<第40回日本アカデミー賞授賞式>◇3日◇東京・グランドプリンスホテル新高輪
「64-ロクヨン-前編」(瀬々敬久監督)で最優秀主演男優賞を受賞した佐藤浩市(56)が、授賞式後、囲み取材に応じた。
佐藤は、その中で、俳優デビューが決まった息子寛一郎(20)について直撃を受けた。来年、寛一郎が日本アカデミー賞優秀新人賞を取り、自身が主演、もしくは助演で2年連続の優秀俳優賞を受賞したら? と聞かれると「そんな恥ずかしい展開は…もう、三国と俺の間でやっちゃってるんで。恥ずかしいんで、勘弁してください」と顔を真っ赤にして絶句した。佐藤は父の故三国連太郎さんが1996年(平8)に「三たびの海峡」で最優秀主演男優賞を受賞した際、前年度受賞者としてプレゼンターを務めている。
佐藤が受賞したこの日、寛一郎が映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(広木隆一監督、9月23日公開)で俳優デビューをすることが発表された。佐藤は、そのことについて聞かれた途端「ま、ま、ま…前から、あれだった(決まっていた)んですけど、たまたま(発表が)出たのがアカデミー賞の日だったのは、そう思ってやられたのか、そうじゃなかったのかは分かりませんけど」と、どもるなど、いつになく激しく動揺した。
その上で「親の部分で思うことと、また役者として彼が、どういう役者になっていくかは誰も分からない…そういうところに踏み込んでいったなと、あらためて思いはあります」と父として、そして俳優の大先輩として、寛一郎の俳優デビューに複雑な心情をのぞかせた。
取材陣から「アドバイスは送りますか? それとも…ライバル?」と聞かれると「いや、ライバルではないですよ。とんでもない、とんでもない!! 小僧っ子ですよ!! ライバルなんて、とんでもない、とんでもない!!」と笑い飛ばした。
アドバイスを送ることについては、師匠が弟子に教え、伝えていく伝統芸能の世界と俳優業は違うものであり、自身の経験に裏打ちされたアドバイスが、次世代の若手俳優に意味があるものとは限らないとの考えを示した。
僕が培って、現場で先人、先達に教わったことが、そのまま彼らにとって、生きる世界でもないんですよね。それが伝承、伝統芸能とは、また違うわけで。そういう中で彼が今、彼の周りの新しい人たち、これからお仕事をされる方々と、どういうふうな形で接して、いろいろなことを吸収して、いろいろな勘違いをしていけるか…そういうことですね。
とは言ったものの「まぁ…う~ん、そりゃあ、助言を求められれば言うこともあるだろうけれど、まぁ…今の子は、そういうことは言わないっすよ」と、寛一郎がアドバイスを求めることを待ちつつも、ないだろうと自問自答するような、親としての複雑な心情を吐露した。【村上幸将】