岐阜経大・与座1安打完封!亡き友に捧げる1勝

1安打完封勝利の岐阜経大・与座(撮影・鈴木正人)

<全日本大学野球選手権:岐阜経大1-0石巻専大>◇6日◇2回戦◇東京ドーム

 「うみんちゅサブマリン」岐阜経大(東海地区)与座海人投手(4年=沖縄尚学)が石巻専大(南東北)を1安打完封し8強入りを決めた。初出場初勝利を飾り、亡きチームメートへ届けた。

 沖縄出身のサブマリン与座が、石巻専大の強力打線を9回1安打に抑え、岐阜経大を初出場初勝利に導いた。「6回くらいから意識しました」。無安打2四死球で迎えたその6回2死。ゴロが遊撃手の前に。打ち取ったかと思われたが、一塁送球が上にそれ、唯一許した安打となった。「1つ出てくれて、自分の投球が出来た」。その後は無安打に抑えて完投した。

 沖縄尚学2年の夏にサイドスローに変え、岐阜経大に入学直後にアンダースローに転向した。「真っすぐで打者と駆け引きが出来る」と西武牧田を参考にする。この日の最速は132キロ。緩急自在の浮き上がる球で、10三振を奪った。

 亡き友の思いとともに、全国の舞台に来た。大学の同学年の投手だった中野宏紀さんが、入学して間もない5月にバイク事故で亡くなった。1年春からリーグ戦に出場し、与座が8回、中野さんが抑えを任されていた。与座の帽子のツバには、欠番となった中野さんの背番号「15」の文字。ベンチにはユニホームが掲げられ、リーグ戦では、いつも手でさすってからマウンドに上がった。「亡くなって悔しい。中野の分も自分たちが投げれば、中野のためになるんじゃないかなと」。

 岐阜経大には沖縄出身選手が多く、ベンチ入りの3分の1以上を占める。応援席からは沖縄独特の指笛の音色…。小森茂監督(51)は「『なんくるないさ~』が今は良い方向に出ている。彼を中心に本当にいいチーム」と笑顔。主将与座を中心に一丸で全国2勝目を目指す。【磯綾乃】

 ◆与座海人(よざ・かいと)1995年(平7)9月15日生まれ、沖縄県浦添市出身。前田小1年から「前田ホークス」で野球を始める。浦添中では軟式野球部。沖縄尚学で3年春夏甲子園に出場。春は1回戦、夏は2回戦敗退。50メートル走6秒7。遠投95メートル。173センチ、74キロ。右投げ右打ち。