ラミレス監督「いい方向に向かってる」筒香弾に高揚

楽天対DeNA 1回表DeNA1死一塁、筒香は右翼に2点本塁打を放ち、打球を見つめる。後方左端はラミレス監督(撮影・浅見桂子)

<日本生命セ・パ交流戦:楽天1-9DeNA>◇6日◇荘銀・日新スタやまがた

 4番が打てば勝つ。DeNAが4本のホームラン攻勢で楽天に快勝した。1回、筒香嘉智外野手(25)が5月23日の中日戦以来となる5号2ラン。初球を仕留めた一振りが導火線となり、3番ロペス、5番宮崎にも本塁打が出て今季初めてクリーンアップがそろい踏みした。強打のイーグルスに強打を見せつけ、同カードの連敗を7で止めた。

 本塁後ろにたたえる最上川から、残雪の月山に風がそよいだ。心地よいたそがれのフォローに乗せて、筒香が高々と打った。照明がともりきらない午後5時開始の1回1死一塁。「初球から、いっていい展開だった」。内寄りに浮いた直球に反応した。

 雄大な風景になじませ、素直に振った。強引さはなくとも、左腕の押しが利いていた。右翼席の背後にそびえ立つ8本のポプラ並木。一番左に向かって進み、芝生席と場外の境目に落ちた。「あの1打席だけでしたけど。ホームラン、良かったです」。2週間ぶりの感触をかみしめた。

 3日ソフトバンク戦の第3打席まで、33打席ヒットが出なかった。フリー打撃を終えると室内練習場に直行。日本の4番は動じず、ただ丁寧に打開の道を探っていた。象徴的な練習は4日の試合前だった。

 2カ所の打撃ケージで、左右の投手に32スイングした。庭の横浜スタジアムで柵越え0本。フェンスにも2球しか届かなかった。ファウルを含め、逆方向の左翼側には16本。見逃しが8球もあった。ボールをしっかり見極め、スイングの軌道とミートポイントとの関係を丹念に確認し「一時期と比べたら良くなっている」の確かな手ごたえを持っていた。

 開放的な山形の雰囲気にも揺れず、この試合前も柵越えは最後のスイング1本。感覚を定め、強さを重ね、結果につなげた。静かに「チームが勝つことが一番。クリーンアップがそろって」と言った筒香と対照的に、ラミレス監督は少し高揚していた。「非常に大きい。追い込まれてからのホームランと初球のホームランは、私の見立ては違う。いい方向に向かっている証し」。パを代表する強打自慢に、自慢の中軸を見せつけた。【宮下敬至】

 ▼DeNAの1試合4本塁打は今季最多。これまでは4月22日中日戦と30日広島戦の3本が最多だった。クリーンアップトリオがそろって1発は今季チーム初。1発攻勢で14年4回戦から続いていた楽天戦の連敗を7で止めた。