鳥谷1発 鼻骨骨折時の秘話明かす 長男「また?」

オリックス対阪神 3回表阪神2死一、二塁、鳥谷は右越え3点本塁打を放つ。投手金子(撮影・宮崎幸一)

<日本生命セ・パ交流戦:オリックス4-11阪神>◇6日◇京セラドーム大阪

 関西ならぬ、完勝ダービーや! 阪神が「日本生命セ・パ交流戦」で6勝無敗だったオリックスに土をつけた。0-2の3回に3適時打で逆転し、なおも2死一、二塁から鳥谷敬内野手(35)が2号3ラン。交流戦単独トップとなる通算305安打目のアーチで勝利を決定づけた。チームは3、6回と2度にわたる打者一巡の攻撃で交流戦の同カード最多となる11得点を挙げ、関西ダービー初戦を制した。

 わずか13日前の悪夢を忘れそうになる。鳥谷が、とても鼻骨が折れているとは思えない強振を決めた。1点リードを奪った直後の3回2死一、二塁。オリックス金子の142キロ直球に対し、コマのようにクルリと軸回転した。右翼フェンスをぎりぎりで越し、一気にリードを4点に広げた。

 「甲子園ならアウトだと思うし、ラッキーが重なった」。価値ある2号3ランはプロ野球歴代単独トップとなる交流戦通算305安打目。「辞めたら、どうせ抜かれると思うので」。そう笑い飛ばしたが、7連勝中のオリックスを止めた表情からは充実感が漂った。

 5月24日巨人戦で左腕吉川光の直球が顔面に直撃。鼻骨を2カ所折った。「骨、折れてたわ」。兵庫・尼崎市内の病院で診断された直後、妻の携帯に電話を入れた。子供たちが涙を流して心配する場面を想像してしまいがちだが、「全っ然!」と笑って振り返る。

 「なんで、あんな小さなボールが当たっただけで、骨が折れるの?」

 小学1年生の長女から無邪気に問いかけられた。小学5年生の長男に至っては「また?」だ。家族は父の強さを知っている。腰骨や肋骨(ろっこつ)を折っても、試合に出続けた姿を目に焼きつけている。今年もまた、パパは強い。

 チームは11安打11得点で3連勝。首位広島との1ゲーム差を守った。金本監督は「向こうはエース。なかなか点を取れないな、というのはありましたけどね。トリの3ランと(6回)糸井のタイムリーが大きかった」と納得顔。若手が勢いづけ、ベテランが決める。虎のかみ合わせが、いい。【佐井陽介】