阪神陽川4安打3打点 逆襲シンボルも「まだまだ」

DeNA対阪神 8回表阪神1死一、二塁、陽川は中越えに適時二塁打を放つ(撮影・宮崎幸一)

<DeNA6-16阪神>◇27日◇横浜

 阪神陽川尚将内野手(26)が、連日の活躍でチームの連勝に貢献した。DeNA戦で第1打席に先制の2点二塁打。その後も快音を連ね、4安打3打点と大暴れ。ともに今季最多、17安打16点の猛攻の中心となった。チームは4位に浮上。虎の勢いが加速し始めた。

 陽川が今季最高の猛攻撃の主役を張った。終盤まで猛虎打線が容赦なく快音を連ね続けた。9回はビッグイニングの7得点。終わってみれば、ともに今季最多の17安打16得点。DeNAの投手陣を完膚なきまで打ち込んだが、のろしを上げたのも背番号55だった。

 初回、1死からDeNA飯塚が制球を乱し、3者連続四球で得た満塁機。追い込まれてからファウルで粘り、カウント1-2からの6球目。真ん中低め144キロの直球をたたくと、打球は左中間を破り、先制の2点二塁打。幸先よく主導権を握った。

 陽川 追い込まれてしまった後、ファウルで粘りながらうまく低めのボールに反応することができました。先に点を取ることができて良かったです。

 3回にも二塁打、4回に中前打。プロ初の猛打賞を決めると、8回1死一、二塁では、前日の試合で決勝弾を放ったエスコバーと再戦した。内角低めの152キロの直球を捉えると、打球はぐんぐん伸び、左中間フェンスを直撃。この日3本目の二塁打で、5打数4安打3打点と暴れまくった。

 まさに陽川旋風だ。前夜は0-0の7回に決勝3ランを放つなど、4打点とチームの連敗脱出の原動力となっていた。チームの主軸は左打者の福留、糸井が並ぶ。金本監督は右打ちスラッガーの4番抜てきの可能性について「それくらいの働きとかをしてくれれば、もちろん、並びとしてはその方がすっぽりハマる。ハマりやすいのはハマりやすい」と期待。「調子がいいときをできるだけ長く、悪いときを短く。悪いときは必ず来ると思うから。そのときの辛抱の仕方を勉強できてきたら、レギュラーが近づいてくる」と話した。

 勝負の5年目。昨年まで2年連続でウエスタン・リーグの本塁打王&打点王を獲得した男は、今季を「自分にとってもラストチャンスだと思っている」と表現していた。ただならぬ覚悟が結果として表れている。「まだまだこれから。今日は今日。また明日もあるので切り替えて頑張りたい」。クールな男がグラウンドで輝きを放ち続けている。

 前日は指揮官に「打席で威張れ」と助言され「陽川様のおな~り~」と冗談も飛んだ。いまや、打席では風格すら漂い、この日も、そこのけそこのけ、陽川様のお通りだ。4位に浮上した虎の反攻の象徴となりそうな勢い。26歳の若虎が乗っている。【古財稜明】