<オープン戦:阪神2-6広島>◇5日◇甲子園
きついプロの洗礼をはね返せ! キャンプで評価を上げ、開幕ローテーション候補にも浮上した阪神ドラフト2位小野泰己投手(22=富士大)が甲子園デビュー戦で広島打線につかまった。先発し、3回を7安打2四球で4失点。三振は1つも奪えなかった。153キロをマークした速球は148キロどまり。それでも先発争いからは脱落せず再度のチャンスが与えられることになった。
小野の初々しい表情が、甲子園の悪夢にゆがんでいった。2回2死三塁。先頭から連打を浴びながら、メヒアを投ゴロ併殺で抑えた直後だった。会沢に、真ん中に甘く入った139キロ直球を捉えられた。遊撃北條の頭を越え、左翼高山の前に転がった。先制点を許してしまった。
「ちょっと気が焦った部分もあったし、投げ急いでしまった部分、制球の乱れだったり、いつもの球のスピンがうまくできなかった」。3回には先頭安部への四球から流れを断ちきれず、3点を献上。ほろ苦い思いとともに、この回限りで降板した。
春季キャンプ中に金本監督から「真っすぐで空振りが取れる」と評価されていたが、なかなか空振りが奪えない。フォークなど変化球の制球に苦しんだことも重なり、打者16人に対して三振はなし。バッテリーを組んだ梅野は「シュート回転が多くて、両サイドで勝負ができなかった」と持ち味が生かせなかったことを悔しがった。
開幕ローテーション争いから1歩後退したかに思われたが、金本監督は「今季一番悪かったんじゃないかな。その中でもやっぱり差し込んでいる球もあった。その辺は逆に評価できる。悪い中でも見るところはある。さすが、と思わせるところがある」。伸び悩みながらも真っすぐで押せたことを高く評価した。次回も先発起用かという問いには「当然」ときっぱり。デビュー戦1試合だけの乱調では揺るがない、期待の高さがうかがえた。
次回も先発し、5イニングを投げる模様だ。収穫について小野は「一番は試合を味わえたことです。今まで経験した観客の人数とは違った」。WBC戦士を3人欠いているとはいえ、昨季のセ・リーグ王者に浴びた痛烈なプロの洗礼。ただそれをはね返すのも、プロの世界だ。次戦を名誉挽回の一戦にしてみせる。【山川智之】