審判団から、あのプレーでアウトをセーフにしたのは間違いでしたと解説を受けました。タイミング的にはアウトなのでアウトは残る。でも本塁をまたいでいたので、捕手に1回警告が発せられる。それが正しい判定でしたと。それと昨日は何が違うのか」

 2つの問題を指摘した意見書への回答について、納得できなければルール改正も求めていく可能性も示唆した。「回答によってはおかしいじゃないか、このまま1年間続けるんですか、ということになりますから」。NPBと審判団は近日中に金本監督らに説明する。物議をかもすコリジョンに、阪神が問題提起の一石を投じた。【松井清員】

 ◆コリジョンルール 本塁での衝突(コリジョン)を避けるため、プロ野球では今季から導入された。走者が故意に捕手に衝突しようとした場合はアウトになり、捕手または野手が走路および本塁上で走路をふさいだり、ブロックすると、セーフとなる。ただし、捕手または野手が守備しようとして走路をふさいだが、審判員が「走路をふさがずには守備できなかった」と判断した場合は、適用されない。

 ◆11日阪神-巨人戦でのコリジョンルール適用 巨人攻撃中の3回表2死二塁、脇谷の中前打を処理した大和は本塁へワンバウンドで送球。走者小林誠に捕手原口がタッチし、嶋田球審はアウトを宣告した。巨人高橋監督がベンチを出たのとほぼ同時に、審判団も協議を開始。リプレー検証で確認し、約2分後に責任審判の杉永二塁塁審が「コリジョン適用」と場内放送してセーフに覆った。金本監督は抗議したが、審判団の見解を杉永審判は「原口捕手が最初から空けておかないといけない走路に立っていた」と説明。巨人が2-0とリードを広げた状態で試合は再開された。