男気(おとこぎ)撃破だ-。ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が12月30日に東京・有明コロシアムで、前WBA同級王者河野公平(35=ワタナベ)と4度目の防衛戦を行うと9日、所属ジムが発表した。その強さ故に対戦相手探しが難航する中、大ベテランが承諾。その心意気を感じながら「一方的な試合をしたい」と返り討ちで来年の飛躍につなげる。試合は、弟拓真(20)の世界初挑戦、IBF世界ライトフライ級王者八重樫東(33)のV2戦(相手未定)と合わせてトリプル世界戦となる。
緊張感が漂った。井上尚が12歳上の河野をじっくりと見つめた。2人の世界王者経験者による世界戦。向かい合っての写真撮影で、周囲からの「胸ぐらをつかんだ方がいいんじゃないか」という冗談にはさすがに表情を崩したが、すぐに真顔に戻った。「(日本人対決は)会場の雰囲気も変わる。モチベーションも上がる。非常に楽しみ」とさわやかに言った。発表会見からすでに空気は違った。
対戦相手選びに苦しんだ。「怪物」の異名そのままに防衛を重ねる若き王者に、世界の強豪も及び腰。そこを二つ返事で受けたのが河野だった。大橋会長は「男気を感じるよね。だからこそ、倒して次につなげてほしい」と感謝も込めた勝利を期した。
井上尚にとっては田口良一(現WBA世界ライトフライ級王者)を破って日本王者になった13年8月以来の日本人対決。判定までもつれたその時の記憶から、「相手が頑張ると会場はそっちの応援をするので」と警戒する。事前にメディアで大きく取り上げられるのは井上尚になる。だから、相手が善戦すればするほど盛り上がる。判官びいき対策の意味も込め、「一方的に自分のボクシングをしてKO勝ちしたい。『やっぱり強い』と思わせて終わらせたい」と語気を強めた。
17年には世界的スター選手への扉を開く。4階級制覇の現役最強王者、ロマゴンことローマン・ゴンサレス(ニカラグア)とのビッグマッチを来年末に見据える。今年末の試合でつまずいてはいられない。大橋ジムの記念すべき1000試合目にもなる戦い。「良いかたちで勝ちたい。大きな舞台に立てるようにやっていきたい。次の試合が重要になる」。男気のお礼はしっかり返す。【阿部健吾】