裕次郎さん有難う!歌の後継、金児憲史名曲デビュー

石原裕次郎さんのパネルと同じポーズを決め笑顔を見せる金児憲史(撮影・垰建太)

 俳優金児憲史(39)が26日、昭和が生んだ大スターで、1987年(昭62)に52歳で亡くなった石原裕次郎さんの“歌の後継者”として、都内でお披露目ライブを行った。命日にあたる7月17日、裕次郎さんのダブルミリオンヒット曲「夜霧よ今夜も有難う」で歌手デビューする。

 裕次郎さん愛用のジャケットを「お守り」代わりに着用。金児は緊張した表情を見せながらも、渋みの深い、自慢ののどを響かせて、歌手デビュー曲「夜霧よ今夜も有難う」などを歌唱した。

 「今回のことは自分が一番驚いています。自分が裕次郎さんの歌を『継ぐ』なんておこがましい。曲を『つないでいく』という思い。10代や20代の若い人で、裕次郎さんの曲を知らない人にも、多くの名曲を知ってもらいたい。その役割を全うすることが人生の目標です」と強い決意を口にした。

 00年に「21世紀の石原裕次郎を探せ!」のオーディションでスカウトされて石原プロモーション入り。以来、俳優活動に打ち込んできた。だが、石原プロに入った数年後、その美声からCDデビューの計画が持ち上がったことがあった。その時は実現しなかったが、今回は石原まき子夫人から直々に、裕次郎さんの“歌の後継者”に指名された格好だ。

 音楽鑑賞が趣味で、幼稚園のころからピアノとギターを学び、クラシックからR&B、ロックなど何でも聞いてきた。音楽の素養が十分で美声も持っている。そんな金児でも、裕次郎さんの曲は「歌うのが難しい」と言い切る。「今年で40歳になる自分の経験値では、歌詞の内容を理解するのが本当に難しい。曲の雰囲気、ムードや裕次郎さんの生きざまを到底、表現ができない。だから『まねる』のではなく、自分らしいやりかたで歌っていきたい」と説明した。

 裕次郎さんの語りかけるような歌唱法とは異なるが、まき子夫人が「どことなく裕さんに似ていて驚かされた」というほど声質はソックリだという。今年は裕次郎さんの没後31年。裕次郎スピリッツを受け継ぐ男がデビューする。【松本久】

 ◆金児憲史(かねこ・のりひと)1978年(昭53)9月14日、広島県生まれ。00年にオーディション「21世紀の石原裕次郎を探せ!」で、5万2005人の中から最終の10人に残り石原プロモーション入り。同年12月のテレビ朝日系ドラマ「はみだし刑事情熱系」で俳優デビュー。趣味はピアノとギター。特技は空手と居合で、ともに3段。188センチ、80キロ、血液型B。

 ◆「夜霧よ今夜も有難う」 67年2月に発売。石原裕次郎さんと浅丘ルリ子が共演した同名アクション映画の主題歌で255万枚を売り上げた。裕次郎さんは約600曲を世に出したが、「銀座の恋の物語」(335万枚)、「二人の世界」(285万枚)、「赤いハンカチ」(275万枚)と4作のダブルミリオンヒットを飛ばしている。

<金児への激励コメント>

 ▼石原まき子夫人 裕さんの歌い方は、どこか語りかけるような雰囲気で、心で歌っていたと思います。金児くんは男っぽさと優しさがあるので、素直な心で歌ってくれたら、金児くんらしい裕次郎ソングになるのではないかと思っております。

 ▼渡哲也 裕次郎さんの歌い方は、色っぽく、心の奥で歌っていたと思います。裕次郎さんの曲を歌うのは難しいことだと思いますが、金児くんにも心で歌って欲しいですね。