内山高志の決断「死ぬほど努力のモットー嘘になる」

「最後のファイティングポーズですね」と、内山は引退発表会見で記念撮影(撮影・山崎安昭)

 KOダイナマイト内山が引退した。前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者内山高志(37=ワタナベ)が、29日に中継局だった都内のテレビ東京で会見。気持ち、ケガに衰えもあり、100%を出し切れないとの理由で引退を表明した。昨年大みそかに直接再戦で王座奪回失敗後は進退を保留していた。KOパンチャーのグローブはつるすが、今後は未定も将来はジム経営の意向を示した。

 昨年大みそかから7カ月悩んだ結論は引退だった。10日後には走りだしたが心身の衰えは感じていた。「モチベーション低下にケガも多く」と再起には肘の再手術も不可欠に。「4月末ぐらいから引退を考えた。今まで以上の強さは出せない。死ぬほど努力のモットーがウソになる」。6月に腹を固め、前日に渡辺会長へ最終決断を伝えた。

 他団体で再挑戦を勧める声もあり、ジム側も数人対戦候補を挙げ、再起戦の話もあった。ただ世界戦への道のりも不明確。海外でビッグマッチの夢も実現していないが「もう追い込めない」と、再び気持ちが燃え上がることはなかった。

 拓大1年では荷物番だった。あの屈辱からプロ12年間で日本歴代3位のV11に日本最年長防衛も達成。「思った以上のことをでき、思い残すこと、後悔もない」とキッパリ。世界戦12勝のうち10という痛快KOが看板。毎試合「KOは意識しない」がお決まりも「KOじゃなきゃ面白くない。いつも倒すために練習していた」。最後に強打者らしい本音を吐露した。

 思い出の試合には世界王座奪取が「一番うれしかった」。さらに「ケガ明けで恐怖があった」というV4のソリス戦、「重圧がすごかった」というV10のジョムトーン戦などを挙げた。

 今後を問われると「のんびり猫カフェでも」と笑わせた。「何も決めていない。熱く楽しめることを探したい」と言い「後々にはジムをやりたい」。将来はジム経営の意向を明らかにした。

 解説で登場も増えそうだが「前は嫉妬心があったが、今は楽しく見られる」と肩の荷も下りたよう。後輩へは「王者になりたいと簡単に言うが、練習してから言えよと言いたい。世界王者は日本王者の10倍いい。チャンスはみんなにある」と、全力の内山らしい苦言とエールで締めた。【河合香】