どすこい打法高崎、技巧派の塚本が日本選手権に挑む

「四股踏み打法」で、打席でしゃがみ込むJR東日本東北の高崎

 社会人野球日本選手権が11月2日に京セラドーム大阪で開幕する。日本製紙石巻(宮城)は5月のJABA東北兼北海道大会で優勝し、3大会ぶり2度目の出場を決めた。6日の1回戦でトヨタ自動車(愛知)と対戦する。JR東日本東北(宮城)は8月の同東北最終予選を勝ち上がり、2大会連続18度目の出場。3日の1回戦で新日鉄住金広畑(兵庫)と当たる。「みちのくプラス!!」では両チームの注目選手を取り上げる。【取材・構成=高橋洋平】

 どすこい! JR東日本東北の高崎健太外野手(23=専大)は独特の「四股踏み打法」で打線をけん引する。左打席に入るたび、四股を踏むように相手捕手の目線の高さまで腰を落としてバットを構える。独特のルーティンからノーステップでバットを振り、相手に襲いかかる。

 高崎 ノーステップの方がスイングがきれいだったので、社会人になってから始めた。いやらしい打者になって、相手を苦しめたい。

 現在は「2番左翼」が定位置だ。163センチの小兵だが、バットを短く持って50メートル6秒0の快足で塁に出る。「去年までは何も考えずに振っていた。今はチームプレーを考え、進塁打も打てている。仮に打ち取られても、球数を投げさせればいい。何かしらプレッシャーを与えたい」と自分の在り方を見つけ出した。

 昨年は新日鉄住金鹿島(茨城)を撃破して初戦を突破したが、続く2回戦ではJR西日本(広島)の元DeNA加賀美希昇投手(29)に無安打無得点に抑えられた。高崎は目を光らせる。「去年は1勝したけど、次にノーヒットノーランを食らってモヤモヤした。今年は1勝で終わらず、もっと上を目指したい」。初戦の新日鉄住金広畑に食らいつく。

 技巧派にも意地があった。日本製紙石巻のエース左腕で、最速141キロの塚本峻大(25=東北学院大)は7月の都市対抗での敗戦を糧に直球を磨き直した。ホンダ熊本との1回戦に先発し、4回に3連打から2点の先制を許しKOされていた。

 塚本 東京ドームでは真っすぐの力がなくて、変化球を振ってくれなかった。都市対抗以降は下半身主導でフォームを固めたり、筋トレで体を鍛えたりして、直球の威力を意識しながら練習した。

 夏まではカーブ、スライダー、シュート、シンカーを自在に操る変化球主体の投球だったが、この秋のオープン戦では直球主体にシフトした。130キロ前半から中盤の直球ながら、コースを丁寧に突くことで変化球がさらに生きるようになった。「直球でストライクを取れるコースが増えた。いい方向に向かっている」と自信を見せる。

 初戦のトヨタ自動車は5月のJABA東北兼北海道大会で、先発塚本が7回無失点に抑えて勝利した相手だ。「1度やって手ごわい打線だけど、抑えるイメージはできている。都市対抗では初戦敗退に終わっているので、まずは1勝したい」と意気込んだ。

 ◆高崎健太(たかさき・けんた)1994年(平6)1月6日、静岡・浜松市生まれ。内野小1年から野球を始め、浜名中では浜松南シニアに在籍。常葉学園菊川高2年夏に準優勝。専大では2年春からベンチ入りし、4年春に全日本大学選手権出場。16年にJR東日本東北に入社。163センチ、71キロ。右投げ左打ち。家族は両親、兄、姉。

 ◆塚本峻大(つかもと・しゅんだい)1992年(平4)2月25日、宮城・七ケ浜町生まれ。松ケ浜小2年から野球を始め、利府高3年春のセンバツで4強。東北学院大では3年秋の仙台6大学リーグで最優秀選手に輝き優勝に貢献。リーグ通算16勝。14年に日本製紙石巻入社。左投げ左打ち。177センチ、80キロ。家族は両親と兄。