<阪神2-1DeNA>◇16日◇甲子園
ベテランだからこそ、勝負の酸いも甘いも知り尽くしている。負ければ阪神のCS進出が消滅するDeNA戦(甲子園)で、今月4日以来の聖地勝利を虎党に送ったのは、39歳の福留孝介外野手だった。12月に43歳を迎える現役最年長投手の三浦から逆転の11号2ランだ。崖っぷちに立たされても、勝利を、会心のプレーを追うのがプロ。チームを最下位脱出に導いたが、厳しい状況に変わりなく、今日もまた白星だけを目指し、バットを振る。
魂のこもったホームランだった。1点を追う1回、2死二塁の場面。3ボールからの4球目の変化球。福留は鬼の形相でつかまえた。打球は秋の夜空に舞い上がり、右翼席の中段に吸い込まれる。ライトスタンドに何本ものアーチを掛けた金本監督が「すごい飛距離」と言う驚弾。42歳三浦とのベテラン対決。軍配は虎の主砲に上がった。
福留 打者有利のカウントだったので、ストライクゾーンだけに絞って積極的に打ちにいこうと思っていた。その前の高山の打席でスライダーで見逃し三振というのも頭に入れながら。
三浦 コントロールミス。4番は見逃してくれない。
舞台裏では激しい読み合いがあった。球界最年長右腕の三浦も、振ってくるのは織り込み済みだった。だが、内角を突くはずのスライダー系の球が真ん中に入った。わずかな狂いを見逃さない。プロ野球新記録の24年連続勝利に待ったをかける福留の1発に、マウンドの三浦も脱帽するしかなかった。
負ければBクラスが確定する正念場の夜。虎の4番は鬼気迫る表情で快音を重ねた。4回には右前打。6回には代わった左腕砂田からも右翼へ二塁打を放ち、今季10度目の猛打賞をマークした。まさに意地とプライドだった。
今季はオープンスタンスで構えていた打撃フォームを夏場に微調整。スクエア気味に右足を内側に寄せた。「毎年同じフォームで出来ればたぶん苦しまずにすむ。でも1年、1年年齢を重ねることで身体の状態も変わってくる」。結果を残し続けるために変わることを恐れない。それが39歳になってもグラウンドに立つことが出来る理由でもある。
聖地での連敗を5で止め、12日ぶりに本拠地甲子園に響き渡った六甲おろし。前夜3万人割れしていたスタンドには、3万5845人のファンが駆けつけていた。最下位を脱出したが、CS進出への望みは薄い。笑顔なきお立ち台で、福留は「なかなか勝てずにすみません」と大勢の虎党の前でざんげした。ただ、こうも言った。
福留 1人1人、一生懸命やって、最後までしっかりと戦えるように頑張りたいと思います。
秋風が吹き、目の前の火が消えかけようとも、ファンの前で下を向くようなプレーは絶対にしない。【桝井聡】
▼福留は三浦から通算7本塁打目。中日時代は4本で、阪神移籍後は昨年6月28日(甲子園)に続き3本目。通算対戦打率は2割3分3厘(116打数27安打)とやや苦手としているが、値千金の一撃で秋山を援護した。また福留の国内本塁打の相手投手別で、三浦は藤井秀悟(ヤクルト)と並び2位。最多は上原浩治(巨人)からの8本。
▼阪神は今日17日のDeNA戦●ならCS進出が消滅する。18日以降、阪神が残り7試合に全勝しても、最終成績は64勝76敗3分けで勝率4割5分7厘。DeNAは残り6試合に全敗しても、65勝75敗3分けで4割6分4厘となり、阪神を上回るため。