<大相撲名古屋場所>◇2日目◇11日◇愛知県体育館
かど番の大関照ノ富士(24=伊勢ケ浜)が、驚異的な粘りで白星をもぎ取った。三役常連の西前頭3枚目妙義龍に押し込まれた土俵際で、全盛期をほうふつさせる力強い残り腰。度重なるケガで不安を抱えながらも、逆転の2連勝で復活の兆しを見せた。
万事休す-。以前なら、そうだった。くせ者の妙義龍に、もろ差しを許した土俵際。徳俵に追い込まれた照ノ富士は、体をのけ反らせながら、右足1本で残った。上手投げから逆転の寄り切りで退けると、鬼気迫る表情で土俵下の相手を見やる。大躍進した昨年をほうふつさせる取り口に「ちょっと、踏ん張ることができているんじゃないかな」と控えめに振り返った。
新関脇だった昨年春場所から、初優勝するなど2場所で大関昇進。驚異的な残り腰やつり技など、体格を生かした豪快な相撲で土俵を沸かせた。だが昨年秋場所以降は右膝、左膝、右肩、左肘を相次いで負傷。その後は無理をせずに土俵を割り、夏場所は屈辱の大関ワースト13連敗。普段は明るく振る舞いながら、悔しさに耐えてきた。
大人の階段を少し上った。夏場所前に、母国モンゴルで柔道を習った恩師シーレブ氏が来日。「お湯を飲みなさい」と助言された。起床時に痛みで起き上がれないこともあったが「温めろと言うから飲み始めたら、本当に痛くなくなったんだよ。すごいな」。今では稽古中も食事の時も、さゆをすするのが当たり前。まだ不安はあるが「ケガしてから、やっていなかった稽古もやった。その結果が白星につながっていけばいい」。場所前には大阪合宿や二所ノ関一門の連合稽古に出稽古するなど、充実した調整も実を結んでいる。
内容には満足していない。ただ、失った自信を取り戻しつつある。「結果が出ればいいかなと思います」。横綱候補と言われた男が、一皮むけて反撃ののろしを上げる。【桑原亮】