星野源「逃げ恥」効果 著書初版12万部から即重版

エッセー集「いのちの車窓から」発売記念トークイベントを行った星野源(撮影・近藤由美子)

 星野源(36)が2日、エッセー集「いのちの車窓から」(KADOKAWA)発売記念トークイベントを都内で行った。初版12万部から発売前に6万部の重版が決まるなど、エッセー集としては異例の売り上げを記録している。トークイベント当選倍率は44倍の高倍率。「逃げ恥」効果もあって、女性を中心にファンを増やし続けている。

 星野が「どーも」と照れた表情であいさつすると、「かわいい~」と感激する女性ファンの声が多数上がった。本作は雑誌「ダ・ヴィンチ」の連載分に一部加筆し、約2年間の経験や成長、思いなどを記している。「執筆は家か喫茶店」「夜が好きなので、夜中に書くことが多い。新幹線の中でもわりとすぐに書けます。ネタ探しは全然しないです」などと、裏話を次々に披露した。

 昨年10月期のTBS系連続ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」に出演し、手掛けた主題歌「恋」が大ヒット。曲に合わせて出演者がエンディングで踊る「恋ダンス」が日本を席巻した。ファン層を一気に広げたとみられ、会場は10~60代と幅広い年齢層の女性でほぼ埋め尽くされた。東京・三省堂書店池袋本店購入者限定イベントで、定員150人に対し応募者は6593人。KADOKAWAは、この種のイベントの応募者数について「大物でも多くて2000人。かなり多い」と人気に驚いた。

 先月30日に発売。エッセーの初版は「普通は1万部未満」といわれる中で異例の12万部。発売前の重版も決まり、発行部数計18万部と絶好のスタートを切った。三省堂書店池袋本店では、村上春樹氏の新作「騎士団長殺し」(2月24日発売)を上回る売れ行きをみせている。

 幅広く活躍している星野は「音楽家・文筆家・俳優」を名乗り、作家活動も好調だ。妄想や下ネタも交えたユニークな視点でつづった上、読みやすい文章が人気。これまで発売した「そして生活はつづく」「働く男」「蘇る変態」と新作の計4作の累計発行部数は120万部にも上る。新作はアジア各国からもオファーが殺到。今夏に台湾で中国語版が発売されることが発表された。以前、公演を行うなど台湾でも人気は抜群。星野も作家としての海外デビューに「何ですって? へぇ~すごいですね!」と素直に喜んだ。

 この日はファンの質問も受け付け、兄さんと慕う「逃げ恥」ファンの大泉洋(44)との会食時のエピソードも披露。「席に着くと大泉さんが緊張していて。『うわぁ(星野演じる)平匡さんだ!』って。すごくかわいかった」と明かし、会場を沸かせた。

 09年のサイン会以来、8年ぶりの書籍関連イベントで、書籍トークイベントは初めて。感激で涙をぬぐう女性も現れるなど、ファンは星野の一挙手一投足を食い入るように見守った。【近藤由美子】

 ◆星野源(ほしの・げん)1981年(昭56)1月28日、埼玉県生まれ。00年バンド「SAKEROCK」結成。03年劇団「大人計画」所属。10年アルバム「ばかのうた」でメジャーデビュー。14年くも膜下出血治療からの復帰ライブを開催。ドラマはNHK大河「真田丸」、映画は「箱入り息子の恋」「地獄でなぜ悪い」など。15年から2年連続でNHK紅白歌合戦出場。168センチ。血液型AB。