阪神小野の父勝巳さんから特別手記「1勝は通過点」

2回表ヤクルト無死一、三塁、藤井の一塁への打球でスタートを切った三塁走者山田(左)を三本間で挟殺する小野(撮影・上田博志)

<阪神3-0ヤクルト>◇29日◇甲子園

 阪神ドラフト2位の小野泰己投手(23)が、“13度目の正直”でプロ初勝利をつかんだ。ヤクルト相手にピンチを招いても粘り、6回を2安打無失点。初登板から7連敗の球団ワースト記録を作ったが、苦労の日々が報われた。 1軍初勝利を飾った小野の父勝己さん(51)が、日刊スポーツに特別手記を寄せた。息子との思い出を振り返りながら、心温まるエールを送った。

<小野の父勝己さんの手記>

 いつもならテレビとか球場に行って試合を見ていたけど、これだけ勝てないとね…。あえて流れを変えようと仕事をしといたよ。でも靴下をはく順番とか、車の出し方とか、日常のあらゆることを変えてみたんだよ。自分の子どもがたくさんのお客さんの前で野球をするのはジーンとくるね。

 小さいときはおとなしくて、よく3歳上の兄ちゃんの後についていっていたかな。兄ちゃんがよくはしゃいでいたけど、泰己はあんまりしゃべらなかった。それと人に注意されると、よく泣いていたな。大丈夫かなってどこか気にはしていたけど、こうやって精神的に立派になっているのを見ると、今は安心しているよ。

 基本的に泰己の意思を尊重して、自由に育てるようにした。それで選んだのが、兄ちゃんの後を追いかけるようにやっていた野球。泰己が小6の時に所属していた大原イーグルスで監督をさせてもらったけど、あの時は気を使ったもんだよ。自分の子どもってこともあって。そこは他の父兄さんに助けてもらったよ。

 高校でプロ志願届を出した時に、ドラフト中継を見たさにCSチャンネルに加入したんだよ。あの時は指名がなくて残念だったけど、あれから4、5年たったかな。今では時間があれば、1軍とか2軍の試合を見ているよ。でも生で見るのが一番だな。甲子園とかヤフオクで泰己が投げる日に見に行った時、そう思ったよ。

 初勝利だからって「おめでとう」の言葉はあえてかける気はないかな。1勝目は通過点で、長く活躍しないと意味がないからね。今はプロ野球選手、泰己の成長が楽しみで仕方ない。これからも頑張ってほしい。【取材・構成=山川智之】