渡哲也、渡瀬さん看取れず「喪失感は何とも言葉に」

渡哲也の直筆コメント

 東映やくざ映画で活躍し、「十津川警部」シリーズなどテレビドラマで広く親しまれた俳優渡瀬恒彦(わたせ・つねひこ)さんが14日午後11時18分、多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。72歳。16日、所属事務所が発表した。

 渡瀬さんの兄で俳優渡哲也(75)は渡瀬さんの最期をみとることはできなかった。息を引き取った渡瀬さんが病院から都内自宅に戻った時に、対面した。渡瀬さんは、2月中旬に入院する前までは、渡の自宅を訪ねたりすることもあった。渡は15年6月に急性心筋梗塞で手術を受け、持病の呼吸器疾患も治療中。兄弟は互いに気遣い合っていたという。

 16日、渡は直筆コメントを報道各社に寄せた。渡瀬さんがステージ4の胆のうがんで余命1年の告知を受けていたため、覚悟はできていたとしたが「弟を失いましたこの喪失感は何とも言葉になりません。幼少期より今日に至るまでの2人の生い立ちや、同じ俳優として過ごした日々が思い返され、その情景が断ち切れず、つらさが募るばかりです」と思いをつづった。

 仲の良い兄弟だった。渡が日活のスター俳優だった69年、渡瀬さんの芸能界入りが決まったが、渡は「自分と同じ苦労を味わわせたくない」と大反対だった。兄の七光と言われないよう、弟とあえて距離を置いた。71~72年に放送されたNHK「あまくちからくち」で双子の兄弟を演じて以降、共演は一切なかった。

 2人はそれぞれの持ち味を生かして、トップ俳優として走り続けた。11年にはTBS系「帰郷」で40年ぶりの共演を果たした。渡瀬さんが「兄貴、やってみないか?」と直接連絡したという。渡は、演技派俳優として活躍する渡瀬さんを認め、渡瀬さんもまた真っすぐな渡さんを尊敬していた。

 2年後、渡瀬さん主演の「十津川警部」シリーズ50作の記念作品で、3度目の兄弟共演が実現。照れながらも互いを認め合う様子が爽やかだった。