結びの一番で珍事 タオル渡されず軍配返り「えっ」

式守伊之助の軍配が返り取組を開始する碧山(左)と鶴竜。右土俵下は時計係の田子ノ浦審判員(撮影・中島郁夫)

<大相撲夏場所>◇8日目◇15日◇東京・両国国技館

 結びの一番で思わぬ珍事があった。鶴竜と碧山の3度目の仕切り後、時計係の田子ノ浦審判員(元前頭隆の鶴)が「時間いっぱい」の手を挙げた。だが、東西の呼び出しが見過ごしたのか、立ち上がらずに、2人に時間を告げるタオルを渡さなかった。まだかと思って土俵に向かった両力士に、立行司の式守伊之助が「待ったありません。互いに手をついて」と軍配を返したことで心中、慌てる2人。1度目の立ち合いは呼吸がずれた。

 2度目で成立し、突っ張り合いの末に鶴竜が引き落としで勝った。横綱は「逆に変に力まずに行けたのかもしれない」と涼しい顔。だが、負けた碧山は、審判員の手が挙がるのを見ていたため「タオルをもらおうとしたのに立たないから、どっちなんだと思った。軍配が返って『えっ』と思った」と憤った。田子ノ浦審判員は「自分が悪い。呼び出しは悪くない」とかばっていた。